ALD装置(拡張可能型)原子層1層枚の均一なコントロールを行い、高膜質・段差被膜性の高い成膜が可能な、研究開発用の小型原子層堆積装置です。
SAL3000Plus
小型で機能充実のALD
他装置との複合化で幅広い実験に対応
POINT
- SAL3000標準型から横幅が4割小型化
- 成膜方向がデポアップとダウンから選択
- Plusシリーズの別装置と連結可能
本体寸法
W835mm×D700mm×H1644mm
プリカーサ | 膜厚分布 | 基板加熱 | 複合化 |
---|---|---|---|
4個 (最大6個) | ≦±3% | 350℃ (800℃) | ○(SAL3000+U) |
概要・用途
研究開発用のALD装置(原子層堆積装置)です。
ALD装置は1原子層毎の精密な堆積制御を実現し、均一で凹凸部に対しても段差被覆性に優れた薄膜成形成を可能にする原子層堆積装置(ALD=Atomic Layer Deposition)です。
前駆体と呼ばれるプリカーサボトルに入れた原料を成膜材料として、水やオゾンとの表面化学反応により酸化膜(AL2O3、HfO2、SiO2、TiO2)の成膜をすることができます。
SAL3000PlusはSAL3000の成膜性能を維持したまま本体の大幅な小型化に成功し、加えて他の装置との複合化も実現による幅広い成膜プロセスに対応した高性能ALD装置です。
※例に挙げている膜種に関しては、弊社では実証できていないものが含まれております。
特徴
【特徴1】高品質な成膜分布
基板サイズφ100mm以内に対し、±3%の膜厚分布の性能です。
基板表面に1原子層ずつ均一でピンホールフリーのレイヤー成膜が可能です。
段差被覆性に優れていますので、凹凸表面形状や三次元形状への成膜に適しています。
【特徴2】選べる成膜方向
SAL3000Plusはデポダウン(基板フェースアップ)のSAL3000+Dと、デポアップ(基板フェースダウン)のSAL3000+Uのいずれかの仕様を選べます。バッチ装置として使うだけであれば、基板を置くだけのデポダウンの仕様の方が扱いは簡単ですが、他装置との複合化で接続てきない組み合わせもあります。詳しくは仕様表をご確認ください。
【特徴3】他装置との複合化
SAL3000Plusは、本体側面に拡張用ポートを備えており、トランスファーユニットSTR2000と連結することで、ロードロック機能が備わります。
Plusシリーズのスパッタ装置、アニール装置、蒸着装置、そして同じALDのSAL3000Plusと複合化が可能で、基板を大気に曝さず多様な成膜プロセスが可能です。
※複合化で組み合わせる装置によっては、接続用のポート位置を左右反転させた構造にする必要があります。
アニール装置との複合化例
【特徴4】使いやすいプログラム
角度調節機能付きタッチパネルを装置天板に配置し、視認性と操作性に配慮した設計にしています。
プログラムはオペレーターが直感的に理解できるGUI(Graphical User Interface)方式を採用し、動作状態を含めた各種ステータスに関する視認性とバルブや設定項目の調整が容易な操作性を兼ね備えています。
成膜プロセスは最大30レシピまで設定保存可能です。レシピ毎のロギングデータは自動保存され、CSV形式のデータでUSBメモリへ保存できます。
タッチパネルディスプレイ
【特徴5】多様性のあるオプション
弊社のALD装置にはオプションで、オゾン発生器、排ガス除害装置、MAX800℃基板加熱、プリカーサMAX200℃加熱ヒーター等を追加することができます。
【特徴6】豊富なプリカーサボトル接続ポート
SAL3000Plusは前駆体や水を入れるプリカーサボトルが標準で4個、オプションで2個追加(最大6個)することができます。多数のプリカーサを搭載することで、幅広い実験にご使用できます。
プリカーサボトルは、標準でMAX150℃加熱用ジャケットヒーターが装備されますが、オプションでMAX200℃加熱も可能となります。
【特徴7】ドライ真空ポンプ標準採用
排気系は排気速度500L/minの非接触式多段ルーツ旋回翼構造の国産ドライ真空ポンプを標準採用していますので、クリーンルームなど清浄さが求められる環境でも安心してご使用いただけます。プロセス条件によってはポンプ保護も含めたシステム延命化のため、ポンプへのN2ガス導入などを推奨することがございます。
SAL3000Plus仕様表
SAL3000Plus外観図
オプション
SAL3000Plusに追加できるオプションです。
【特徴1】プリカーサ追加
プリカーサボトルの取付ポートは2個まで追加して最大6個の搭載が可能です。複数の材料を使い分けた成膜や、同種の予備用のプリーカーサボトルに、いつでも切り替えできることを想定した設計にしております。
【特徴2】高温基板加熱機構
通常はMAX350℃のヒーター加熱ですが、オプションでMAX800℃(モニター温度)用の高温用ヒーターに交換することができます。
※高温加熱ヒーターは輻射による加熱のため基板がガラス等の熱線を吸収しない材質の場合は十分な加熱効果は得られません。
※オプションのアニール専用装置SAN2000Plusは、ヒーター制御温度MAX1000℃(モニター温度)による高温アニール処理やプラズマ照射、ガス置換処理が可能です。本格的にアニールを行う用途ではSAN2000Plusを選定ください。
【特徴3】オゾン発生器
オゾン(O3)発生器を使用し、水(H2O)のプリカーサの代わりとすることで酸素原子を反応させ薄膜形成に活用できます。水を入れないことにより真空排気時の時間短縮にも効果が期待できます。また、低温での成膜も可能になります。
【特徴4】排ガス処理装置
ALD処理で発生する未反応の前駆体成分を排気経路の途中で高温加熱し無害化させる装置を販売しています。当社ではAL2O3を使ったプロセス等で実績があります。ALD装置で使用することを前提とした流量の範囲であれば効果が得られます。
【特徴5】プリカーサ加熱用ヒーター
プリカーサボトル内の前駆体の気化を一定に保つため、標準でMAX150℃のプリカーサボトル用ジャケットヒーターを用意しておりますが、MAX200℃のジャケットヒーターへの交換が可能です。熱電対も配線されておりヒーターの設定温度とプリカーサの実温度は操作パネルで制御と確認ができます。
修理・改造
弊社装置に関わる保守サービスは、北海道の本社及び静岡県の拠点から技術者を派遣して対応致します。また、改造・保守に関わる事前お打合せについては北海道と関東地区に駐在している営業担当者にて対応致します。
装置の導入後も安心して装置をご使用頂けるよう体制を整えております。
装置の御納入後の定められた保証期間内は、弊社が定める一定の条件(天災や誤った使用方法に起因する故障)に含まれない初期不良等の不具合に対しては無償による修理対応を行います。
詳細はお問い合わせください。
修理メンテナンスメニュー例
- 装置の定期メンテナンス、不具合時のサービス対応。
- 装置の改造や機能追加、それらに伴うプログラムソフトの変更。
- 装置の移設、レイアウト変更。
- オペレーショントレーニング。(ユーザー様の運用担当者の交代時など)
- 消耗品の購入。
- シールド部品に付着した膜の洗浄及び再ブラスト処理。
- メール、お電話等で解決するご質問。
改造
装置の導入後でも、実験内容や使用条件の変更に伴う改造に関する業務を承ります。
【改造事例】
- トランスファーユニットを介した別装置との複合化(Plusシリーズ)
- 各種の機能追加変更や部品交換。
- 特殊形状用サンプルホルダーの製作。
- プログラムの改良、アップデート。
- 補助ポンプの大型化。
- 冷却水循環装置(チラー)の追加。
- その他、ご要望に応じた改造、現地サービス。