名前は有名な「トランジスタ」、実際何に使われているかご存知ですか?
実は電子機器界に革命を起こしたアイテムなんです。今回はそんなトランジスタに焦点を当て、用途や種類、何に使われているかについて解説させていただきます!
噛み砕いた説明にしていますので、トランジスタがどういったものか気になるあなたの助けになれると幸いです。
目次
トランジスタとは、2つの機能を持つ便利アイテム
トランジスタには大きく2つの機能があります。
- 回路のオンとオフを切り替える(スイッチとしての機能)
- 信号を増幅させる
非常に小型なことが特徴で、シリコンを使用していることから耐熱温度が高く多くの電子部品に使用されています。
トランジスタ、と言うと一般的には「バイポーラトランジスタ」のことを指しますが、昨今では「ユニポーラトランジスタ」の普及も進んでいます。次の項目で詳しく見ていきましょう!
トランジスタの種類
トランジスタはいくつかの種類に分かれています。ここでは、よく使われる3つの種類について解説しましょう。
よく使用されるトランジスタは以下の3つです。
- バイポーラトランジスタ
- ユニポーラトランジスタ
- フォトトランジスタ
バイポーラトランジスタ
「電流」の変化によって、「電圧」の変化を取り出すトランジスタです。
ゲイン(利得)が得やすいことが特徴であり、増幅率が高いトランジスタになります。また、高周波数下でもノイズ特性も高く使いやすいことが特徴です。
名前の由来は、ラテン語で「2」を意味するバイ + 極性を意味するポーラが合わさり「バイポーラ」となっています。その名の通り、電子と正孔の2種類を搬送波に持つためバイポーラトランジスタと呼ばれます。
また、バイポーラトランジスタは「NPN型」と「PNP型」に分類されます。
それぞれのピンの意味
バイポーラトランジスタには三本のピンがついています。
- E:エミッタ
- B:ベース
- C:コレクタ
この三種類はよく、以下のように例えられます。
- エミッタ:配管
- ベース:水道の栓
- コレクタ:蛇口
水道の栓をひねることで、蛇口から流れる水の量を調節する。トランジスタでも同じことが行われており、「ベースへの入力信号」によって電流をコントロールし、「コレクタに流れる電流の量」を調節する、といった具合です。
ユニポーラトランジスタ
「電圧」の変化によって、「電流」の変化を取り出すトランジスタです。
バイポーラトランジスタに比べ、消費電力が少ないことが特徴です。また、スイッチング速度が速く、小型軽量化に適しているトランジスタになります。
こちらの名前の由来は、ラテン語で「1」を意味するユニとの組み合わせ。バイポーラと異なり、ユニポーラトランジスタは電子か正孔どちらか1種類だけを扱うためこの名前がつきました。
また、ユニポーラトランジスタは電界効果型トランジスタとも呼ばれており、「Field Effect Transistor」の頭文字をとって「FET」とも呼ばれます。
それぞれのピンの意味
ユニポーラトランジスタの三本のピンは、バイポーラと名前が異なります。
- S:ソース
- G:ゲート
- D:ドレイン
また、ユニポーラトランジスタには「MOS型」と「接合型」の2種類があり、それぞれにP型、N型という分類があります。
フォトトランジスタ
「光信号」によって「電流」を制御するトランジスタです。
名前の由来は光子、光粒子を意味する「フォトン」との組み合わせ。その名の通り、光信号を受信する製品に多く使用され、特に「赤外線」の受光部に用いられます。
例えば、「リモコンの受信部」、「光通信」など。自動ドアの中にも、フォトトランジスタを使用しているものもあります。
その他にも社会では様々な場面でトランジスタは使用されています。一つひとつ見ていきましょう。
トランジスタの社会での活用方法
トランジスタは、意外と身近なところで使用されています。具体的には「ラジオ」「電子部品」「電車の一部」など。一つひとつ解説していきましょう。
ラジオ
ラジオにおいて、トランジスタは重要な役割を持ちます。
空中を伝わってきた弱い電波を、増幅させてスピーカーから人が聞こえるレベルで流す。「信号を増幅させる」という特性を活かしてラジオに使用されているんです。
CPUやメモリなどの電子部品
電子部品にもトランジスタは多く使用されます。具体的には、「電気信号を増幅させる」時や「スイッチ」として使用され、半導体チップや電源からの交流電流を直流電流に変換する時にも役立ちます。
パソコンだけでなく、あなたの持っているスマートフォンにも使用されているんですよ。
電車の一部
1990年代半ば頃から、電車の車両駆動用インバータにもトランジスタが用いられるようになりました。そして最近では、シリコンカーバイト(SiC)と電界効果形トランジスタなどを組み合わせた鉄道車両駆動用回路システムにも使用されています。
非常に便利なトランジスタですが、使う時の注意点もあります。次の項目でお話ししましょう。
使うときの注意点
トランジスタは、それぞれ特定の電圧と電流を処理できるように作られているため、過度の電気を流すと発火する危険性があります。必ず「データシート」で仕様を確認してから使いましょう。
トランジスタの樹脂部分には、部品番号が書かれていることが多いです。
その部品番号から、メーカーが出している「データシート」を見つけることができます。
トランジスタの歴史
トランジスタは、1948年にアメリカの「ベル電話研究所」で発明されました。
トランジスタが発明される前の電子機器では「真空管」が主に使用されていました。真空管は大型なものが通常で、製品を小型化できない理由の一つだったのです。そんな時に「トランジスタ」が発明され、電子機器の多くが小型化されました。
発明に携わった3名の方にはノーベル物理学賞が贈られています。
まとめ
今回はトランジスタについて解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通りです。
- トランジスタは「スイッチ」と「信号増幅」の2つの機能を持つ便利アイテム
- トランジスタは大きく「バイポーラ」「ユニポーラ」「フォト」に分けられる
- 社会では「ラジオ」「電子部品」「電車の一部」などに使用されている
- トランジスタのおかげで多くの電子製品が小型化した
「トランジスタ」に関することでお困りのことなどございましたら、私たち菅製作所がお役に立てることがあるかもしれません。お気軽にご相談ください。
参考サイト
トランジスタ徹底解説-トランジスタの仕組み
トランジスタを徹底解説!原理・用途・使い方| 半導体・電子部品とは | コアスタッフ株式会社 | CoreContents
─その5 20 世紀前半 トランジスターの誕生─
【トランジスタとは?】『特徴』や『動作原理』などを分かりやすく説明します!
NPNとPNPの違い | 半導体・電子部品とは | CoreContents コアスタッフ株式会社
トランジスタとは? | 村田製作所 技術記事
バイポーラトランジスタとは?MOS FETやCMOSとは何が違うの? | 半導体・電子部品とは | CoreContents
バイポーラトランジスタとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書
トランジスタってなに?|通販
【2022年版】バイポーラトランジスタ3選・製造メーカー4社一覧 | メトリー
3分でわかる技術の超キホン FET(電界効果トランジスタ)とは?原理・特徴・用途の要点解説 | アイアール技術者教育研究所 | 製造業エンジニア・研究開発者のための研修/教育ソリューション
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