今回は、ややマニアックな「パラジウム」について紹介させていただきます。
聞き馴染みは無いかもしれませんが、実は日常生活でよく目にする金属。あなたも日常生活で使用しているかも。ひょっとすると、口の中にパラジウムがいるかもしれません。
この記事では、スパッタ装置など原子レベルの加工を行う製品を販売している「菅製作所」が、パラジウムについてわかりやすく解説させていただきます。
性質や特徴だけでなく、社会で何に使われているか、語源や発見者についても解説しているので、無料の参考書としてご覧ください。
それでは、早速みていきましょう。
目次
パラジウムの性質と特徴
パラジウムはプラチナ系金属の一種であり、金や銀などと同じく「貴金属」と呼ばれる元素です。パラジウムは融点が低い金属であり、比較的加工がしやすいことも特徴の一つ。
また、パラジウムは体積の約935倍もの水素を吸蔵できる金属であり、この性質を利用して水素の貯蔵庫として使われることもしばしばあります。
2022年12月現在の市場価値は「1g」で「8,448円」ほど。金が8,509円なことを考えると、かなり高額な金属ですね。余談ですが、2019年では金よりも高い市場価値を誇りました。
パラジウムは社会の何に使われている?
パラジウムは「銀歯の素材」「排気ガスの浄化」「ジュエリー(宝飾品)」などで使用されています。それぞれ見ていきましょう。
パラジウムが役立つ「銀歯の素材」
歯科治療の方法の一つ「銀歯」は、実は純粋な銀でなくパラジウム20%、金12%を含んだ金銀パラジウム合金でできています。
余談ですが、金歯は金、銀、銅、プラチナの合金で作られていますが、銀歯の方が強度が高いので一般的には銀歯が使用されています。(金歯は保険も効かないので高い)
パラジウムが役立つ「排気ガスの浄化」
主に自動車の排気ガス中にある、有毒物質を浄化するためにもパラジウムは使用されます。三元触媒として使われ、三元触媒は「一酸化炭素」「未燃炭化水素」「窒素酸化物」の3つを一気に浄化することができるスグレモノです。
なお、どこについているかと言うと、マフラー(車の排気口)のやや膨らんだ部分に使用されていることが多いです。
パラジウムが役立つ「ジュエリー」(宝飾品)
ジュエリーと言っても、パラジウム単体で使用されることはほぼありません。「割金」として使用されることが多く、ホワイトゴールドを作る際や、プラチナの硬さを調整するなどの目的でパラジウムを混ぜて作成するケースがあります。
金属系のアクセサリーの、縁の下の力持ちといったところでしょうか。
パラジウムの歴史
- 元素記号:Pd
- 英語名:Palladium
パラジウムの語源は、「小惑星パラス」から取られました。小惑星パラスはパラジウムと同年に発見された星であり、由来はギリシャ神話の「パラス・アテネ」から取られました。
発見については、1803年に、イギリスの医師「ウィリアム・ウォラストン」により発見されました。医師でありながら化学者に転身した珍しい方で、「ロジウム」の発見もしています。
まとめ
今回は「パラジウム」について解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通り。
- パラジウムは貴金属であり、加工がしやすい、水素の吸蔵ができる、金と同等かそれ以上の価値を持つ元素
- 「銀歯の素材」「排気ガスの浄化」「ジュエリー(宝飾品)」などに使用される
- パラジウムは1803年、イギリスの「ウィリアム」により発見され、小惑星パラスから名前が取られた
高校で勉強する他の元素については、以下の記事にてまとめております。あわせてご覧いただけると、更に理解が深まるのでぜひご覧ください!
参考サイト
パラジウムとは?特徴・使用用途・市場価値を解説!
パラジウム – – イラスト周期表
Periodic Table Pd
パラジウムとは一体何?買取相場と併せてご紹介|貴金属買取の豆知識
パラジウムとはどんな貴金属?プラチナやシルバーとの違いや素材の特徴を解説!
本日の地金相場(買取価格・小売価格) フジデンタル