毎日の料理に欠かせない食用油。
例えばサラダ油の場合、原料はなたねや大豆、トウモロコシなどが材料となりますが、それらから油を絞り、私たちの手元に届くまで、沢山の工程を経て私たちの元に届きます。
容器に詰め込まれる直前である、最終工程では、脱臭のために真空が利用されています。
食用油と真空のしくみについて解説します。
食用油ができるまで
食用油の材料から油分を抽出したあと、不純物を取り除きます。
そして、脱色をしてから、ロウも取り除きます。
ロウがあると、気温が低いとき固まってしまいます。サラダ油は、JAS規格である低温以下で一定期間おいても白濁や凝固しないことが条件となっているため、ロウの除去は必須です。
その後、油に含まれる臭いを取り除く際に、真空が活用されます。
脱臭する前は、材料本来の臭いなどが残っているため、脱臭の工程はかかせません。
脱臭後、完成した食用油はビンやプラスチックなどの容器に入れられます。
脱臭と真空の関係
食用油の臭い成分には、アルデヒド類やアルコール類、ケトン類などがあります。
それらの臭い成分は真空状態で水蒸気を吹き込むことで脱臭します。
脱臭することで、風味や品質を劣化させる成分を取り除くことができる一方、美味しくするが成分も取り除かれることもあります。
むしろ、水蒸気の量や真空度により、風味や品質を劣化させることもあり、食用油の品質が左右する工程になるため、兼ね合いが非常に難しい工程ともいえます。
真空度が高いほど、脱臭にかかる時間が短縮されます。
近年の消費者指向では、食用油の中でもサラダ油などは臭いの少ないものが好まれる傾向があります。
脱臭のためには、温度と真空、水蒸気の量などにより、風味や品質が変わってきます。
消費者の嗜好も多様になり、現在は、高温短時間脱臭や低温長時間脱臭なども採用されており、採用される真空度も変わってきます。
菅製作所では、真空を利用して成膜するスパッタ装置など各種取り扱っています。