フォトニクスの中でも、より細かいナノレベルでの研究が進められている「ナノフォトニクス」分野。
専門的な用語が多く登場するので、難しい分野ですが、私たちの生活を豊かにしてくれる研究です。
そこで今回は、ナノフォトニクスについて噛み砕いた説明をし、私たちの社会でどのように使用されているかについて解説させていただければと思います。
ハイテク化が進んだ現在だからこそ、時代に取り残されないよう一緒に学んでいきましょう。
ナノフォトニクスとは、フォトニクスのナノ分野
ナノフォトニクスの定義は「近接場光によるエネルギー移動を活用して光デバイス機能を発現したり、微細な加工を行う技術」と定義されており、フォトニクス分野の中でもナノスケールでの構造に注視した分野です。
小型で省エネなことが特徴で、フォトニクスの名前の通り光コンピューティング研究などで高い関心を集めている分野になります。
私たちの社会で既に実用化されていたり、今後の実用化が期待されている分野が多くありますので、次の項目で見ていきましょう。
ナノフォトニクスの社会での活用方法
ナノフォトニクスは「太陽電池の効率化」「バイオ分析デバイス」「顕微鏡」などの分野で使用されています。
太陽電池の効率化
2016年12月、京都大学と大阪ガスが共同で熱エネルギーを太陽電池が効率よく発電できる波長の光に変換することに成功しました。
参考サイト:京大ら,フォトニックナノ構造で太陽電池を高効率化
この研究では、シリコンを用いたフォトニックナノ構造というものを形成することで発電の効率化に成功しており、ナノフォトニクスの知見が活用されています。
バイオ分析デバイス
バイオ分析とは、生体分子の相互作用を検出・分析することです。癌化や細胞死などのメカニズムを明らかにするためや感染症の診断などに応用可能な分野で、医療分野において非常に重要な役割を持ちます。
バイオ分析デバイスとは、バイオ分析を行うための装置であり、ここにナノフォトニクスの使用が検討されています。今はまだ開発段階ですが、実用化できれば従来のデバイスよりも高感度でより精密な検査ができるようになると言われています。
顕微鏡
光学顕微鏡は目に見えないサイズのものを観察する時によく用いられます。ナノフォトニクスを利用した「近接場光プローブ顕微鏡」は、従来の光学顕微鏡に比べ解像度が高くより細部まで観察できる顕微鏡になりました。
ナノフォトニクスの応用
例えば、パソコンで使用されているチップ(CPUなど)は、一秒間あたりのデータ量が増えると電力が多く必要になります。しかしながら、光による情報転送が可能になると、電気信号よりも省エネな通信が可能になると言われています。
また、光技術による演算は、電気技術に比べ遅延が少なくなることが考えられており、今以上の大量のデータをサーバーが処理する際に有力であるとも言われています。
まとめ
今回はナノフォトニクスについてお話しさせていただきました。今回の記事のポイントは以下の通りです。
- ナノフォトニクスとは、フォトニクスのナノ分野
- 社会では「太陽電池の効率化」「バイオ分析デバイス(開発段階)」「顕微鏡」などで使用されている
- ナノフォトニクスは今後電子部品への応用が期待されている
「ナノフォトニクス」の研究でお困りのことなどございましたら、私たち菅製作所がお役に立てることがあるかもしれません。お気軽にご相談ください。
参考サイト
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/64/10/64_751/_pdf
https://www.jsap.or.jp/docs/jsap-meeting/report2009s/report2009s-symposium03.pdf
http://www.mh.rgr.jp/memo/sa0135.htm
https://journal.ntt.co.jp/backnumber2/1805/special.html
https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/JN20200823.pdf
https://journal.ntt.co.jp/article/5995
https://journal.ntt.co.jp/backnumber2/1005/files/jn201005038.pdf
https://imidas.jp/genre/detail/K-107-0018.html