最近注目を集めているプラズモニクスという技術があります。
これは、「プラズモン」を用いた技術のことなのですが、勉強するには中々難しい分野です。
そこで今回は、勉強の入り口として、「プラズモン」をわかりやすく解説させていただきます!
実は大昔から知らず知らずに使われていたプラズモンの謎を、一緒に紐解いていきましょう。
目次
プラズモンとは、プラズマ振動の量子化したもの
プラズモンはプラズマ振動の量子化したものを指します。プラズマ振動とは、プラズマを構成している荷電粒子の振動であり、プラズマは「正イオンと電子が混合して存在する状態」のこと。
例えて言うなら、電気をよく通す金属(自由に動き回る電子が多い)が池、光ビームが投げ込んだ石、石によって起きた波がプラズモンです。
また、プラズモンには大きく3つの種類があります。
- バルクプラズモン:固体中で励起され、光で励起されない
- 表面プラズモン:表面に励起され、光で励起でき空間を伝播する
- 局在プラズモン:ナノ構造に励起され、光で励起でき、空間に局在する
プラズモンが利用される際、大きく2つの現象に注目されます。次の項目で解説していきましょう。
プラズモンで使われる2つの現象
プラズモンを利用する際に、大きく「表面プラズモン共鳴」と「プラズモン吸収」という現象が使われます。
「表面プラズモン共鳴(SPR)」は金属中の電子が光と相互作用すること
表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)は、金属中の電子と光が相互作用を起こす作用のことです。
ナノレベルの微粒子や、針状の突起物の先端が周期的に並ぶような構造の場合、電子と光が共鳴して高い光出力をもたらすなどの効果を発現します。
表面プラズモン共鳴が起きると、単に発色するだけでなく、物質を検知することが可能になります。
「プラズモン吸収」とは特定の光を吸収する作用のこと
プラズモン吸収とは、金属の超微粒子が特定の波長の光を吸収するという作用です。
本来であれば、金属中の電子と光は相互作用しません。しかし、ナノ微粒子中の電子や金属表面は特定の条件下で光と相互作用することがあります。これが先ほどお話しした表面プラズモン共鳴。
表面プラズモン共鳴によって特定の波長の光が吸収される現象を「プラズモン吸収」と呼びます。
では、プラズモンは社会でどのように使われているのでしょう?
プラズモンの社会での活用方法
実はプラズモンは、大昔から利用されていました。
例えば、中世ヨーロッパで見られるステンドグラスの赤色。
例えば、日本伝統の切子(ガラス製品)の赤など。
金ナノ粒子が局在表面プラズモン共鳴を起こして、鮮やかな赤色を示しているわけです。
また、自動車の塗装にも応用されています。
その他の社会での活用方法は、以下の記事で紹介しています。プラズモンと直接関係のある技術(プラズモニクス)ですので、ぜひご覧ください!
最近では、「光デバイス」としての使用が考えられており、「ナノフォトニクス」という新たな研究分野が確立されつつあります。ナノフォトニクスについては以下の記事で解説しています。
まとめ
今回はプラズモンに関して解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通りです。
- プラズモンはプラズマ振動の量子化したもの
- プラズモンを利用する際は「表面プラズモン共鳴(SPR)」や「プラズモン吸収」がよく利用される
- プラズモンは昔から日本やヨーロッパで使われていた
- プラズモンを用いた技術は「プラズモニクス」と呼ばれる
「プラズモン」の研究でお困りのことなどございましたら、私たち菅製作所がお役に立てることがあるかもしれません。お気軽にご相談ください。
参考サイト
ナノフォトニクスを応用した微量物質検知技術(技術紹介)
「表面プラズモン共鳴を利用したなんでも検出できるセンサ」 新潟大学 工学部 工学科 電子情報通信プログラム 教授 馬場 暁
プラズモンの可視化と制御
プラズモン:一口メモ
表面プラズモンの基礎と応用
局在表面プラズモン共鳴 | 技術情報