最近は水銀を見る機会が少なくなりました。実はそれ相応の理由があるんです。
今回は、水銀について性質やかつて社会でどのように使われていたかについてお話しします。
毒性が強いにも関わらず、一般家庭に普及していた水銀。これからの安全のためにも一緒に学んでいきましょう。
水銀の性質と特徴
水銀は他の金属と容易に合金を形成する元素です。金属でありながら室温で液体の性質を持ち、蒸気は毒性が強いという特徴があります。
メチル化した水銀(メチル水銀)は過剰摂取すると水俣病の原因となるなど、危険性の高い元素でもあります。
元々は日本でも多く使用されていた水銀、実際にどのような場面で使われていたのか、見ていきましょう。
水銀の社会での活用方法
水銀は現在の日本ではあまり使われない元素になっています。しかし、つい10年ほど前までは「蛍光灯」、「水銀電池」、「医療器具」などの成分として使用されていました。それぞれ見ていきましょう。
蛍光灯(現在は生産中止)
蛍光灯の中には水銀ガスとアルゴンガスが封入されており、電子と水銀原子を衝突させ紫外線を発する、その紫外線が蛍光灯の中に塗布された蛍光体にあたり光を発する、という仕組みで部屋を照らします。
なお、今現在では蛍光灯の生産を終了した会社も多く、LED照明器具への交換が推奨されています。(LEDライトには水銀は使用されていません)
水銀電池(現在は生産中止)
1990年以前には乾電池に水銀が使用されており、1995年末までは水銀のボタン電池が使用されていました。
最近の電池は水銀を使用しておらず、リチウムイオン電池や水素電池など、新たな電池の形に変化しています。
医療器具(現在は生産中止)
昔は「水銀血圧計」「水銀体温計」が主流であり、今でも一部の病院では使われています。
しかし、多くの病院は「電子血圧計」「電子体温計」にシフトしており、最近見かけなくなりました。
たまに体温計を振っている人を見かけますが、あれは水銀体温計で体温を計る前に必ず振る必要があったので、そのなごりです。
水銀の歴史
- 元素記号:Hg
- 英語名:mercury
水銀(Hg)の語源は、ラテン語の「hydrargyrum」に由来します。「hydro(水) + argyrum(銀)」の組み合わせで水のような銀という意味。英語ではmercuryとなっており、こちらは商売の神「メリクリウス」に由来します。
発見者については不明。実は中国で紀元前2000年頃に水銀を利用していたという記録が残っています。
まとめ
今回は「水銀」について解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通り。
- 水銀は常温で液体の金属で、蒸気は毒性が強い
- 「蛍光灯」、「水銀電池」、「医療器具」などに使用されいた(今は生産中止)
- Hgの語源はラテン語の「hydrargyrum(水 + 銀)」、英語ではメリクリウスから取られ「mercury」と呼ばれる
高校で勉強する他の元素については、以下の記事にてまとめております。併せてご覧いただけると、更に理解が深まるのでぜひご覧ください!
参考サイト
水銀 – イラスト周期表
水銀
Periodic Table Hg
水銀のこと:日本インスツルメンツ株式会社
教えて! 水銀のこと
水銀に魅せられて | In your element | Nature Chemistry
水銀 – iElement
一般照明用ランプでの水銀使用有無を教えてください | ランプ・光源・安定器 | 岩崎電気