「プラチナ触媒って結局何なの?身近にあるの?」
そのような疑問にお答えしたく、この記事を書かせていただきました。
今回は、普段から元素に関わっている「菅製作所」が、プラチナ触媒について噛み砕いてご説明した後、身近な例を出しながらわかりやすく解説させていただきます。
記事を読み終わる頃にはプラチナ触媒のイメージがついていると思いますので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
それでは、早速見ていきましょう。
目次
プラチナ(白金)触媒とは
プラチナ触媒とは、その名の通りプラチナを触媒として使用した際の呼び名です。酸素や水素を活性化させる触媒作用を持ち、酸化・還元反応により一酸化炭素や炭化水素など有毒なガスを無害なガスに浄化させることができます。
プラチナ自体は反応性が低く、変化しにくいです。しかし、周りのものを反応させるといった不思議な触媒性能を持ちます。
では、プラチナ触媒はどのような場面で使用されているのか、次の項目でお話しします。
プラチナ触媒の社会での活用例
実はプラチナ触媒は身近な存在です。あなたの家にもあるかもしれません。
プラチナ触媒は「日立製の冷蔵庫」「自動車のガス浄化」「ハクキンカイロ」などに使用されています。
プラチナ(白金)触媒が役立つ「日立製の冷蔵庫」
日立製の一部の冷蔵庫にもプラチナ触媒が使用されています。以前までは光触媒を使用していましたが、現在ではプラチナ触媒を使用し、エチレンガスと臭い成分を分解、炭酸ガスと分子にし、野菜を眠らせるように保存できます。
この高鮮度保存によって、水分を閉じ込め乾燥を抑えるため、時間が経った野菜でも美味しく食べられるというわけです。
プラチナ(白金)触媒が役立つ「自動車のガス浄化」(自動車触媒)
プラチナの多くは自動車触媒に使われています。具体的には、有毒ガスの浄化として使用されています。
車のパーツである触媒コンバーターにロジウム、プラチナ、パラジウムなどが使用されており、排ガスの中に含まれる有毒ガスを、触媒反応を用いて浄化します。具体的なプロセスは以下の通りです。
- HC(炭化水素)→酸化→H2O + CO2(水と二酸化炭素)
- CO(一酸化炭素)→酸化→CO2(二酸化炭素)
- NOx(窒素酸化物)→還元→N2 + O2(窒素、酸素)
元々プラチナはディーゼル車(バスなど)に使用されており、パラジウムはガソリン車に使用されていました。詳しくは後ほどプラチナ触媒の歴史の項目でお話しします。
プラチナ(白金)触媒が役立つ「ハクキンカイロ」
ハクキンカイロにもプラチナ触媒が使用されています。ハクキンカイロは、ベンジンの気化ガス(水素)がプラチナと接触して発熱する化学原理を使用して温めるカイロで、登山者などに人気のカイロです。
一般的なカイロは鉄の酸化反応ですが、ハクキンカイロはプラチナ触媒の反応を利用しているため環境に優しく、持続時間が18時間〜24時間と長いことが特徴。スキーや冬のアウトドアにオススメのアイテムですよ。
コラム:プラチナ触媒と自動車の歴史
プラチナ触媒は、元々ディーゼル車に多く使用されていました。ガソリン車にはパラジウム触媒が使用されています。この背景には金銭的な価値があり、パラジウムはプラチナに比べ安価でした。触媒としての性能はパラジウムの方が低いものの、ガソリン車のエンジンであれば十分な性能を持っています。
しかし、当時は安かったパラジウムも、ガソリン車の需要増加により価格が高騰。今ではプラチナ、ゴールドよりも高いものになってしまっています。
そのため、現在ではガソリン車でも多くのプラチナ触媒が使用されています。さらに、水素をエネルギーとする燃料電池車でも、触媒としてプラチナが使用されるなど、自動車業界とプラチナ触媒は切っても切り離せない関係にあるのです。
自動車触媒については以下の記事でも解説しているので、興味が湧いた方はぜひご覧ください。
まとめ
今回はプラチナ触媒について解説させていただきました。最後にポイントを振り返りましょう。
- プラチナ触媒は酸素や水素を活性化させる触媒作用を持つ
- 社会では「日立製の冷蔵庫」「自動車のガス浄化」「ハクキンカイロ」などに使われている
- 自動車とプラチナ触媒はディーゼル車から最新の燃料電池車まで使われ続けている
その他の触媒については、以下の記事でも紹介しておりますので参考にしていただけると幸いです。
参考サイト
触媒“白金” 公益社団法人日本冷凍空調学会
ハクキンカイロ
【2022年最新】プラチナの売り時は今?相場変動の要因を解説
プラチナの需要|自動車触媒や産業用需要、宝飾需要の観点から解説
触媒コンバーターとは何ですか?
No. 17 白金(Platinum)