「触媒ってたまに聞くけど、実際何に使われているかわからない」
化学の授業でもよく耳にする触媒。化学式などで示すとやや複雑になりますが、役割はシンプルです。
この記事では、普段から元素に関わる「菅製作所」が触媒についてわかりやすく解説したのち、身近な使用例も紹介させていただきます。
ガソリン車や冷蔵庫など、身近な所でも触媒は使われているので、化学の世界を一緒に見ていきましょう。
目次
触媒とは化学反応を手助けする物質
触媒とは、特定の化学反応の反応速度を変化させる物質です。反応物に触媒を用いることで、活性化エネルギーを低くすることができます。
簡単に言うと、化学反応をさせたい時のお手伝いをしてくれる物質のことを触媒と呼びます。
触媒には二つの種類がある
触媒には「均一系触媒」と「不均一系触媒」の二つの種類があります。それぞれ見ていきましょう。
均一系触媒(水溶液中のイオン)
反応物の中に均一に混ざる触媒であり、反応をコントロールしやすいことが特徴です。
溶液の中に触媒が混ざってしまうので、反応後の生成物から触媒を取り除きにくいという難点もあります。
使用場面としては、有機合成反応に使うことが多い触媒です。
不均一系触媒(固体)
不均一系触媒も、反応物に混ざってしまいますが、固体であるため分離しやすい特徴を持ちます。分離しやすいということは、すぐに再利用できるということ。現場で重宝する触媒ですね。
難点としては、反応をコントロールしにくい点です。
不均一系触媒は自動車の排気ガスの浄化や石油の生産過程などで使用されます。
触媒の社会での活用例
触媒は、社会では「プラチナ触媒」「光触媒」「自動車触媒」などの形で使われています。
ここでは実際の活用例を見ていきましょう。意外と身近にあることがお分かりいただけると思います。
自動車への活用(排気ガスの浄化)
ガソリン車では、排気ガスを浄化するために触媒が使用されており、自動車触媒(三元触媒)と呼ばれます。
排ガスの中に含まれる有毒ガスを、触媒反応を用いて浄化する方法であり、具体的なプロセスは以下の通りです。
- HC(炭化水素)→酸化→H2O + CO2(水と二酸化炭素)
- CO(一酸化炭素)→酸化→CO2(二酸化炭素)
- NOx(窒素酸化物)→還元→N2 + O2(窒素、酸素)
これらのプロセスにはプラチナ、パラジウム、ロジウムの触媒が使用されています。詳しい内容については以下の記事で解説しているため、合わせてご覧ください。
光触媒空気清浄機
空気清浄機には光触媒が使用されているものがあります。「光触媒フィルター」を使用した空気清浄機は、有害物質や悪臭成分を化学反応で分解し、キレイな空気として吐き出します。
ショッピングセンターやスポーツセンター、旅館などで使用されているなど、近年徐々に人気を高めている光触媒空気清浄機です。
光触媒について詳しくは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
ポリ袋を作る過程
スーパーなどのレジ袋など、ポリエチレンでできた袋(通称ポリ袋)を作る際にも、触媒が使用されています。
原油を加熱処理し出来上がった「ナフサ」を熱分解し、「エチレン」を取り出し触媒と混ぜて高温・高圧化で化学反応させることにより「ポリエチレン」を作り出します。
プラスチックとポリマーについては以下の記事で解説しているので、興味をお持ちの方はぜひご覧ください。
冷蔵庫(高鮮度保存)
一部の冷蔵庫(日立製のものなど)にも触媒が使用されています。以前までは光触媒を使用していましたが、現在ではプラチナ触媒を使用し、エチレンガスと臭い成分を分解、炭酸ガスと分子にし、野菜を眠らせるように保存できます。
この高鮮度保存によって、水分を閉じ込め乾燥を抑えるため、時間が経った野菜でも美味しく食べられるというわけです。
プラチナ触媒については以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
まとめ
今回は「触媒」について解説させていただきました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 触媒とは化学反応を手助けする物質
- 触媒には「均一系触媒」と「不均一系触媒」の2種類がある
- 触媒は「ガソリン車の排気ガスの浄化」「ポリ袋を作る過程」「一部の冷蔵庫」などで使用されている
参考サイト
触媒とはなに?触媒についてまとめて解説
触媒 高校化学 均一系触媒 不均一系触媒 エンジョイケミストリー 123202
業界初! “プラチナ触媒”で食品の鮮度を保つ冷凍冷蔵庫「新 真空チルド」とは? – 価格.comマガジン
ポリエチレンとは? | 日進化学株式会社