半導体の原料・材料の種類と、新たな半導体の未来を解説

半導体の原料(材料)は大きく2種類に分かれます。元素半導体と化合物半導体です。しかし、専門書には専門用語が並び理解が難しい部分も多くあります。

そこで本記事では、原料の特徴や採用の背景、今後の展望など半導体原料の実際をわかりやすく解説します。

特に多く使用されていたシリコンも、一部では代替原料が検討されているなど、大きな転換期でもあります。半導体分野に関心をお持ちの方はぜひご覧ください。

半導体の原料は大きく2種類ある

半導体の原料には大きく「元素半導体」と「化合物半導体」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるため一つひとつ見ていきましょう。

1.元素半導体

元素半導体は、主に単一元素で作る半導体のことをいいます。代表的な原料ではシリコン、ゲルマニウムなどがあります。

半導体の多くは元素半導体で作成されており、昔ながらの原料です。その中でも、シリコンは特に多く利用されています。もう少し詳しく見ていきましょう。

シリコン

シリコンは今現在、最も主流な半導体原料です。シリコンウエハーとして活用されることが多く、日本でも多く生産されています。

ただし万能ではなく、発熱しやすいが故に大電流に向かないなどの難点もありました。近年では、こういった難点を解決するために化合物半導体などが用いられます。

なぜシリコンが主流になったのかについては、後ほど詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。

2.化合物半導体

化合物半導体は、近年次世代の半導体原料として注目を集めています。窒化ガリウムや炭化ケイ素などを使用することで、半導体の高性能化を図れることが特徴です。

しかし、元素半導体と比べると結晶欠陥や破損が多いこと、コストが高くなりやすいことなど課題も残っている原料です。

発光効率が良いため、LEDや光通信の受光素子などで使用されることが多くあります。また、今現在も研究が進んでいるため、今後の可能性に期待できる原料です。

半導体の原料にシリコンが使われる理由

シリコンが使われる理由は、地表中に非常に多く存在する元素であり、熱酸化膜が安定しているためです。特に半導体には高純度の「イレブンナイン」と呼ばれるシリコンが使用されます。

元々はゲルマニウムが多く使用されていましたが、資源が潤沢にあり枯渇しにくいシリコンの方が持続的であるため選ばれました。

また、シリコンは加工がしやすくコストパフォーマンスに優れている点も選ばれる理由の一つです。

近年では、シリコンウエハーに性能的な限界が来ている分野もあり、シリコンに替わる新たな半導体原料が検討されています。

シリコンに替わる新たな半導体原料について

ここでは、シリコンに替わる新たな半導体原料について具体的に解説します。

ダイヤモンド

ダイヤモンドを使用した半導体が、近年の研究により実用化への道を歩み始めています。

今まで、その硬さから加工が難しく長時間の稼働で劣化してしまうなど弱点を抱えていたダイヤモンドですが、課題を一つひとつ解決しているのが現状です。

ダイヤモンド半導体が実用化になれば、省電力で高出力な性能が実現できるため、電気自動車などでの採用が期待されています。

ダイヤモンド半導体について詳しくは、以下の記事で解説しておりますのであわせてご覧ください。

窒化ガリウム

窒化ガリウムは、シリコンと比べ高速スイッチングが可能な特徴を持ちます。つまり、半導体一つひとつの性能を向上させられ、小型化できることから省スペース高性能なデータセンターを実現可能です。

窒化ガリウムを含む、次世代の半導体は以下の記事で詳しく解説しています。

半導体原料の活用にはまだまだ可能性がある

半導体原料の活用は、まだまだ研究中の分野です。その分多くの可能性を秘めています。

原料の特性を理解する

原料にはそれぞれ特性があります。例えば、発熱しにくく、高電流に耐える、コストパフォーマンスに優れ、大量生産に向いているなどです。

原料の特性を理解し適材適所に採用していくことが大切です。

デバイスの特性を最適化する

シリコンを原料に用いた半導体では、高電流をかけられないことが難点でした。しかし、窒化ガリウムや炭化ケイ素などの化合物半導体を用いることで、この問題は解決に向かっています。

高電流・高電圧に対応し、電子の移動速度が速い半導体を用いることで、デバイスの高性能化が図れるということです。

製造プロセスを改善する

次世代半導体は原料だけでなく、そのプロセスの改善にも役立ちます。

特に高密度な「2nm」プロセスが注目されており、中でもトランジスタ分野で技術革新をもたらしました。

全周ゲートトランジスタ(GAA FET)が導入されれば、演算能力が飛躍的に向上した小型デバイスが出来上がります。

2nmプロセスのより詳しい内容については、以下の記事で詳しく解説しています。注目度の高いニュースなため、次世代半導体を知るために押さえておきましょう。

まとめ

半導体の原料には「元素半導体」と「化合物半導体」があります。

元素半導体は同一元素を原料としており、特にシリコンが多く使用されています。

化合物半導体は窒化ガリウムなど化合物を使用しており、強度やコストで劣るものの、高性能化に寄与します。

シリコンウエハーでは一部限界が来ている分野もあり、化合物半導体の研究が進められている現状です。

菅製作所は、半導体分野に携わる会社として、今後も情報を発信していきます。最新のニュースにも触れながら、専門的な情報をわかりやすくお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

参考サイト

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
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