導体・絶縁体・半導体 | 特徴・違い・種類・仕組み・活用例を徹底解説。

私たちの身の回りには、電気を通すものと通さないものがたくさんあります。例えば、電球のフィラメントは電気を通すことで光ります。しかしガラスのコップは電気を通しません。

物質は電気の通りやすさで大きく3つに分けられます。

  • 導体: 電気を通しやすいもの
  • 絶縁体: 電気を通しにくいもの
  • 半導体: 導体と絶縁体のちょうど中間のようなもの

導体・絶縁体のことを知ると、その中間に位置する不思議な物体「半導体」の面白さがわかりますよ。

この記事では、導体・絶縁体・半導体の3つの基本的な定義と特徴を解説するとともに、現代の生活を支えている半導体のユニークな性質について詳しく解説します。

導体:電気の通り道

導体とは、簡単に言うと電気の通り道になる物質のことです。銅線やアルミ線などが代表的な導体で、電気を流して電気を届けたり、電気を利用する機器に送ったりする役割をしています。

導体の種類の例

  • : 電気を最もよく通し、加工も簡単なので、電線によく使われています。
  • アルミニウム: 銅よりも少し電気を通しにくいですが、軽くて安いので、電線やアルミホイルに使われています。
  • : 電気を通しやすく、さびにくいので、電子部品などに使われています。
  • : 銅よりも電気を通しやすく、光沢があるため、装飾品にも使われます。

導体の特徴

  • 自由電子が多い: 導体の中には、自由に動き回ることができる電子(自由電子)がたくさんあります。この自由電子が、まるで川の水のように、電気を流す道を作ってくれるのです。
  • 電気抵抗が小さい: 電気抵抗とは、電流の流れにくさを表すものです。導体は電気抵抗が小さいので、電気をスムーズに流すことができます。

導体に電気が流れる仕組み

私たちの身の回りにあるものは、とっても小さな粒々、原子が集まってできています。この原子は、中心に原子核があって、その周りを電子がグルグル回っているイメージです。

導体は、この電子が原子核から少し離れて、自由に動き回ることができます。この自由に動き回れる電子を自由電子と呼びます。

自由電子の動きは、導体に電池をつないでみるとよくわかります。電池には+極と-極がありますよね。

  • -極: 自由電子がたくさんある場所
  • +極: 自由電子が少ない場所

自由電子は、マイナスの電気を持っているので、プラスの電気がたくさんある+極に引き寄せられます。つまり、自由電子が-極から+極へと移動するのです。この電子の流れが、私たちが電気と呼んでいるものです。

電気の流れにくさは「電気抵抗」と関係がある

自由電子は、導体の中を自由に動き回りますが、その途中で他の原子にぶつかることがあります。このぶつかり合いが、電子の流れを邪魔する働きをします。この邪魔をすることを電気抵抗と言います。

電気抵抗が大きいと、電流は流れにくくなります。例えば、太くて短い導体よりも、細くて長い導体の方が電気抵抗が大きくなります。

電気が流れると熱を持つ理由

身近にある電気製品は、ずっと使い続けていると、「熱」を持ちますよね。当たり前すぎて普段は意識しませんが、よく考えてみたら不思議ではありませんか?実は自由電子が他の原子にぶつかる時、原子を振動させてしまいます。この原子の振動が、私たちが感じる熱になります。つまり、電気が流れると熱が発生するのです。この熱のことをジュール熱といいます。

絶縁体:電気を通さない壁

絶縁体とは、電気を通しにくい物質のことです。ゴムやプラスチック、ガラスなどが代表的な絶縁体です。

絶縁体の種類の例

  • ゴム: 電気を通しにくく、柔軟性もあるため、電線の被覆に使われています。
  • プラスチック: 種類によって電気を通しやすさが異なりますが、一般的に絶縁体として使われています。
  • ガラス: 電気を通しにくく、熱に強いので、電球のバルブなどに使われています。

絶縁体の特徴

  • 自由電子が少ない: 絶縁体には、自由に動き回ることができる電子(自由電子)がほとんどありません。そのため、電気を流すことができません。
  • 電気抵抗が大きい: 絶縁体は電気抵抗が大きいので、電気を流しにくいです。

半導体:温度で変わる電気の通りやすさ

半導体は、導体と絶縁体の両方の性質を併せ持つ、ちょっと変わった物質です。温度によって電気を通しやすさが変わるという特徴があります。

半導体の種類の例

  • シリコン: 半導体の中で最もよく使われている物質です。トランジスタやICなどの電子部品に使われています。
  • ゲルマニウム: シリコンよりも古いタイプの半導体で、トランジスタの初期に使われていました。

半導体の特徴

  • 温度によって性質が変わる: 温度が低いと電気を通しにくく、温度が高くなると電気を通しやすくなります。
  • 不純物を混ぜると性質が変わる: 純粋な半導体に、他の物質を少し混ぜる(ドーピング)ことで、電気を通しやすくしたり、電気を通しにくくしたりすることができます。

半導体の活用例

半導体は、私たちの身の回りの様々な製品に使われています。

  • コンピュータ: パソコンやスマートフォンの中にあるCPU(中央処理装置)は、半導体で作られています。
  • テレビ: 液晶テレビや有機ELテレビの画面には、半導体が使われています。
  • 自動車: エンジン制御やカーナビなど、自動車の様々な部分に半導体が使われています。

まとめ

この記事のシリーズは、物質の原理原則を理解することにあります。

物質の性質を理解することで、新しいものを作ったり、既存のものをより良くしたりすることができるのです。

半導体はその良い例で、トランジスタや集積回路といった現代社会を支える基盤技術が生まれました。

物質の性質を理解することは、単に「ものづくり」だけでなく、科学技術の進歩そのものを牽引する力となるのです。物質の性質を深く探求することは、未来の技術革新につながる、とても面白い冒険なのです。

【参考資料】

CoreContents『半導体・導体・絶縁体』

電気設備の知識と技術『導体・半導体・絶縁体の特徴』

https://electric-facilities.jp/denki1/doutai_zetsuentai.html

TOSHIBA『1. 導体・半導体・絶縁体』

https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/basics-of-schottky-barrier-diodes/chap1/chap1-1.html
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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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