半導体素子 | 仕組み、種類、特徴、応用例を徹底解説

いまあなたが使っているスマートフォンは、「半導体素子」のカタマリです。CPU、メモリ、カメラのイメージセンサ、ジャイロセンサなど……。様々な半導体素子が、スマートフォンを電子機器として成立させているのです。

それでは一体、半導体素子とは何なのでしょうか。

この記事では、半導体素子の仕組み、種類、特徴、応用例について詳しく解説し、電子機器の奥深い世界を解き明かします。

半導体素子とは半導体として機能するための装置

半導体素子(半導体デバイス)は、真性半導体(電気を通しにくい物質)に不純物を添加することで作られる、電気信号を増幅・変換・制御する電子回路の最小構成要素です。

“素子”は馴染みのない言葉なのでピンときませんが、“デバイス(装置)”という言葉として理解すれば、胸に落ちるのではないでしょうか。

かみ砕いていうと、ようするに半導体素子(半導体デバイス)とは、半導体の能力を発揮するための“最小単位の集合体”のようなものです。

半導体素子の特徴

①電流制御

半導体素子は、電流の流れを制御できる特性を持っています。これは、電子の移動を調節することにより、電流のオン・オフを切り替えることが可能です。この特性はスイッチングデバイスとして非常に重要で、デジタル回路の基本要素であるトランジスタによって実現されます。

②バンドギャップ

半導体素子は「価電子帯」と「伝導帯」と呼ばれる電子のエネルギーレベルにおいて、バンドギャップと呼ばれるエネルギーギャップを持っています。このバンドギャップの大きさによって、半導体の導電性が決まります。バンドギャップが小さいと導電性が高く、大きいと導電性が低くなります。

③高集積度

半導体素子は微細なサイズで製造でき、高集積度の集積回路(IC)を作成できるため、多数のトランジスタやダイオードを小さなチップ上に配置できます。これにより、小型化、高性能化、低コスト化が実現され、スマートフォンやコンピュータなどの高度な電子機器が実現されています。

④耐久性

半導体素子は、長寿命で信頼性が高い特性を持ちます。正確な動作を長期間維持し、外部環境の影響に対して安定して機能します。この信頼性は、航空宇宙、医療機器、産業用途などで要求されています。

⑤低電力消費

半導体素子は低電力で動作できるため、バッテリー駆動のデバイスや省エネルギー設計に適しています。電子機器の長時間の動作やモバイルデバイスのバッテリー寿命向上に寄与します。

半導体素子の種類は大きくわけて2つ

①ダイオード

電子機器の基盤となる半導体デバイスの中でも、最も基本的な素子の一つがダイオードです。ダイオードは、真性半導体(電気を通しにくい物質)に不純物を添加することで作られる半導体素子です。

この不純物によって、ダイオードにはp型領域とn型領域という2つの領域が形成されます。ダイオードは、電流を一方方向にしか流さないというユニークな特性を持ち、様々な電子機器で重要な役割を果たしています。

ダイオードの主な特徴

一方向通行性

ダイオード最大の特徴は、電流を一方方向にしか流さない性質です。具体的には、p型領域からn型領域へは電流が流れやすく、逆方向にはほとんど流れません。

この一方通行性は、様々な電子機器における回路設計を簡略化し、効率化します。例えば、整流回路では交流を直流に変換する際に、ダイオードが逆方向の電流を遮断することで、効率的な電力供給を実現します。

低電圧動作

ダイオードは、低い電圧でも動作する特性を持っています。このため、省電力設計が求められるモバイル機器や小型電子機器に最適です。

例えば、LED照明では、ダイオードが低い電圧で発光するため、従来の白熱灯や蛍光灯と比べて大幅な省エネを実現しています。

高速スイッチング

ダイオードは、高速なスイッチング動作が可能です。これは、電流の流れを素早くオン・オフできることを意味し、高速通信や高精度な制御が必要とされる分野で活躍します。

例えば、デジタル回路では、ダイオードがトランジスタのスイッチング動作を補助することで、高速な信号処理を実現します。

低消費電力

ダイオードは、低消費電力で動作する特性を持っています。これは、動作時に発生する熱量が少ないことを意味し、発熱を抑え、省エネ設計に貢献します。

例えば、太陽光発電システムでは、ダイオードが太陽光パネルの電流を制御することで、効率的な発電を実現します。

ダイオードの主な種類

  • 整流ダイオード
  • ブリッジダイオード
  • フォトダイオード
  • 定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)
  • トンネルダイオード
  • ショットキーバリアダイオード
  • 発光ダイオード

②トランジスタ

ダイオード以外にも、n型半導体とp型半導体の組み合わせによって、「トランジスタ」というデバイスを生み出すことができます。トランジスタは、p型半導体とn型半導体を組み合わせることで、3つの領域(ベース、コレクタ、エミッタ)が形成され、電流の流れを制御することができます。

トランジスタの主な特徴

電流制御

ベースに微弱な電圧(ベース電圧)を印加することで、コレクタからエミッタへ流れる電流(コレクタ電流)を制御することができます。ベース電圧が低い場合はコレクタ電流が小さく、ベース電圧が高い場合はコレクタ電流が大きくなります。

増幅作用

トランジスタは、微弱なベース電圧で大きなコレクタ電流を制御できるため、電流増幅作用を持ちます。この増幅作用により、小さな信号を大きな信号に変換することができ、デジタル回路の動作を支えています。

トランジスタの主な種類

バイポーラ型トランジスタ

“バイポーラ”とは、「2つの極」という意味です。バイポーラトランジスタは、正孔と自由電子両方のキャリアが動作に関与するため、「2つの極」(バイポーラ)と名づけられたといわれています。

構造が複雑で製造工程も難易度が高いという特徴がありますが、高電圧・高電流での動作に適しており、パワーデバイスやアナログ回路などで幅広く使用されています。

MOS型トランジスタ

金属(M)、酸化膜(O)、半導体(S)の3層構造で作られているMOS型トランジスタは、電界効果と呼ばれる原理により動作する電圧駆動型のデバイスです。スイッチング速度にすぐれ、トランジスタの面積を小さくできるメリットがあります。

半導体素子の活用例

① MPU(マイクロプロセッサ)

 パソコンやスマートフォンで演算を行う。CPU(Central Processing Unit)とも呼ばれる。

活用例:

  • パソコン:文書作成、インターネット閲覧、動画鑑賞、ゲームなど
  • スマートフォン:通話、メッセージ、アプリ利用、写真撮影、動画撮影など
  • サーバー:Webサイトの配信、データベース処理、クラウドサービスなど
  • 組み込みシステム:家電製品、自動車、医療機器など

②GPU(グラフィックプロセッサ)

画像処理専用の半導体素子。近年AIにも使われる。

活用例:

  • パソコン:動画編集、ゲーム、3Dグラフィック処理など
  • スマートフォン:ゲーム、写真編集、動画編集など
  • データセンター:画像認識、AI処理、機械学習など
  • 高性能計算機:科学シミュレーション、気象予報、遺伝子解析など

③メモリ

情報を記憶するデバイス。

活用例:

  • DRAM(Dynamic Random Access Memory):MPUの演算の一時記憶
  • NAND型フラッシュメモリ:文書・画像・音声を長期間保管

④FPGA(Field Programmable Gate Array)

現場で論理回路の構成をプログラムできる集積デバイス。

活用例:

  • 通信機器:ルーター、スイッチ、ネットワークインターフェースカードなど
  • 医療機器:CTスキャン、MRI、超音波診断装置など
  • 防衛システム:レーダー、ソナー、電子戦システムなど
  • その他:プロトタイピング、量産前のテスト、特殊な機能が必要な機器など

⑤通信モデムIC

アナログ信号とデジタル信号を変換して通信するIC。

活用例:

  • スマートフォン:携帯電話ネットワークへの接続
  • パソコン:インターネットへの接続
  • ルーター:複数のデバイスをインターネットに接続
  • 無線LAN機器:Wi-Fiネットワークへの接続
  • その他:GPS機器、IoT機器など

まとめ

半導体素子は、現代社会を支える電子機器の基盤となる重要なものです。電流制御、バンドギャップ、高集積度、信頼性、低電力消費などの特徴を持ち、MPU、GPU、メモリ、FPGA、通信モデムICなど、様々な電子機器で重要な役割を果たしています。

今後も、半導体技術の進化により、より高性能で多様な機能を持つ半導体素子が開発されることが期待されます。半導体素子は、私たちの生活を豊かにし、未来の可能性を広げてくれる技術だといえるでしょう。。

【参考文献】

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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