5th International Workshop on Spark Plasma Sinteringについてのレポート

著者:ラース・ヘルダール博士/ Kagaku-analys AB ( 菅製作所 欧州代理店)


2024年11 月 6 ~8 日にフランス、トゥールーズで開催された会議についてのコメントと所見をレポートします。私たちは、本会議において菅製作所と共同でスポンサーとして参加しており、菅製作所のSPS2000 を紹介する展示ブースを準備しました。

プレゼンテーションは 1 つのシアターでのみ行われたため、参加者全員 (約 115 名) が同じ時間を共有しました。展示エリアでは、ポスターセッションのコーナーもあり、そこでコーヒーとランチ休憩が提供されました。ポスターセッション専用の時間は設けられていなかったので、休憩中に会場内を回るというスタイルでした。

最初に、Christoph Laurent 教授がフランス初の SPS の 20 周年を記念する紹介を行いました。教授は講演の中で、SPS のトレーニングを受けるために2週間にわたり  Mats Nygren 教授の支援を受けたことを振り返りました。私に対してもフランスSPS第一号機の購入と設置時の手配への貢献に謝辞がありました。

会議中、15人の博士課程の学生によるベストプレゼンテーションのコンテストがあり、私は優勝者を選ぶ委員会の一員でした。受賞発表の際、私とストックホルム大学のミルバさんは壇上に招かれました。私はMats Nygren 教授の経歴を簡単に説明し、次のように言いました。

「皆さんはMats Nygren 教授が優れた研究者であり、ヨーロッパにおけるSPSの先駆者であったことを知っています。彼はまた非常に優れた教師でもあり、私とここにいるミルバさんはその側面からの彼の業績についてお話しできます。私は1977年に博士課程を開始し、彼の指導を受けた最初の博士課程の学生でした。そしてミルバさんは2010年に論文を発表し、彼の最後の学生でした。つまり、彼は33年もの長い間献身的に教育に携わり、彼が指導した博士課程の学生は15~20人ほどになります…」。

ここでも、Mats Nygren 教授とSPSの歴史とのつながりを再認識することが重要だと考えました。

5人の博士課程の学生によるベストプレゼンテーション
5人の博士課程の学生によるベストプレゼンテーション
5人の博士課程の学生によるベストプレゼンテーション

コンテストで優勝したVijaya Bhaskerさんは、実はIsabelle Lafitt-Montat研究室の博士課程の学生で、私が 2017 年頃に導入した SPS に取り組んでいます。これは、セッションの議長として Isabelle さんが私のプレゼンテーションを紹介したときにも言及されていました。

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現在、このテーマの投稿数から判断すると、主な研究方向は間違いなく積層造形です。これには通常、金属またはセラミックのグリーン ボディの 3D 印刷技術、また、SPSのように力が軸方向に適用される場合の焼結中の 3 次元収縮を考慮した初期形状の高度な計算が要求されます。

使用する助剤の種類、および焼結プロセスの前または最中にその助剤を取り除く方法について多くのディスカッションがありました。この研究は、大規模で定評のある大学 (ドイツやフランスのボルドー、トゥールーズ、パリ、および英国のシェフィールド、ポーランドなど) と、 Sintermatなどの大規模な企業やNorimatのような小規模な企業によって行われ、政府と大企業の両方が予算に貢献しています。

その他の分野としては、高温セラミック、B4C、 SiCなど、および電熱材料があります。コンテストで優勝した Vijaya Bhasker による発表は、スーパーコンピューターのフォノンスイッチに関する興味深く印象的なものでした。

私のプレゼンテーションはテクニカル トークのセッションに含まれていたので少し不服でした。アカデミック セッションで行われた方が良かったと思います。私は 菅製作所のSPS についてのコマーシャル トークとしてプレゼンテーションをしたわけではありません。

菅製作所について言及したのは、上の最初のスライドだけです。私のプレゼンテーションの後、Isabelle さんが FW 波形について質問したので、私の論文で使用しているグラフを使用して説明し、議論されました。後で Isabelle さんと話をして、私が説明に使ったラマン分光法は聴衆にとって馴染みがなかったのではないか尋ねたところ、彼女はよく理解されたと思うと言ってくれました。理解されていることが分かって良かったです。

セッションの他のプレゼンテーションは、富士電波工機、 GeniCore (ポーランド)、 Dr. Fritsch (ドイツ)、FCT (ドイツ)、Sheffield Univ ROYCE (英国企業) でした。これらの企業は、自社の機器ラインアップについて説明し、カタログのページを発表しましたが、アプリケーションについてのディスカッションはほとんどありませんでした。

 私たちの友人であるCalnano ( Melnyk ) は、クライオミリングについて主に話し、彼らが所有するさまざまな機器 ( Dr. FritschやSPS を含む) を紹介しました。ある大学の Dr. Sicard はAIについて話し、 同僚のBesira さんはそれを高く評価しました。

私たちは、マックス・プランクでユリ・グリンと一緒に働いていたが、何年も前にドレスデンのヘルムホルツ研究所に移ったイゴール・ヴェレムチュクのような、多くの古い顧客や知り合いに会いました。彼もまた、興味深いプレゼンテーションをしてくれました。

もちろん、私たちはトゥールーズとボルドーのグループのメンバー数人と会いました。彼らは私たちが長年知っている人たちです。

展示ブースでは、新しい装置購入の見込みはありませんでした。研究のほとんどは、定評のある大学やこれらの半官半民の企業で行われており、現在ヨーロッパに設置されているSPSの能力は、研究需要を満たすのに十分であるように思われます。

研究者と潜在的な企業の両方を含む多くの人々が、3D 印刷におけるブレークスルーにより、SPS に基づく新たな工業生産が開始されるのを待っていると思います。そうなれば、そのようなアプリケーションに適した経済的な生産ラインを設計する競争が始まるでしょう。

もちろん、そこで競争するには、この技術に関する経験を積み、何らかのデモンストレーションを行う必要があります。プロセス開発のすべての段階を行っている企業にとっては、生産機の販売は難しくないはずです。

全体として、良い会議だったと思います。SPS 技術に対する私たちの長年の経験と献身、そしてそれをさらに発展させたいという気持ちを再確認することができました。

5人の博士課程の学生によるベストプレゼンテーション

左から: Claude Estournes博士/CNRS、 Vijaya Bhasker /University de Tours Blois(コンテスト受賞者)、Dr. Mirva Eriksson/ストックホルム大学、 Dr. Lars Helldahl /Karaku Analys AB (このレポートの執筆者) 、Nicolas Albar /CIRIMAT(コンテスト受賞者)

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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