中型、大型船の操縦ってどうやっている?船の操縦をわかりやすく解説

 

今回は、「中型、大型船の操縦はどうやっているの?」を

①船のどこで操縦しているの?

②船のアクセルとブレーキはどうやっているの?

③船のハンドルはどうなっているの?

以上の3回シリーズで徹底解説してみたいと思います。

 

この記事は「船のどこで操縦しているの?」について解説していきます!

 

小型船、中型船、大型船の違い

 

まず、小型船、中型船、大型船といいますが、小型、中型、大型の区切りってお分かりになりますか?

この基準は、船舶法という法律でしっかり規定されています。

この法律によると、総トン数20トン以上船が大型船として区別されます。

総トン数20トン以下の物は、すべて小型船という区別になります。

 

では、中型船は?

 

実は、企業や団体によって区切りはいろいろあるのですが一般的に総トン数20トン以上で全長160m以下の船の事を中型船といいます。

 

ちなみに総トン数は、船の重量ではなく船の容積から船舶法で決めている計算方法で算出した容積トン数になりますが、容積が大きいことには変わりはありません。

 

中型船、大型船をどうやって操縦しているのでしょうか?

 

船の操縦は、

船の方向を決めるハンドルがある場所」と

船のエンジンを動かすハンドルがある場所

で分かれます。

 

・船の方向を決めるハンドルがある場所

 船の方向を決める操縦ハンドル(「舵輪」、「操舵ハンドル」と呼びます)は、船橋(ブリッジ)にあります。

 

・船のエンジンを動かすハンドルがある場所

 船橋(ブリッジ)機関制御室(コントロールルーム)機関室(エンジンルーム)にあります。

 

船橋機関制御室にあるハンドルは「テレグラフハンドル」と呼ばれています。

船橋機関制御室にある「テレグラフハンドル」はコンピューター制御(電気制御)されています。

 船橋機関制御室にある「テレグラフハンドル」以外に、機関室に「機関制御盤操縦ハンドル」があり緊急時に手動でエンジンを動かすための装置がついています。

この「機関制御盤操縦ハンドル」と操縦ハンドルは「テレグラフハンドル」と違って空気制御になっています。

 

なぜ、エンジンの操縦場所が3カ所あるの?

各操縦位置には役割に応じて、それぞれ操縦権が存在します!

操縦権とは、エンジンを動かすための権利です。

 

各操縦位置に、操縦権をとるための押しボタンがあり、押すとエンジンを動かす権利を得ることができます。

操縦権には、強弱があり「船橋」が一番弱く、「機関室」が一番強くなっています。

 

下記のように力関係を表すことができます。

船橋 < 機関制御室 < 機関室  

※右に行くほど操縦権が強い

 

つまり、船橋でエンジンを動かすためのハンドルを操作していても操縦権を強制的に機関制御室もしくは機関室に移すことができます。

 

なぜそんな事が必要なのかというと、エンジンを安全に運転するためです!

一度、出航すると24時間エンジンを動かしっぱなし、6カ月間航行する船もあるため、陸地も見えないような海の真ん中でエンジンが故障して止まってしまうと船は漂流してしまいます。

船の乗組員20~30人が命の危機に直面することになります

漂流してしまうと、座礁する危険や転覆する危険があります。

 

まさに船はエンジンが命!!

 

機関制御室に常駐している機関士さんたちが危険と感じたら強制的にエンジンの回転数を抑えたり、停止させて、点検や修理をしなければなりません。

 

また、操縦権が一番強い機関室にある「機関制御盤と操縦ハンドル(空気制御)」は、「テレグラフハンドル(コンピューター制御)」が故障した時に使用します。

 

機関制御盤と操縦ハンドル(空気制御)」は、空気圧でエンジンを動かすことができます。

 船橋機関制御室にある「テレグラフハンドル」を操作すると、コンピューターが自動で空気制御し、エンジンを動かします。

このコンピューターが行っている動作を機関室の「機関制御盤と操縦ハンドル」を使い手動で行うことができます。

 

ですから、よく映画で船のコンピューターがウイルスで乗っ取られてしまったという話がありますが、船乗りからすると手動でエンジンを操作できるので、まず考えられない話です!!

上記ではハンドルは3ヶ所にあると説明しましたが、船舶を運行する会社によっては、船橋に船を動かすためのハンドルをつけていない場合もあります。

その場合は、船橋から機関制御室にエンジンの回転数を連絡し機関士さんがエンジンを動かすためのハンドルを操作します。

 

いかがでしたでしょうか?

海で船を見かけた時は、操縦ハンドルがどこにあるのか当ててみてくださいね!

 

 

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この記事を書いた人

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