「チタン」と聞くと、聞き覚えがあると思います。
しかし、どのような性質があって、身近なものにはどう使われているの?と聞かれたら答えにくい元素の一つです。
そこで今回は、チタンについて解説。チタンが持つ性質や社会での活用方法、語源や発見者についても紹介していきます。
面白い性質を持っている元素なので、一緒に学んでいきましょう。
チタンの性質と特徴
チタンは軽くて硬い元素です。高い温度にも耐えるほど丈夫で、錆びにくい特徴を持ちます。反面、価格が高い、加工が難しいなどの難点も。
表面に薄い酸化膜を形成する性質もあり、内部まで錆が進行しない、この膜のお陰で金属アレルギーを起こしにくいといったメリットがあります。
自然界では岩石中に多く存在し、「金紅石」や「楔石」といった形で存在しています。ちなみに、アポロ11号が持ち帰った「月の石」には数%のチタンが含まれていたとか。
では、社会でどのように使われているのか、一つひとつ見ていきましょう。
チタンの社会での活用方法
チタンは「形状記憶合金」、「歯科用インプラント」、「白色顔料」などの成分として使用されています。それぞれ見ていきましょう。
形状記憶合金
チタンとニッケルを合わせた合金は、変形しても形状が元に戻るという性質があり、形状記憶合金として使われます。
最近ではメガネのフレームなどにも形状記憶合金が用いられていますよね。ちなみに、昔の携帯電話には伸びるアンテナがあり、アンテナの素材も形状記憶合金でした。
歯科用インプラント
近年注目を浴びている「インプラント治療」、歯を失った場合に行う治療の一つであり、治療で使われるインプラント本体はチタンでできています。
アゴの骨の中にインプラントを埋め込むのですが、実はチタンは骨と結合しやすく一体化してくれるんです。
白色顔料
白色顔料(水に溶けない塗料)は、酸化チタンを主成分としています。通称「チタン白」。光や熱、薬品に対する影響を受けにくく、毒性も無いため多くのものに活用しやすいのが特徴です。
ちなみに、舞妓さんが塗るおしろいにもチタン白を用いた粉が使われています。
チタンの歴史
- 元素記号:Ti
- 英語名:Titanium
チタンの語源は、ギリシャ神話の巨人「タイタン」です。オリンポスの神々との戦いに敗れたタイタンは地底に封じ込められた、という逸話から鉱石中に封じ込められた元素として「チタン」という名前に。
発見については、グレゴーが発見し、ドイツの科学者クラプロートが特異的な酸化物であることを発表、その際「チタン」と名付けられました。
まとめ
今回は「チタン」について解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通り。
- チタンは軽くて硬く、錆びにくい特徴を持つ
- 「形状記憶合金」、「歯科用インプラント」、「白色顔料」などに使用される
- チタンの語源はギリシャ神話の巨人「タイタン」
高校で勉強する他の元素については、以下の記事にてまとめております。併せてご覧いただけると、更に理解が深まるのでぜひご覧ください!
参考サイト
チタンの特徴や種類、用途
Periodic Table Ti
チタン – イラスト周期表
チタンの歴史 | チタンについての情報 | 株式会社ティグ
チタン白 – 印刷用語集
インプラントにチタンが使われるワケ