学校の授業で元素を覚える際に「水平リーベー僕の船」なんて聞いたことありませんか?
化学が苦手だった人には覚えるのも一苦労だったと思いますが、今日はその元素についてわかりやすく解説していきます。
目には見えないけれど、生物が生きる為に必要な「酸素」、最近、自動車などで注目されている「水素」、私たちの身近には元素を使った物が数多く溢れています。
今回ご紹介する元素は、理科の授業で一般的に勉強する「H~Ca」までの20個、さらに最近発見された元素まで、具体的にどこに使われているのか、さらに歴史についてもお話していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 1 水素(記号:H /原子番号:1)
- 2 ヘリウム(記号:He / 原子番号:2)
- 3 リチウム(記号:Li / 原子番号:3)
- 4 ベリリウム(記号:Be / 原子番号:4)
- 5 ホウ素(記号:B / 原子番号:5)
- 6 炭素(記号:C / 原子番号:6)
- 7 チッ素(記号:N / 原子番号:7)
- 8 酸素(記号: O / 原子番号:8)
- 9 フッ素(記号:F / 原子番号:9)
- 10 ネオン(記号:Ne / 原子番号:10)
- 11 ナトリウム(記号:Na / 原子番号:11)
- 12 マグネシウム(記号:Mg / 原子番号:12)
- 13 アルミニウム(記号:Al / 原子番号:13)
- 14 ケイ素(記号:Si / 原子番号:14)
- 15 リン(記号:P / 原子番号:15)
- 16 硫黄(いおう)(記号:S / 原子番号:16)
- 17 塩素(記号:Cl / 原子番号:17)
- 18 アルゴン(記号:Ar / 原子番号:18)
- 19 カリウム(記号:K / 原子番号:19)
- 20 カルシウム(記号:Ca / 原子番号:20)
- 21 チタン(記号:Ti / 原子番号:22)
- 22 鉄(記号:Fe / 原子番号:26)
- 23 ニッケル(記号:Ni / 原子番号:28)
- 24 金(記号:Au / 原子番号:79)
- 25 水銀(記号:Hg / 原子番号:80)
- 26 ニホニウム(記号:Nh / 原子番号:113)
- 27 モスコビウム(記号:Mc / 原子番号:115)
- 28 まとめ
水素(記号:H /原子番号:1)
1.歴史
水素は1766年、イギリスの「ヘンリー・キャベンディッシュ」が世界で初めて水素を作った人です。
激しく燃えることから当時は「燃える気体」と呼ばれました。
2.性質・特性
先ほどお話した通り、水素は火をつけると激しく燃えます。「水素爆発」と呼ばれる現象もあるほど。
また、水素は元素の中で最も軽く、更に宇宙で最も多く存在する元素でもあります。
3.用途
「燃料電池」
水素と酸素を化学反応させて、電気を発電する装置のこと。最近では「燃料電池自動車(FCV)」にも使用されています。
水素については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
ヘリウム(記号:He / 原子番号:2)
1.歴史
ヘリウムは1868年、イギリスの「ロッキャー」、フランスの「ジャンセン」が太陽を観測している時に発見しました。
この時はまだ地球上で発見されておらず、ギリシャ神話の「太陽神ヘリオス」から取られ「ヘリウム」という名前になったそう。
2.性質・特性
不燃性の元素であり、宇宙で2番目に多く存在する元素。しかしながら、地球の大気中には約0.0005%しか存在しないので、激レアな元素なんです。
3.用途
「ヘリウムガス」
この名前を聞くとピンと来る方も多いのではないでしょうか?
風船に使われたり、声を変えるジョークグッズとして使われたり、ヘリウムは意外と身近にあります。
ヘリウムについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
リチウム(記号:Li / 原子番号:3)
1.歴史
リチウムは、1817年にスウェーデンの「アルフェドソン」が発見しました。
2.性質・特性
金属の中で最も軽い元素です。重要なレアメタルの一つであり、獲得競争が激しい元素になります。
3.用途
「リチウムイオン電池」
スマホやノートパソコンのバッテリーとして使用される電池であり、実はあなたの生活に根付いている元素です。
最近では開発が進んでいる「電気自動車」でも使用されていますよね。
リチウムについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
ベリリウム(記号:Be / 原子番号:4)
1.歴史
ベリリウムは、1798年にフランスの「ボークラン」が発見しました。
2.性質・特性
ベリル(緑柱石)と呼ばれる鉱石を構成する主要な元素です。
天然のベリリウムは、がんの原因や肺の機能を妨げると言われており、毒性の高い元素とされています。
3.用途
「宝石」
水色のベリルは「アクアマリン」と呼ばれ、緑色のベリルは「エメラルド」と呼ばれます。
ベリリウムについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
ホウ素(記号:B / 原子番号:5)
1.歴史
ホウ素は1808年、フランスの「ゲイ=リュサック」「ルイ・ジャック・テナール」が発見しました。
2.性質・特性
ホウ酸を構成している元素であり、軽く溶けにくい半金属です。
その為、ガラスに混ぜると耐火ガラスにすることができます。
化学の実験で「フラスコ」を火にかけても平気な理由は、ホウ素が働いてくれているからなんですね。
3.用途
「除菌効果」
水に溶かすと殺菌力があるため、目薬、湿布、石鹸など除菌効果を得たい物に使用されます。
ホウ素については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
炭素(記号:C / 原子番号:6)
1.歴史
不明
2.性質・特性
炭素は結晶構造により性質が変わることで有名です。また、結晶構造を持たない炭素も存在します。
3.用途
「ダイヤモンドと鉛筆」
手に入りやすさでは両極にあるこの二つ、実はどちらも「炭素」なんです。
チッ素(記号:N / 原子番号:7)
1.歴史
チッ素は、1772年スコットランドの「ラザフォード」が発見しました。
2.性質・特性
地球の空気中で最も多く存在する元素です。
その数はなんと酸素の4倍!
実は私たちが吸っている空気は、窒素がほとんどなんです。
3.用途
「液体窒素」
冷却剤として知られる「液体窒素」は、チッ素を-196℃にすることで生まれます。
酸素(記号: O / 原子番号:8)
1.歴史
酸素は、1771年にスウェーデンの「シェーレ」が、1774年に「プリーストリー」がそれぞれ発見しています。
2.性質・特性
人間を含め、全ての生物が呼吸をする為に必要な元素です。
チッ素の項目でもお話しましたが、空気中の含有量は約20%ほどで、実はそれほど多くありません。
3.用途
「酸素ボンベ」
走り終わったマラソンランナーなどが吸引したり、スキューバダイビングで使用したりしますよね。
フッ素(記号:F / 原子番号:9)
1.歴史
フッ素は、1886年にフランスの「モアッサン」が発見しました。
2.性質・特性
ヘリウムと、ネオン以外の「全ての元素」と反応する反応性の高い元素であり、
単体のフッ素は毒性が高く危険な元素です。
ですが、自然界で単体で存在している事はなく、「フッ化物」と呼ばれる形になると日常的に摂取しても(よほど大量に摂取しない限りは)問題はありません。
3.用途
「歯磨き粉」
最近「フッ素配合」と書かれた歯磨き粉をよく見かけませんか?
歯医者さんでは直接塗ってれたりもします。
あれは、フッ素が歯の表面を修復してくれるからなんです。
ネオン(記号:Ne / 原子番号:10)
1.歴史
ネオンは、1898年に「ラムゼー」と「トラバース」が発見しました。
2.性質・特性
化学反応性がない安定した元素です。
3.用途
「ネオン管」
洋画などでよく出てくる、カラーの蛍光灯のようなネオン菅。
実は、低圧のネオンに電圧をかけると、赤い橙色に輝くんです。
日本では、大阪の道頓堀にある「グリコ」の看板、あれ昔はネオンサインだったそうです。(現在はLEDに変わってます)
ナトリウム(記号:Na / 原子番号:11)
1.歴史
ナトリウムは、1807年にイギリスの「デービー」が発見しました。
2.性質・特性
金属であるにも関わらず、ナイフで切ることができるほど柔らかい元素。
ちなみに、水に入れると激しく反応し、火が出て爆発します。そのため、ナトリウムを保存する時は「石油」の中に入れて保存されます。
3.用途
「食塩」
食卓に欠かせない食塩、これにはナトリウムが含まれています。
マグネシウム(記号:Mg / 原子番号:12)
1.歴史
マグネシウムは、1808年にイギリスの「デービー」が発見しました。
2.性質・特性
地球上では8番目に多い元素であり、鉱石の他に、海水からも取ることができます。
ちなみに、マグネシウムを燃やすと強い光を発することは有名ですが、昔は写真撮影の時に使われていたそうですよ。
(フラッシュを焚く、の語源はここだとか)
3.用途
「マグネシウム合金」
工業製品に利用される金属の中では、最も軽い金属であり、最近では一眼レフカメラのフレームなどにも使用されています。
重さはアルミニウムの3分の2、鉄の4分の1だとか。
アルミニウム(記号:Al / 原子番号:13)
1.歴史
アルミニウムは、1825年にデンマークの「エールステッド」が発見しました。
2.性質・特性
熱をよく伝える金属であり、非常に軽く加工が容易です。
今でこそ単離が容易な金属ですが、昔はそのやり方が不明だったため、貴重な金属だと言われていました。
3.用途
「アルミホイル、アルミ缶、一円玉」
人工物としては最も身近にある元素の一つかもしれません。
ケイ素(記号:Si / 原子番号:14)
1.歴史
ケイ素は、スウェーデンの「ベルセリウス」が発見しました。
2.性質・特性
地殻中に非常に多く存在し、酸素の次に多く存在する元素として知られています。
固くてもろい非金属です。
3.用途
「基盤」
ケイ素は「半導体」と呼ばれる物質であり、パソコンやゲームを動かす為に必要な基盤(緑色の板)に使用されています。
リン(記号:P / 原子番号:15)
1.歴史
リンは、1669年にドイツの錬金術師「ブラント」が発見しました。
2.性質・特性
非常に燃えやすい性質を持っており、空気中で自然に燃え始めることもあります。
(これが「ヒトダマ」では無いかという噂もあります)
3.用途
「マッチ箱の摩擦面」
棒ではなく、箱側にリンが使われています。大昔は黄リンマッチという物があり、今のものより燃えやすかったんですよ。
硫黄(いおう)(記号:S / 原子番号:16)
1.歴史
不明
2.性質・特性
火山ガスや温泉水などに多く含まれる元素。実は、硫黄単体では匂いが無く、水に溶けることで「硫化水素」となり、臭くなります。
3.用途
「マッチ棒」
リンがマッチの箱なのに対し、硫黄はマッチ棒。先端の赤い部分に硫黄成分が含まれています。
塩素(記号:Cl / 原子番号:17)
1.歴史
塩素は、1774年にスウェーデンの「シェーレ」が発見しました。
2.性質・特性
殺菌力のある元素です。
食塩にも使用されます、ナトリウムと合わせて「NaCl」、聞いたことある方も多いのではないでしょうか。
3.用途
「消毒剤」
一番イメージしやすいのは、プールに入る前の消毒スペース。薬っぽい匂いのする水の正体は、次亜塩素酸ナトリウムを溶かしたものなのです。
アルゴン(記号:Ar / 原子番号:18)
1.歴史
アルゴンは、1892年にイギリスの「レイリー」と「ラムゼー」が発見しました。
2.性質・特性
化学反応を起こさない安定した元素。
そのため、実験などで「他の元素との反応を避けたい」時に、アルゴンを吹き付けて使用することもあります。
3.用途
「蛍光灯」
蛍光灯の中身は、実はアルゴンと水銀の蒸気が詰まっています。生活必需品ですね。
アルゴンについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
カリウム(記号:K / 原子番号:19)
1.歴史
カリウムは、1807年にイギリスの「デービー」が発見しました。
2.性質・特性
体内の細胞内に多く存在している元素です。
ちなみに、細胞の外にはナトリウムが多く存在しています。
3.用途
「肥料」
植物にとって必要な元素であり、カリウム入りの肥料は非常に多く存在します。
カルシウム(記号:Ca / 原子番号:20)
1.歴史
カルシウムは、1808年にイギリスの「デービー」が発見しました。
2.性質・特性
カリウム同様、イオン化傾向が大きい元素。
また、骨を構成する重要な元素であり、私たちの身体に必要不可欠なものです。
3.用途
「セメント」
コンクリートを作る材料の一つであり、このセメントにはカルシウムが含まれています。
チタン(記号:Ti / 原子番号:22)
1.歴史
チタンは、1970年にイギリスの「グレガー」が発見しました。
2.性質・特性
軽いのに硬い元素で、高温にも耐える強い元素です。
3.用途
「ロケットエンジン」
高温に耐えることや、強度が高いことから飛行機、ロケットエンジンなど負荷の強い部分に使える元素となります。
鉄(記号:Fe / 原子番号:26)
1.歴史
不明
2.性質・特性
金属として最もよく使われている元素です。硬いイメージがありますが、実は鉄単独では軟らかい金属なんです。
3.用途
【建物、船】
多くの建造物に使用されています。最近では鉄筋のマンションなども増えましたよね。
また、鉄は船のボディーにも使用されています。
ニッケル(記号:Ni / 原子番号:28)
1.歴史
ニッケルは、1751年にスウェーデンの「クローンステット」が発見しました。
2.性質・特性
鉄と銅の中間的な性質の元素で、安定した金属です。
クロムと一緒に混ぜられた合金は「ステンレス」と呼ばれ、様々な物に使用されています。
3.用途
【50円玉、100円】
ニッケルは銅と混ぜられ、50円、100円の硬貨に使用されています。
日常で使用する最も身近な元素の一つなんですね。
以上が、一般的に学校の授業で覚える元素です。ここからは最新の元素についてご紹介していきます。
金(記号:Au / 原子番号:79)
1.歴史
金の歴史は古く、発見者は不明とされています。金(Au)の語源は「輝く」という意味のラテン語に由来します。
2.性質・特性
元素としての金は安定で、酸化されにくい性質を持ちます。物質としての金は柔らかく、伸びやすい特徴を持ちます。
3.用途
「アクセサリー」
金は昔からアクセサリーやジュエリーなど装飾品として注目を集めていました。その歴史はなんと5000年以上も前だとか。
金については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
水銀(記号:Hg / 原子番号:80)
1.歴史
水銀の歴史は古く、中国では紀元前2000年頃に利用された記録が残っています。語源はラテン語の「hydrardyrum」とされており、これは「hydro(水)」と「argyrum(銀)」を組み合わせた単語になっています。
2.性質・特性
金属の中で唯一常温で液体の金属ですが、蒸気は毒性が強いなど、危険な元素の一つでもあります。
3.用途
現在は水銀を使用した製品は減りました。しかし、今現在でも「蛍光灯」など水銀を使用した製品は残っています。
水銀については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、良ければご覧ください。
ニホニウム(記号:Nh / 原子番号:113)
1.歴史
ニホニウムは、2016年に日本の「森田 浩介」教授が発見しました。
2.性質・特性
人工的に作られた元素の一つで、「亜鉛」と「ビスマス」を融合させることによってできあがります。
ちなみに、400000000000000回(400兆回)挑戦して、成功回数は3回出そう。
3.用途
「まだ使用されていない」
ニホニウムの寿命はなんと「約1000分の2秒」
先ほどお話したように、作り出すのが大変である上に寿命が極端に短いため、まだ活用法は見出せていません。
モスコビウム(記号:Mc / 原子番号:115)
1.歴史
モスコビウムは、2003年にロシアとアメリカの研究者チームにより合成されました。
2.性質・特性
ニホニウムと同じ、人工的な元素の一つです。
「アメリシウム」と「カルシウム」の核融合で作成される元素であり、正式な名前が決まるまでは「ウンウンペンティウム」と呼ばれていました。
3.用途
「まだ使用されていない」
研究目的で使用されており、まだ一般的には使用されていないようです。
まとめ
今回は、元素の歴史や性質について解説させていただきました。この記事で、苦手な元素も身近に感じていただければ幸いです。
菅製作所では、成膜を作る装置を製造しております。成膜を作る上で欠かせないのは元素。
例えば、スパッタ装置では、二酸化ケイ素(SiO2)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミ(AL)、鉄(Fe)の成膜材料を使用しテスト成膜サービスをしております。
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参考サイト
・全体(特別記載の無い元素はこちらのサイトを参照)
・水素
・ヘリウム
【化学の歴史】 He(ヘリウム)の歴史 – 別府市学習塾 進学予備校ウインロード | 上野丘・舞鶴・鶴見丘受験、難関大学受験
・ベリリウム
化学 一問一答 【高校】第3編 無機物質 第1章 非金属元素
・ホウ素
5分でわかるゲイ=リュサックって誰?気体反応に関する法則が発見されるまでを科学館職員が解説! – Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン
・マグネシウム
【中2理科】「マグネシウムの燃焼」 | 映像授業のTry IT (トライイット)
・ニホニウム
日本が命名した113番元素「ニホニウム」 ~新元素発見までの道のりとこれから~ | Science Portal
この春、教科書にも載る! 日本人が発見した新元素「ニホニウム」って何?
・モスコビウム