AFM(原子間力顕微鏡)は、SPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種です。SPMについて知りたい方は以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
この記事では、原子間力を使用した顕微鏡はどのような仕組みで試料を観測しているのか、わかりやすく解説していきます。
普段から原子に関わる仕事をしている「菅製作所」だからお伝えできる情報をお届けしますので、参考にしていただけると幸いです。
それでは、早速見ていきましょう。
AFM(原子間力顕微鏡)とは、原子間力を使用した顕微鏡
AFMとは、原子間力を使用し、表面の形状を観察するための顕微鏡です。試料を大気中、無処理で高分解能観察できる顕微鏡であるため、SPMの中でも特に多く活用されます。
STM(走査型トンネル顕微鏡)と異なり導体、半導体、絶縁体の区別なく測定できるのも強みの一つです。
欠点としては、通常のAFMであれば一枚の画像を作成するのに数分かかってしまうため、動画が作成できなかったこと。最近では「高速AFM」が作られたことにより、動画化も可能となっています。
AFM(原子間力顕微鏡)の仕組み
方法としては、ステージ(台)に試料を乗せ、針、レーザーを用いて形を計測します。針と試料それぞれに+の電荷を帯びさせることで、針と試料が反発。反発力が発生した瞬間にステージが離れることで、試料を傷つけずに表面を測定できることが特徴。
この際、カンチレバー(針をつけた板)にレーザーを当て、カンチレバーが歪むことによりレーザーの反射角が変わることで測定することができるのです。
AFMは非伝導性物質も観察することができ、様々な分野で用いられています。次の項目で画像と共に紹介しましょう。
AFM(原子間力顕微鏡)の実像サンプル
この観察がされるまで、ミオシンVの運動は予想されているに過ぎない内容でした。高速AFMを用いて動画を撮影することで、ミオシンVが「歩く」姿が確認されました。
以下のページではタンパク質とミオシンVの運動に関するサンプルが公開されています。貴重なサンプルですので、ぜひご覧ください。
AFM(原子間力顕微鏡)の歴史
元々、試料表面上を観察する為に「STM:走査トンネル顕微鏡」が開発されていました。しかし、STMはトンネル電流を検出することにより表面を観察していたため、導電性の試料しか観察できないという難点があります。
そこで、1986年、「ゲルト・ビーニッヒ」博士、「カルヴァン・クアート」博士らにより原子力間を電気信号に変えるAFMが開発され、今日に至ります。
まとめ
今回はAFM(原子間力顕微鏡)について解説させていただきました。最後にポイントを振り返りましょう。
- AFMは原子間力を利用し、カンチレバーの歪みとレーザーの反射により試料表面の凹凸を測定する顕微鏡
- STMでは実現できなかった非伝導性物質も測定可能
- 従来は画像のみであったが、高速AFMの誕生により、動画化できるようになった
- AFMは1986年に開発された
AFMはSPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種であると冒頭にお話ししました。SPMについて詳しくは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
SPM(走査型プローブ顕微鏡)とは?種類や社会での活用方法、歴史を解説
参考サイト
AFM(原子間力顕微鏡)
[サイエンスZERO] 世界が驚がく!「ゲノム編集の瞬間まで見える顕微鏡」“ナノサイズの動き”が観察可能に!| 高速原子間力顕微鏡(高速AFM) | NHK
原子間力顕微鏡(AFM) | 表面粗さ測定機器 | 粗さ入門.com | キーエンス
原子間力顕微鏡の原理 (AFM: Atomic Force Microscopy) | AFMの原理 1-1
AFMの歴史 : 日立ハイテク