AFM(原子間力顕微鏡)とは?原理・仕組み・特徴を分かりやすく解説!

AFM(原子間力顕微鏡)とは?仕組み・特徴・歴史を分かりやすく解説!

AFM(原子間力顕微鏡)は、SPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種です。SPMについて知りたい方は以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

この記事では、原子間力を使用した顕微鏡はどのような仕組みで試料を観測しているのか、わかりやすく解説していきます。

普段から原子に関わる仕事をしている「菅製作所」だからお伝えできる情報をお届けしますので、参考にしていただけると幸いです。

それでは、早速見ていきましょう。

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AFM(原子間力顕微鏡)とは、原子間力を使用した顕微鏡

AFM(原子間力顕微鏡)とは、原子間力を使用した顕微鏡

AFMとは、原子間力を使用し、表面の形状を観察するための顕微鏡です。試料を大気中、無処理で高分解能観察できる顕微鏡であるため、SPMの中でも特に多く活用されます。

STM(走査型トンネル顕微鏡)と異なり導体、半導体、絶縁体の区別なく測定できるのも強みの一つです。

欠点としては、通常のAFMであれば一枚の画像を作成するのに数分かかってしまうため、動画が作成できなかったこと。最近では「高速AFM」が作られたことにより、動画化も可能となっています。

AFM(原子間力顕微鏡)の仕組み

AFM(原子間力顕微鏡)の仕組み

方法としては、ステージ(台)に試料を乗せ、針、レーザーを用いて形を計測します。

針と試料それぞれに+の電荷を帯びさせることで、針と試料が反発。反発力が発生した瞬間にステージが離れることで、試料を傷つけずに表面を測定できます。

この際、カンチレバー(針をつけた板)にレーザーを当て、カンチレバーが歪むことによりレーザーの反射角が変わることで測定することができるのです。

AFM(原子間力顕微鏡)で観察できること

AFMは、試料表面の凹凸をナノスケールで可視化できる顕微鏡で、表面構造の観察だけでなく、素材の硬さや電流の抵抗値まで幅広く評価できる装置です。

ここでは、AFMでどのような情報が得られるのかを、具体的な測定項目ごとに詳しく見ていきましょう。

物体の表面構造

AFMでは、様々な物体の素材や加工品、成形品の表面粗さの測定ができます。

表面粗さの評価は、仕上がりの均一性や外観品質の管理だけでなく、製品寿命や摩擦特性、機械効率の向上にも直結する重要な工程です。

例えば、光沢仕上げの反射特性、パッケージの気密性、シボ加工の質感、クラッチやバルブの摩擦力、基板やメッキの密着性、印刷紙の印刷品位、光学部品の性能など、幅広い評価に活用できます。

素材の硬さ

AFMでは、弾性率や粘弾性といった機械特性を測定し、素材の「硬さ」や力に対する応答性を詳しく評価できます。

弾性率は、外力を加えたときの“たわみにくさ”を示す指標で、値が高いほど硬く変形しにくい素材であることを意味します。

一方、粘弾性は“粘り”と“元に戻ろうとする性質”を併せ持つ特性で、衝撃の吸収性やエネルギー伝達の分析に役立ちます。

これらを測定することで、タイヤのように強度と柔軟性の両立が求められる材料設計にも活用できます。

電流の抵抗値

AFMは、表面構造だけでなく電流の抵抗値も測定できます。

抵抗が大きい素材ほど電流は流れにくく、逆に抵抗が小さい素材は電流が流れやすい性質を持ちます。

特に、一定の電圧を加えた際に抵抗値が小さい材料は帯電防止性が高く、静電気による電気破壊を防ぎやすくなります。

AFMによる電流抵抗値の評価は、電子部品や導電性材料の品質管理、帯電防止材料の開発など、幅広い製品設計に活用できる重要な手法です。

AFM(原子間力顕微鏡)の実像サンプル

AFMは非伝導性物質も観察することができ、様々な分野で用いられています。

以下で画像と共に紹介しましょう。

タンパク質とミオシンVの運動の観察

出典:SS-NEX|高速原子間力顕微鏡(高速AFM)|製品|製品・サービス|生体分子計測研究所

この観察がされるまで、ミオシンVの運動は予想されているに過ぎない内容でした。高速AFMを用いて動画を撮影することで、ミオシンVが「歩く」姿が確認されました。

F1-ATPaseの回転・構造変化の観察

出典:SS-NEX|高速原子間力顕微鏡(高速AFM)|製品|製品・サービス|生体分子計測研究所

AFM(原子間力顕微鏡)2つの測定モード

AFMの測定モードは、大きく分けて以下の2つがあります。

  • コンタクトモード
  • ダイナミックモード

次項で詳しく見ていきましょう。

コンタクトモード

コンタクトモードは、比較的硬い材料の表面形状を評価する際に用いられる測定方式です。

この方式では、探針(カンチレバー先端)が試料表面に常に接触した状態で走査を行い、その際に生じるたわみ量を検出して形状を計測します。

原理がシンプルで高い分解能を得やすい一方、探針が試料に触れ続けるため、摩擦によって柔らかい材料を傷つけてしまう可能性がある点には注意が必要です。

ダイナミックモード

ダイナミックモードは、カンチレバーを共振周波数付近で振動させながら試料表面を測定する方式です。
探針が試料と相互作用することで生じる振幅変化が一定になるように、高さを自動制御する仕組みになっています。

コンタクトモードに比べて試料へのダメージが少なく、さらに硬めのカンチレバーを使用することで静電気の影響も抑えられるという利点があります。

また、取得できる位相信号から粘弾性に関する情報を得られるのも特徴です。

AFM(原子間力顕微鏡)の歴史

AFM(原子間力顕微鏡)の歴史

元々、試料表面上を観察する為に「STM:走査トンネル顕微鏡」が開発されていました。

しかし、STMはトンネル電流を検出することにより表面を観察していたため、導電性の試料しか観察できないという難点があります。

そこで、1986年、「ゲルト・ビーニッヒ」博士、「カルヴァン・クアート」博士らにより原子力間を電気信号に変えるAFMが開発され、今日に至ります。

まとめ

今回はAFM(原子間力顕微鏡)について解説しました。

最後にポイントを振り返りましょう。

  • AFMは原子間力を利用し、カンチレバーの歪みとレーザーの反射により試料表面の凹凸を測定する顕微鏡
  • STMでは実現できなかった非伝導性物質も測定可能
  • 従来は画像のみであったが、高速AFMの誕生により、動画化できるようになった
  • AFMは1986年に開発された

AFMはSPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種であると冒頭にお話ししました。

SPMについて詳しくは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

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参考サイト

AFM(原子間力顕微鏡)
原子間力顕微鏡(AFM) | 表面粗さ測定機器 | 粗さ入門.com | キーエンス
原子間力顕微鏡の原理 (AFM: Atomic Force Microscopy) |  AFMの原理 1-1
AFMの歴史 : 日立ハイテク
原子間力顕微鏡(AFM)で観察できるものとは|PicoAFM

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

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