スパッタ装置のメンテナンス方法|現場で役立つ点検・清掃・トラブル対策

スパッタ装置を安定して使い続けるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。

本記事では、スパッタ装置のメンテナンスに関するよくある質問をQ&A形式でわかりやすくまとめました。 

日常点検のポイントやトラブル時の確認方法など、実務に役立つ内容を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 

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Q1. スパッタ装置のメンテナンスは、なぜ必要なのか?

メンテナンスを行う主な目的は、以下の3点です。

  • 装置を長期にわたって使用できる状態に保つ
  • 成膜の再現性を高め、安定した品質を維持する
  • スパッタ前の真空引きをスムーズに完了させる

日常的なメンテナンスを怠ると、装置の性能が徐々に低下し、トラブルの原因になってしまいます。

Q2. スパッタ装置のメンテナンス不足で起こりやすい不具合は何か?

メンテナンスが不十分な場合、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • 真空引きに時間がかかるようになる
  • 到達真空度が悪化する
  • シールド板金へ成膜された膜が剥がれ、ターゲット表面に落下して異常放電を引き起こす。または基板上に落下してパーティクルの原因となる
  • カソードとチャンバーアースの間に導電性の異物が挟まり、ショートによる放電不良が発生する

いずれも成膜品質や装置の稼働に直接影響するトラブルになります。

Q3. スパッタ装置は、どこをメンテナンスすべきか?

メンテナンスが必要な主な箇所は次のとおりです。

  • ロータリーポンプ:オイル交換
  • ターボ分子ポンプ:ベアリング交換およびオーバーホール
  • チャンバー内部:定期的な清掃
  • シールド板金:成膜された材料の除去

これらを定期的に点検・整備することで、装置の性能を維持できます。

Q4. 異常放電や放電不良が起きたとき、まず何を確認すべきか?

異常放電や放電不良が発生した場合、以下の手順で確認を進めてください。

  • 異常放電の状態を観察・記録する:放電の色や様子(点滅しているか、放電がチャンバー内を回っているかなど)を確認し、写真やビデオに残す。装置メーカーに送って状況を共有するのも有効
  • チャンバーをベントしてターゲット表面を確認する:異物が付着していれば清掃する
  • テスターで抵抗値を測定する:カソードとチャンバーアース間の抵抗値が低い場合は、導電性の異物が挟まっている可能性が高い(必ず装置電源を落として確認を行うこと!感電に注意)

Q5. スパッタ装置のメンテナンス頻度はどう決めるべきか?

メンテナンスの頻度については、装置の取扱説明書に記載されている内容を基本としてください。

毎日実施すべき点検と、月1回など定期的に行う作業が区別して記載されていることが多いため、しっかりと読み込んだうえで実施することが重要です。 

Q6. 自社で対応できるメンテナンスと、専門メーカーに依頼すべき作業の違いは何か?

判断の基準となるのは、やはり取扱説明書です。

自社で実施できる作業の範囲と、メーカーへの依頼が必要な作業の区別が記載されていますので、必ず内容をよく確認したうえで作業を行ってください。 

Q7. スパッタ装置のメンテナンス時に注意すべきポイントは何か?

作業を安全に行うために、以下の点に注意してください。

  • 作業前に装置の受電ブレーカーを落とす(感電防止)
  • 手袋を着用する:真空内部部品への水分や皮脂の付着を防ぐとともに、けが防止にもなる
  • ハッチのシール面を傷つけない
  • Oリングのシール部分を傷つけない

特にOリングやシール面の損傷は、真空性能に直接影響するため慎重に扱ってください。

Q8. トラブルを減らすために、日常点検で見るべきポイントは何か?

毎日行う点検と、期間を決めて行う定期点検に分け、主なチェック項目を以下の表にそれぞれまとめました。

毎日1回行う点検

点検項目確認内容
冷却水供給圧力・水量正常範囲内であること
プロセスガス圧力正常範囲内であること
ロータリーポンプ(RP)動作音異常音がないこと
ターボ分子ポンプ(TMP)動作音異常音がないこと
真空計正常な真空度が表示されること
防着シールド板膜剥がれがないこと
ターゲット残量厚みを確認し、残量があること
危険警告ラベル剥がれていないこと
マニュアル装置近くに常備されていること
RFマッチング正常にマッチングが取れること
放電色異常放電が発生していないこと

期間を決めて確認する定期点検

点検項目確認内容
到達真空度仕様値を満たしていること
ハッチ 真空シールリークがないこと(リークチェック実施)
ハッチ 開閉動作スムーズに動作すること
Oリング傷・汚れがないこと
真空ゲージ(フィラメント)正常に真空度が表示されること。1年ごとに交換
シャッタ機構 開閉動作スムーズに開閉できること
ガス導入 開閉動作流量制御が正常に行われていること
基板回転機構スムーズに動作すること
冷却水フローセンサ(FS)規定流量でオンすること
ロータリーポンプ(RP)定期的にオーバーホールを実施
ターボ分子ポンプ(TMP)定期的にオーバーホールを実施
保守部品交換時期に応じて適切に交換

▼以下の動画では、スパッタ装置のよくあるトラブルと対策について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

スパッタ装置のメンテナンスは、装置の長寿命化・成膜品質の安定・トラブル防止の観点から非常に重要です。

取扱説明書をベースに、毎日の点検と定期的なメンテナンスを組み合わせた計画を立て、継続的に実施することが大切です。

異常を感じた場合は早めに装置メーカーへ相談することも、迅速な問題解決につながります。 

菅製作所では、スパッタ装置導入前に成膜を確認できる「テスト成膜サービス」を行っております。「どんな膜になるのか試してみたい」「研究のために、1枚だけ成膜を試したい」など柔軟に対応いたします。

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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