小型の物理蒸着法(PVD)のスパッタ装置とは?菅製作所SSP1000の性能や特徴を紹介

 

小型の物理蒸着法(PVD)のスパッタ装置とは?菅製作所SSP1000の性能や特徴を紹介

スパッタ装置は、真空薄膜形成のカテゴリの中では物理蒸着法(PVD)に分類されるスパッタリング法を用いた成膜装置です。

スパッタ装置により生成される薄膜は、基板への優れた密着性、繰返し成膜する時の高い再現性、高融点材料や合金も作れる特徴を有しており、半導体や電子デバイスをはじめ機能性材料に欠かせない金属膜、絶縁膜はもちろん、酸化膜、窒化膜を製作することもできます。

菅製作所は長年に渡り大手真空装置メーカーの協力会社として培ってきた技術と厳しい品質基準を自社ブランドの装置にも適用し、お客様のニーズを反映させた扱いやすく、壊れにくい高品質なスパッタ装置を設計、製造しております。

【スパッタリング法の特徴】

・基板に衝突する材料の衝突エネルギーが強いため、付着力の大きな薄膜ができる。

・材料はおよそ一定方向に直線的に飛ぶため、他の成膜方法と比較し基板以外への 膜の付着が少ない。ただし、凹凸部の側壁面に対しては膜が付きにくい。

・電源パワーや成膜時間等の各種条件の調節により膜厚の制御がしやすい。

・広い面積に均一な厚みの膜をつくることができる。

・高融点材料や絶縁膜の成膜も可能。

・合金をつくる時、材料を高温で溶融する蒸着装置と比べ、材料の組成変化が起きにくい。

・窒素、酸素、水素などを組み合わせた反応性スパッタでは化合物の成膜も可能。

・基板ホルダーへ高圧を印加すれば基板の成膜面をプラズマクリーニング(逆スパッタ)もすることも可能。

・蒸着法に比べると成膜スピード(成膜レート)は遅い。

もくじ

●菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の製品情報について

●菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の標準仕様について

●菅製作所スパッタ装置【SSP1000】のオプションについて

●菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の修理・改造について

菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の製品情報について

SSP1000は研究開発用卓上型RFスパッタ装置。

金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの研究開発用途に活躍します。

本体チャンバー部アルミブロックからの削り出しによりチャンバー部は31kgと軽量です。

チャンバーは置き方次第で成膜方向をスパッタUP、SIDE、DOWNと選ぶことができます。

【特徴1】上位モデルと同じカソードを採用

φ2インチマグネトロンカソード1基(シャッター付)を搭載し、φ100mm以内の膜厚分布±5%以下の性能です。エントリーモデルでも妥協せず、上位モデルと同じカソード構造を採用しました。

もし磁性体材料を成膜したい時は、水冷されているマグネットを取り出し、磁性体材料用の強磁場マグネット(別途購入)に交換することで磁性材料の成膜に対応できます。

【特徴2】自在に変えられる成膜方向

キュービックスパッタの名前が示す通り、サイコロのような形状のチャンバー部(成膜室)は置き方を変えることで、スパッタUP、スパッタSIDE、スパッタDOWNの3つの成膜方向に変更させることができます。

【特徴2】自在に変えられる成膜方向
スパッタUP(↑) 基板へのパーティクルの付着を最も防ぐことができる成膜方法で、導入するユーザーの多くが採用しています。ターゲットが下向きのためメンテナンス時の作業性に優れています。
スパッタSIDE(←) 基板へのパーティクルやターゲットへのフレーク付着を防ぎ高品質な成膜ができる配置です。ターゲットと基板間の距離(T/S)の微調整をする時の作業性は3通りの中では優れています。
スパッタDOWN(↓) 基板ホルダーの上にサンプルを置くだけの成膜方法のため、不定形基板や小さな部品を並べて成膜する際に活用します。基板側にパーティクルが落下しやすいため、一定の注意が必要です。

※チャンバーの置き方を変える際は、ガスと冷却水の配管を抜く必要があるので、これらの用力は固定されたリジット配管ではなく、柔軟なホースとフレキシブルチューブ等で接続することを推奨しています。

【特徴3】RF電源(パルス発振機能付き)

【特徴3】RF電源(パルス発振機能付き)

パルス発振機能付き高周波RF電源を採用しているため異常放電が起きやすい絶縁材料のターゲットに対しても安定した成膜が可能です。

【特徴4】自動真空排気システム

SSP1000の真空引きに関わる開始と停止の操作は1つのボタンだけで簡単に行えます。排気はロータリーポンプの起動とターボ分子ポンプの定常回転までの立ち上がりを順番に行い、停止時はターボ分子ポンプの停止後にロータリーポンプを止め、その後の大気ベントまでの動作を全て自動で行います。また、ボタンのランプの点灯状態で排気中か停止中か認識できるようになっています。従いまして、排気系に関わる操作で誤って装置を壊すといったリスクもなく安心してお使い頂ける装置に仕上がっています。

【特徴5】手動による操作系

成膜プロセス時に必要な機能である、RF電源の制御、圧力表示、流量表示、スパッタタイマー、マッチング用ボリューム、基板回転ボタン、ガス導入及び流量調節、シャッター、ブザー機能など各種計器と操作系部品を効率よく配置しました。

※オプションのチャンバーベーク機能を搭載する場合は、ヒーターのON/OFFスイッチも追加されます。

【特徴6】インターロック機能

排気系やRF電源などは、誤った操作で暴走や破損しないように、インターロックが働いているため安心してお使い頂けます。特にRF電源は排気系ポンプの動作信号や、真空計の圧力情報、冷却水のセンサー信号など多数の条件が揃わないとプラズマ放電のパワーが入らないようにインターロックを組んでいます。

【特徴7】卓上型の選べる置き方

様々な設置環境に対応できるようスタック配置(積み重ね)とパラレル配置(横置き)のどちらも可能です。また、電源部とポンプは床置きにして、チャンバー部だけをラックに乗せることも可能です。電源とチャンバー部を離して設置する場合は、ケーブル長さ等が足りなくなる可能性があるため事前にお申し付けください。

その他に、オプションで専用台(スタック配置用)も販売しております。

専用台(スタック配置用)

スタック配置

パラレル配置(左右逆転可能)

パラレル配置(左右逆転可能)

【特徴8】装置のセットアップと立ち上げがユーザーで可能

SSP1000は納入時に弊社サービスマンによるセットアップとオペレーショントレーニングをすることを基本としていますが、日頃から真空装置(特にスパッタ装置)を扱っているユーザー様であれば、自力でセットアップすることも難しくはありません。

配線は差し間違えがないようにコネクタ形状の違いやラベル等で識別できるようにしてあります。冷却水・プロセスガス・電気に関しては用力の接続経験のある方であれば難易度は高くありません。但し、マニュアルを読んでも本体の操作方法や日常メンテナンスについて不安がある場合は、事故防止のため必ず弊社によるオペレーショントレーニングを受けてください。

菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の標準仕様について

【SSP1000仕様表】

菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の標準仕様について
菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の標準仕様について

【SSP1000外観図】

【SSP1000外観図】
【SSP1000外観図】

菅製作所スパッタ装置【SSP1000】のオプションについて

①磁性体の成膜

鉄(Fe)などの磁性体材料で成膜する場合は、標準のマグネトロンカソードでは安定したプラズマ放電が得られません。

このため磁性体用カソードの仕様を選択が可能です。装置導入後も部品の付け替えにより磁性と非磁性の両方の材料を使い分けできます。

②薄型ターゲットへの対応

弊社のカソードはφ50.8mm×t3mmの形状を基本としていますが、高額な材料のターゲットを3mmの厚みで製作すると支出が大きくなることがあります。

ターゲットの支出を抑えたい場合や、最初から成膜の回数が少ないと分かっている場合は、1mm、2mm等の薄型ターゲット用のシールドとターゲット押さえを用意しておりますのでご使用になるターゲットのコストでお悩みの場合はお問い合わせください。

※材質によっては、薄型ターゲットでは、放電しにくいものがあります。

※薄型ターゲットを標準の3mm厚用のパーツと組み合わせてスパッタすると、ターゲットとシールド間にできた余分な隙間で異常放電が発生し成膜が成立しない可能性がありますのでご注意ください。

③ガス導入系追加

プロセスガスの導入系を1系統追加し、最大2系統とすることが可能です。酸素や窒素等の導入による反応性スパッタを行う際に追加が必要です。

 ④チャンバーベーキング機構

カセット式ヒーターによるアルミ製チャンバーのベーキングが可能です。到達真空度の向上目的でご使用ください。

⑤ドライポンプへの変更

⑤ドライポンプへの変更

補助ポンプをロータリーポンプからドライポンプに変更可能です。クリーンルームへの設置条件では基本的にドライポンプが求められます。当社は非接触式の多段ルーツ式ドライポンプを選定しているため、導入後は長期間に渡りメンテナンスフリーでクリーンな排気が得られます。

⑥専用架台

⑥専用架台

SSP1000専用の架台をご用意しています。テーブルと電源部とはビスによる固定も可能です。装置の特性上、重心が高い位置にくるため架台は太いフレームを採用し安定性を確保しています。地震対策のため床面へのアンカー固定用金具も付属しております。

菅製作所スパッタ装置【SSP1000】の修理・改造について

弊社装置に関わる保守サービスは、北海道の本社及び静岡県の拠点から技術者を派遣して対応致します。

また、改造・保守に関わる事前お打合せについては北海道と関東地区に駐在している営業担当者にて対応致します。

装置の導入後も安心して装置をご使用頂けるよう体制を整えております。

装置の御納入後の定められた保証期間内は、弊社が定める一定の条件(天災や誤った使用方法に起因する故障)に含まれない初期不良等の不具合に対しては無償による修理対応を行います。

詳細はお問い合わせください。

【修理メンテナンスメニュー例】

・装置の定期メンテナンス、不具合時のサービス対応。

・装置の改造や機能追加、それらに伴うプログラムソフトの変更。

・装置の移設、レイアウト変更。

・オペレーショントレーニング(ユーザー様の運用担当者の交代時など)。

・消耗品の購入。

・シールド部品に付着した膜の洗浄及び再ブラスト処理。

・メール、お電話等で解決するご質問。

【改造】

装置の導入後でも、実験内容や使用条件の変更に伴う改造に関する業務を承ります。

★改造事例★

・トランスファーユニットを介した別装置との複合化(Plusシリーズ)

・各種の機能追加変更や部品交換。

・特殊形状用サンプルホルダーの製作。

・プログラムの改良、アップデート。

・ガス導入系の追加。

・ロータリーポンプからドライポンプへの置き換え。

・補助ポンプの大型化。

・冷却水循環装置(チラー)の追加。

・その他、ご要望に応じた改造、現地サービス。

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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