半導体製造工程を図解でわかりやすく解説|前工程・後工程の流れを理解

半導体をわかりやすく理解するには製造工程を知る事から【菅製作所】

近年注目を浴びている半導体ですが、「製造工程が複雑でよくわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

半導体製造工程は、大きく分けて前工程と後工程の2つに分かれます。

この記事では、半導体ができるまでの全工程を、準備から最終検査まで図解付きでわかりやすく解説します。専門用語を噛み砕き、各工程の目的を順番に説明しているため、初心者の方でもスムーズに理解できるはずです。

製造の全体像を把握することで、半導体関連のニュースや専門的な話題の理解も深まるようになるでしょう。

半導体の基礎知識をしっかりと身につけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

半導体技術に関心をお持ちの皆様に、基礎から学べる情報をお届けしたいという思いから、本連載を開始いたしました。

「これから半導体について学びたい」「技術の背景を理解したい」とお考えの方に向けて、できる限り平易で役立つ内容を発信してまいります。

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本連載が、半導体に関する疑問の解消や、さらなる理解への一助となることを願っております。

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半導体製造工程とは?まず全体像を1分で理解

半導体ができるまでの全体像を、まずは簡単に把握しましょう。

半導体製造の流れ 

設計 → フォトマスク作成 → ウエハー製造 → 前工程 → 後工程 → 最終検査

半導体の製造プロセスは、大きく「前工程」と「後工程」に分けられます。前工程はウエハー上に微細な回路を作り込む工程、後工程はウエハーからチップを切り出して製品化する工程です。

各工程の目的は以下の通りです。

 

  • 設計:半導体の回路パターンを設計する工程 
  • フォトマスク作成:設計した回路パターンをガラス基板に転写し、原版を作る工程 
  • ウエハー製造:シリコンインゴットを薄くスライスし、基板となるウエハーを作る工程 
  • 前工程:ウエハーの表面に微細な電子回路を作り込む工程
  • 後工程:ウエハーからチップを切り出し、パッケージ化する工程
  • 最終検査:完成した半導体製品が正常に動作するかテストする工程

半導体製造の前工程は10つ|回路をウエハー上に作り込む

ここでは、シリコンウエハー上に微細な電子回路を作り込む「前工程」について詳しく見ていきましょう。

前工程は数百にも及ぶ複雑なステップから成り立っていますが、大きく分けると10つの工程に分類できます。

ウエハーがどのようにして半導体としての機能を持つようになるのか、具体的な製造方法を順番に解説します。

半導体製造の前工程は10個ある

①ウエハー表面の酸化

前工程の最初のステップは、シリコンウエハーの表面に酸化膜を形成する工程です。

なぜなら、回路をショートさせないための絶縁層が必要だからです。

具体的には、ウエハーを高温の炉に入れ、酸素や水蒸気と反応させることで、表面に極めて薄い二酸化シリコンの膜を作ります。

この膜は、後の工程で不純物が入り込むのを防ぐ保護膜としての役割も担っています。

このように、まずは半導体が正しく機能するための土台作りからスタートします。

▼ウエハーについては以下の記事で詳しく解説しています。

②薄膜形成

次に、ウエハー表面に回路の材料となるさまざまな薄膜を形成します。

半導体としての機能を持たせるためには、絶縁膜や導電膜などの層を積み重ねる必要があるためです。

具体的な方法として、真空中で金属をイオンの力で叩き出す「スパッタリング」や、ガスを化学反応させて膜を堆積させる「CVD(化学気相成長)」といった技術が使われます。

▼薄膜・成膜については、以下の記事・動画で詳しく解説しています。

③フォトレジスト塗布

薄膜を形成した後は、ウエハーの表面に「フォトレジスト」と呼ばれる感光剤を塗布します。

これは写真のフィルムのように、光に反応する性質を持たせるための重要な工程です。

ウエハーを高速で回転させながら液体状のフォトレジストを滴下することで、表面全体に極めて薄く均一な膜を作ります。

この感光剤を塗っておくことで、次の工程で光を当てた部分だけを変化させ、複雑な回路パターンを正確にウエハーへ焼き付ける準備が整います。

④露光・現像

フォトレジストを塗布したウエハーに、回路パターンを転写する工程が「露光・現像」です。半導体の微細な回路を描くための核心となる作業といえます。

具体的には、あらかじめ回路パターンが描かれた「フォトマスク」をウエハーの上にかざし、特殊な光(紫外線など)を照射します。

これが露光です。

その後、現像液に浸すことで、光が当たった部分(または当たらなかった部分)のフォトレジストを溶かして取り除きます。

これにより、ウエハー上に回路の設計図がくっきりと浮かび上がります。

▼フォトリソグラフィーについては、以下の記事・動画で詳しく解説しています。

⑤エッチング

現像で残ったフォトレジストを保護膜(マスク)として利用し、露出している不要な薄膜や酸化膜を削り取る工程を「エッチング」と呼びます。

この作業によって、実際にウエハー上に溝や穴などの回路形状が作られます。

エッチングには大きく分けて2つの方法があります。

薬品を使って膜を溶かす「ウェットエッチング」と、プラズマ化したガスをぶつけて削り取る「ドライエッチング」です。

現在では、より微細で精密な加工が可能なドライエッチングが主流となっています。

▼エッチングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

⑥レジスト剥離・洗浄

エッチングが終わると、役割を終えたフォトレジストを取り除く「レジスト剥離・洗浄」を行います。

感光剤であるフォトレジストは、そのまま残しておくと後の工程の邪魔になるためです。

専用の特殊な薬品やガスを用いて、基板上のレジストを完全に溶かして剥がし落とします。その後、純水や薬液でウエハーを丁寧に洗浄し、目に見えない微小なゴミ(パーティクル)や不純物を取り除きます。

常に清潔な状態を保つことが、不良品の発生を防ぐために欠かせません。

⑦イオン注入

ウエハーに電気的な性質を持たせるために行うのが「イオン注入」です。

純粋なシリコンそのものはほとんど電気を通さないため、半導体として機能させるには性質を変化させる必要があります。

具体的には、リンやホウ素などの不純物をイオン化し、高いエネルギーでウエハーの特定の領域に打ち込みます。

注入後は熱処理(アニール)を行って結晶欠陥を回復させ、不純物を活性化させます。

この工程によって、トランジスタなどの電子回路の基礎が完成します。

▼イオン注入については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑧平坦化(CMP)

回路の層を積み重ねていくとウエハーの表面に凹凸ができるため、これを滑らかにする「平坦化(CMP)」が行われます。

表面が平らでないと、次の層のピントが合わなくなり、正確な露光ができなくなるためです。

研磨材を含む「スラリー」と呼ばれる化学薬品を使用し、化学的な溶解作用と機械的な物理研磨を組み合わせてナノメートル単位で表面を削り、鏡のように平らに仕上げます。

ここまでの「③フォトレジスト塗布」から「⑧平坦化」までの工程を何十回も繰り返すことで、複雑で立体的な電子回路がウエハー上に作り込まれていきます。

▼平坦化(CMP)については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑨電極形成

作り込まれた微細な回路同士をつなぎ合わせるのが「電極形成(配線形成)」の工程です。それぞれの素子がバラバラのままでは機能しないため、電気の通り道を作って連携させる必要があります。

アルミニウムや銅などの電気を通しやすい金属をウエハー表面に成膜し、これまでと同じように露光やエッチングを繰り返して配線パターンを形成します。

これにより、半導体内部の回路が互いに接続され、最終的に外部と電気的な信号をやり取りするためのルートが完成します。

▼電極形成については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑩ウエハー検査

前工程の最後に行われるのが「ウエハー検査(プローブ検査)」です。

ウエハー上に作られた無数のチップが、設計通りに正しく動作するかを一つひとつ確認します。

「プローブカード」と呼ばれる無数の細かい針がついた検査治具をチップの電極に当て、電気信号を送って良品か不良品かを判定します。

不良と判定されたチップには目印がつけられ、後の工程で取り除かれる仕組みです。

この厳しいテストをクリアしたウエハーだけが、次の「後工程」へと進むことができます。

▼半導体製造「前工程」については、以下の動画でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

半導体製造の後工程は4つ|ウエハーからチップを切り出しパッケージ化する

ウエハー上に回路を作り込む前工程が完了すると、次はいよいよ「後工程」に入ります。

後工程は、一枚のウエハーから個別のチップを切り出し、私たちが普段目にする黒いパッケージの半導体製品へと仕上げるプロセスです。

後工程は主に4つのステップで構成されており、製品を外部の衝撃や環境から守り、プリント基板に実装できるように加工します。

ここでは、それぞれの工程を詳しく説明します。

半導体製造の後工程は4つある

①ダイシング

後工程の最初のステップは、ウエハーを切り分ける「ダイシング」です。

前工程で数百から数千個のチップが作り込まれたウエハーを、一つひとつの独立した半導体チップ(ダイ)に分割します。

極めて薄いダイヤモンドブレードと呼ばれる高速回転する円盤状の刃を使ったり、レーザーを使用したりして、ウエハーを碁盤の目のように精密にカットしていきます。

切断時の摩擦熱や削りカスを防ぐために、純水をかけながら慎重に作業が進められます。

▼ダイシングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

②ワイヤーボンディング

切り出されたチップを基板に固定し、電気的につなぐ工程が「ワイヤーボンディング」です。

チップ単体では外部と通信できないため、橋渡しをする配線が必要になります。

まず、リードフレームと呼ばれる金属の枠やパッケージ基板の上にチップを接着剤でしっかりと固定します(ダイボンディング)。

その後、金や銅などでできた髪の毛よりも細い金属線(ワイヤー)を使って、チップの電極と基板の電極を高速で結線します。

これにより、チップが外部と電気信号のやり取りを行えるようになります。

▼ワイヤーボンディング・ダイボンディングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

③モールディング

配線が完了したチップを樹脂で包み込む工程を「モールディング(封止)」と呼びます。

半導体チップや微細な金線は非常にデリケートであり、そのままではホコリや湿気、物理的な衝撃で簡単に壊れてしまうためです。

金型の中にチップを配置し、熱で溶かしたエポキシ樹脂などを流し込んで全体を覆い、冷却して固めます。

私たちがよく目にする、ムカデのような形をした黒い半導体部品の姿は、このモールディング工程で作られたものです。

これにより、製品としての耐久性が大幅に向上します。

▼モールディングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

④最終検査

パッケージ化された半導体が、製品として出荷できる基準を満たしているかを確認するのが「最終検査」です。

前工程でも検査を行いましたが、組み立て時の熱や衝撃で不具合が生じていないかを最終チェックします。

専用のテスト装置を使用して、さまざまな温度環境下で電気信号を送り、設計通りの性能が出るか・誤動作しないかを厳しくテストする仕組みです。

また、外観に傷がないかどうかも確認されます。

これらのすべてのテストに合格した良品だけが、スマートフォンやパソコンなどの電子機器メーカーへと出荷されていくのです。

▼半導体検査については、以下の記事で詳しく解説しています。

菅製作所では、カスタマイズ可能な成膜装置を販売しています

半導体の製造、特に前工程における「成膜」は、製品の性能を左右する極めて重要なプロセスです。

菅製作所では、研究開発や試作の目的に合わせて柔軟なカスタマイズが可能な真空成膜装置を製造・販売しています。

原子レベルで極めて均一な薄膜を形成できる「ALD(原子層堆積)装置」や、多様な材料の成膜に対応する「スパッタリング装置」など、お客様のニーズに最適な装置をご提案いたします。

最新の半導体研究や開発における成膜装置の導入をご検討の際は、ぜひお気軽に菅製作所までお問い合わせください。

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▼装置に関するよくある質問を動画で解説しています。導入前の不安を解消したい方は、ぜひご覧ください。

まとめ

今回は、半導体製造における前工程と後工程の流れを図解とともに解説しました。

ウエハーに微細な回路を作り込む前工程から、チップを切り出してパッケージ化し検査する後工程まで、半導体は数百に及ぶ緻密なプロセスを経て作られます。

一つひとつの工程の役割とつながりを理解することで、半導体がいかに高度な技術の結晶であるかがご理解いただけたかと思います。

本記事が理解を深める一助となれば幸いです。

▼菅製作所では、装置導入前に成膜を確認できる「テスト成膜サービス」を行っております。

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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