半導体の基板「シリコンウエハー」の製造工程をわかりやすく解説

半導体の性能を支える「シリコンウエハー」は、どのように作られているのでしょうか。原材料となるケイ石の採取から、高純度化、単結晶化、そして精密な加工まで、その工程は想像以上に緻密です。

さらに、電気特性・平坦度・清浄度といった厳しい品質管理によって、はじめて高性能なウエハーが完成します。

本記事では、製造の流れと多結晶・単結晶の違い、品質のポイントまでをわかりやすく解説します。

半導体技術に関心をお持ちの皆様に、基礎から学べる情報をお届けしたいという思いから、本連載を開始いたしました。

「これから半導体について学びたい」「技術の背景を理解したい」とお考えの方に向けて、できる限り平易で役立つ内容を発信してまいります。

当社「菅製作所」は、研究開発用途の真空装置を製造・販売しております。

現場で培ってきた知見をもとに、皆様の学びに少しでも貢献できれば幸いです。

本連載が、半導体に関する疑問の解消や、さらなる理解への一助となることを願っております。

ぜひ最後までご覧ください。

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▼ウエハーについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

シリコンウエハーとは|半導体に使われる基盤

シリコンウエハーとは、シリコンから作られた部品であり、通常、薄い円盤状の形をしています。表面は鏡面仕上げがされており、微細な凹凸・微粒子を排除して使用されることがほとんどです。

シリコンウエハーは半導体の製造に欠かせない材料であり、基板材料として使用されています。シリコンウエハー上に回路が書き込まれ、その回路を分離して半導体を作り上げていきます。

スマートフォンやPC、クレジットカードや自動車のセンサーなど日常生活の中でも使わないことがないほど身近な存在です。

シリコンウエハーができるまで|製造工程をわかりやすく解説

半導体づくりの出発点となるのが、シリコンウエハーの製造です。

原材料の採取から高精度な加工まで、複数の工程を経て高品質なウエハーが完成します。ここでは、それぞれの流れを順番に整理しながら見ていきましょう。

シリコンウエハーの製造工程
  • ケイ石の採取
  • 金属シリコンの製造
  • 多結晶シリコンの製造
  • 単結晶シリコンインゴットの製造
  • 単結晶シリコンインゴットの加工

1.ケイ石の採取

シリコンウエハーの原料は、自然界に豊富に存在するケイ石です。

ケイ石は二酸化ケイ素(SiO₂)を主成分とする岩石の総称で、シリコン(ケイ素)と酸素から構成されています。

ケイ石は地殻中に広く分布しているため安定して入手できる資源で、この中に含まれるシリコンが半導体材料として活用されます。

2.金属シリコンの製造

採取したケイ石は、そのままでは使えないため精製します。

石炭やコークスなどの炭素とともに電気炉に入れ、高温で加熱すると還元反応が起こります。

この反応によりケイ石から酸素が取り除かれ、金属シリコンが生成されます。

3.多結晶シリコンの製造

金属シリコンはさらに高純度化が必要です。

一度ガス化して不純物を分離し、沸点の違いを利用して精製を進めます。

その後、再び固体のシリコンへ戻すことで、多結晶シリコンが完成します。

この工程によって半導体用途に適した高純度な状態へと近づいていくのです。

4.単結晶シリコンインゴットの製造

多結晶シリコンのままでは電子の流れが乱れやすいため、単結晶化を行います。

代表的な方法がCZ法(チョクラルスキー法)です。

  1. 多結晶シリコンを砕いて「るつぼ」に入れ、高周波加熱で溶かす
  2. 種結晶を回転させながら下げ、シリコン融液に浸す
  3. 種結晶をゆっくり回転させながら引き上げる
  4. 単結晶シリコンのインゴット(棒状の塊)が完成する

溶かしたシリコンに種結晶を浸し、ゆっくり回転させながら引き上げることで、原子配列が整った単結晶インゴットを形成します。

この工程により、電子がスムーズに動く高性能な材料になります。

5.単結晶シリコンインゴットの加工

シリコンウエハー製造における最後の工程は、単結晶シリコンのインゴットからシリコンウエハーへの加工です。

インゴットの加工は以下の流れで行います。

  1. 単結晶シリコンのインゴットを規定の長さに切断し、外周を研削する
  2. ワイヤーソーなどでインゴットを1mm程度の厚さに切断し、ダイヤモンド砥石で外周を研削・研磨する
  3. エッチングにより、ウエハー表裏面の化学的な研磨を行う
  4. ウエハーの表面を化学薬品と超純水で洗浄する

洗浄後、最終的に厳しい検査をクリアしたものだけが出荷され、半導体製造に使われます。

多結晶シリコンと単結晶シリコンの違い

多結晶シリコンと単結晶シリコンは、どちらも同じシリコンを材料としていますが、結晶構造の違いによって性能に大きな差が生まれます。

特に、電子の動きやすさに直結する「電気移動度」が重要なポイントです。

項目多結晶シリコン単結晶シリコン
結晶構造結晶の向きがバラバラで不規則結晶が一方向に整っている
電子の動きやすさ動きにくい動きやすい
電気移動度小さい大きい
半導体性能低め高い
主な用途コスト重視の用途(太陽電池など)高性能な半導体デバイス

多結晶シリコンの特徴

多結晶シリコンは、小さな結晶が集まって構成されており、結晶の向きがバラバラです。

そのため結晶同士の境界で電子の流れが妨げられ、スムーズに移動できません。

結果として電気移動度が小さくなり、高性能な半導体用途には不向きとされていますが、製造コストを抑えやすい点がメリットです。

単結晶シリコンの特徴

単結晶シリコンは、全体が一方向に整った結晶構造を持っています。

結晶の乱れがほとんどないため電子がスムーズに流れやすく、電気移動度が大きくなります。

高速かつ高性能な半導体デバイスの製造に適しており、現在のシリコンウエハーの主流はこの単結晶シリコンです。

シリコンウエハー製造で重要な品質指標

シリコンウエハーの品質を決める重要な指標としては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 電気抵抗率などの電気特性
  • 平坦度
  • 清浄度

シリコンウエハーは、わずかな品質の差が半導体性能に大きく影響するため、製造では複数の指標をもとに厳密な品質管理が行われます。

▼半導体検査については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

▼シリコンウエハーについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

菅製作所では、カスタマイズ可能な成膜装置を販売しています

半導体の製造における「成膜」は、製品の性能を左右する極めて重要なプロセスです。

菅製作所では、研究開発や試作の目的に合わせて柔軟なカスタマイズが可能な真空成膜装置を製造・販売しています。

原子レベルで極めて均一な薄膜を形成できる「ALD(原子層堆積)装置」や、多様な材料の成膜に対応する「スパッタリング装置」など、お客様のニーズに最適な装置をご提案いたします。

最新の半導体研究や開発における成膜装置の導入をご検討の際は、ぜひお気軽に菅製作所までお問い合わせください。

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▼菅製作所では、装置導入前に成膜を確認できる「テスト成膜サービス」を行っております。

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まとめ

シリコンウエハーは、自然資源から高度な技術を経て生まれる、半導体の土台となる重要な材料です。

製造工程や結晶構造の違い、品質指標を理解することで、その精密さと奥深さが見えてくるはずです。

菅製作所では、このほかにも身近な技術をテーマにした記事・動画を多数公開しています。

特に半導体やテクノロジー分野に興味のある方に向けてわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

▼半導体については、以下の記事・動画で詳しく解説しています。

【参考文献】

今と未来がわかる半導体 

月刊「Newsがわかる」特別編 半導体がわかる2025

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
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