塩化水素と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。よくある誤解に「塩化水素って塩酸じゃないの?」という疑問がありますが、実はちょっと違うんです。
そこで今回は、原子を扱う製品を作り続ける菅製作所が塩化水素について解説します。
わかりやすく噛み砕いて説明しますので、試験勉強や理解する時の参考にしていただけると幸いです。
目次
塩化水素とは?
塩素と水素を組み合わせた化合物で、化学式は以下の通り。
Cl2 + H2→2HCL
天然だと火山ガスに含まれることがあります。
よく「塩酸」と混同されますが、実はちょっと違いがあります。
- 塩酸との違い
- 塩化水素:常温常圧気体
- 塩酸:塩化水素を水に溶かしたもの
では次に、塩化水素の性質を見ていきましょう。
塩化水素の性質
【試験によく出るポイント】
色 | 無色 |
匂い | 刺激臭 |
重さ | 空気より重い |
水への溶けやすさ | 溶けやすい |
集め方 | 下方置換法 |
気体の状態でも、吸入すると危険な物質で、喉の痙攣や肺に水が溜まるなど命に関わる悪影響があります。また、目や皮膚の組織にかかると溶ける、失明するなど取り返しのつかないことも。
そのため、取り扱いには十分注意しましょう。
では次に、塩化水素が何に活用されているかを見ていきましょう。
塩化水素はどのように活用されているか
ここでは塩化水素と塩酸の身近な例について紹介します。日常生活で見る塩化水素や塩酸は単体では有毒性が問題無いよう作られているのでご安心ください。
塩化水素が役立つ「塩化ビニルなどの原料」
塩化水素は塩化ビニルなどの原料になっています。身近なもので言うと塩ビ管で、水道管などに使用されている灰色の管です。
燃えにくく、溶けにくい、耐久性が高いと日常生活で使うにはもっていの性質をしているのが塩化ビニルの特徴。
塩化水素が役立つ「トイレの洗剤」
トイレの洗剤も塩酸が使用されています。なぜトイレの洗剤に塩酸が使われるかと言うと、トイレの黄ばみの原因である「尿石」を溶かすからです。
お風呂でも使える便利な洗剤ですが、アルカリ性の防カビ剤と同時に使うと有毒ガスが発生するので注意しましょう。混ぜるな危険と書かれてあるものは特に要注意。
また、ステンレスにかけると酸焼けといって黒ずんでしまうため注意しましょう。
塩化水素が役立つ「胃酸」
最も身近な塩酸は胃液です。胃液は食べ物を溶かして消化したり、ウイルスや細菌の増殖を抑えたりとあなたの健康のために働いています。
では、なぜ強力な酸が体内にあっても大丈夫なのでしょう?その答えは胃の粘液が胃酸(塩酸)を中和するから。
ストレスで胃が痛くなるのは、この粘液の防御力が減って、胃に酸のダメージが行くからなんです。
まとめ
今回は塩化水素について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 塩化水素は塩素と水素と組み合わせた化合物
- 塩酸は塩化水素が水に溶けたもの
- 気体の状態でも吸入すると危険な物質であるので注意が必要
- 日常生活では「塩化ビニルなどの原料」「トイレの洗剤」「胃酸」などに含まれている
菅製作所のサイトでは、元素に関する記事を多く公開しています。元素を身近に感じてもらえるよう噛み砕いて解説しているのでぜひご覧ください。
参考サイト
【強烈】塩化水素とは?恐るべき性質や化学式、塩酸との違いまで徹底解説!
「胃液」の働きとは?食べ物を消化する胃液の作用と成分について | Lidea(リディア) by LION