炭化水素は聞いても中々ピンと来ない化合物だと思います。しかし、実はかなり身近にあるものなのです。
そこで今回は、原子を扱う製品を作り続ける菅製作所が、炭化水素についてわかりやすく解説します。
特に、試験で頻出する分類については、図を用いて説明するのでぜひ参考にしてください。
目次
炭化水素とは?
炭化水素は炭素と水素を組み合わせた化合物であり、別名「ハイドロカーボン」とも呼ばれます。一般式と代表的な化学式は以下の通り。
- 一般式:CnH2n
- メチレン:CH2
- エチレン:C2H4
- プロピレン:C3H6
炭化水素は水に溶けにくい化合物で、気体で排出された状態のみ「炭化水素」と呼ばれます。
炭化水素は有害な物質で、飲み込んだりすると息詰まり、息切れ、神経の異常などを引き起こし最悪の場合死に至ることもあります。
炭化水素は分類がやや複雑で、試験にもよく出る部分です。次の項目でわかりやすく解説します。
試験に使える!炭化水素の分類
炭化水素を勉強する上で避けて通れないのが分類です。化学の授業のような話ですが、一つずつ見ていきましょう。
言葉ではわかりにくいと思うので、まずは図を見てください。
鎖式炭化水素
- 飽和炭化水素(単結合):アルカン
- 不飽和炭化水素(二重結合以上):アルケン、アルキン
鎖式炭化水素は簡単に言うと、構造式で書いた時に輪になっていないもののこと。飽和か不飽和かは単結合かどうかで分けられます。
アルケンとアルキンは混同しやすいので特に注意しましょう。
環式炭化水素
- 脂環式炭化水素:シルロアルカン、シクロアルケン
- 芳香族炭化水素:ベンゼンを含む
環式炭化水素は、構造式で書いた時に輪になっているものを指します。脂環式か芳香族かはベンゼンの有無により異なります。
補足ですが、ベンゼンは良い香りがするため、「芳香」と名付けられています。トイレの芳香剤と同じですね。
次は身近にある炭化水素を見ていきましょう。
炭化水素はどのように活用されているか
ここでは、炭化水素がどのように活用されているか、身近な例を見ていきましょう。
炭化水素が役立つ「石油や天然ガスの主成分」
石油や天然ガスの主成分は炭化水素です。
石油はガソリンや軽油、ゴム製品、プラスチック、化学繊維などあらゆるものに使用されており、現代社会で触れないことはありません。
天然ガスはメタンが主成分であり、一酸化炭素などの不純物をほぼ含まないことから比較的環境に優しいガスです。主に都市ガスの原料や発電用燃料として使用されています。
炭化水素が役立つ「プラスチックの原料」
プラスチックは原油を使っているため、炭化水素はプラスチックの原料であると言えます。プラスチックは人工的に作られたものであり、これには「ポリマー」が絡んできます。
詳しくは以下の記事で解説しているので、気になった方は参考にしてください。
炭化水素が役立つ「炭化水素洗浄」
炭化水素は工業分野の洗浄剤としても使われてます。
油性汚れに対する洗浄力が高く、リサイクル可能で環境にやさしい、金属を腐食しないなど実用的な洗浄方法です。
短所としては、可燃性の危険物であり、真空内で洗浄するなどの工夫が必要になります。
また、より身近な洗浄方法ではパーツクリーナーも石油系の有機溶剤が含まれていることが多いです。
まとめ
今回は炭化水素について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 炭化水素は炭素と水素を組み合わせた化合物
- 水に溶けにくく、有害な物質
- 身近なものでは「石油や天然ガスの主成分」「プラスチックの原料」「炭化水素洗浄」で使用される
【試験で出る主な分類】
菅製作所のサイトでは、元素に関する記事を多く公開しています。元素を身近に感じてもらえるよう噛み砕いて解説しているのでぜひご覧ください。
参考サイト
石油の成分 | バイオテクノロジー | 製品評価技術基盤機構
石油・天然ガスについて知る | What is E&P|INPEX