平行平板コンデンサ | 特徴・公式・仕組みを基本解説。

皆さんが普段使っているスマホやパソコンの中には、たくさんの小さな部品が入っています。その中のひとつに「コンデンサ」という部品があります。コンデンサは、電気のエネルギーをためておくことができる、いわば小さな貯蔵庫のようなものです。

そのなかでも「平行平板コンデンサ」は、コンデンサのもっとも基本的な構造として知られています。

この記事では、コンデンサの原理をベースに、平行平板コンデンサの基本的な知識を解説します。

コンデンサの基本的な特徴

コンデンサは、電荷としてエネルギーを蓄えることができる2端子の電気装置です。構造は、一定の距離を隔てた2つの電気導体で成り立っており、その間には真空や誘電体と呼ばれる絶縁材料が存在します。コンデンサのエネルギーを蓄える能力は静電容量と呼ばれます。

POINT:静電容量とは、コンデンサなどで蓄えられる電荷の量を示す指標で、電気容量とも呼ばれます。

コンデンサはバッテリーと似た部分もありますが、動作原理は全く異なります。バッテリーは化学エネルギーを電気エネルギーに変換して使用するのに対し、コンデンサは電界に静電エネルギーを蓄える電子部品です。

コンデンサの3つの性質

コンデンサは、電気回路の中でとても重要な役割を果たす部品です。大きく分けて3つの性質があります。

1. 電気を蓄える

コンデンサは電気を蓄えることができます。2枚の金属板の間に電気をかけると、一方の板にプラスの電気が、もう一方の板にマイナスの電気が集まります。この状態が、電気を蓄えている状態です。

2. 直流電流は通さないけど、交流電流は通す

  • 直流電流: 電流が常に同じ方向に流れる電流です。電池から流れる電流が代表的です。
  • 交流電流: 電流の向きが周期的に変わる電流です。家庭で使う電気が交流電流です。

コンデンサは、絶縁体で2枚の金属板が隔てられているため、直流電流は通りにくく、ほとんど流れません。しかし交流電流の場合は、電流の向きが常に変化するため、コンデンサが充電と放電を繰り返します。

3. 周波数が高い交流電流ほどよく通す

交流電流には、1秒間に何回向きが変わるかを示す「周波数」というものが存在します。周波数が高いほど、電流の向きが早く変わります。

コンデンサは、周波数が高い交流電流ほどよく通します。これは、周波数が高いほど、コンデンサが充電と放電を繰り返す時間が短くなるため、電流が流れやすくなるからです。

平行平板コンデンサ

コンデンサのもっとも基本的な形状は、隙間を挟んで並んだ2枚の金属板からなる平行平板コンデンサ(parallel plate capacitor)です。同じ表面積を持つ2枚の金属板を電極として使用します。

POINT:平行平板コンデンサは電気エネルギーの蓄積や信号処理に活用されています。

平行平板コンデンサでは、2枚の導電板に電圧を加えると、板の間に均一な電界が生じます。この電界の強さは、印加電圧に比例し、板間の距離に反比例します。

これらの平板の間には電気絶縁材料が挟まれており、絶縁材により電気的に分離されています。複数の平板が並列に接続されている場合、回路全体の静電容量は各平板の静電容量の合計として算出されます。

POINT:平行平板コンデンサの静電容量は、プレートの面積を大きくするか、プレート間の距離を狭くすることで増やすことができます。

平行平板コンデンサの公式

電界の方向は、正の試験電荷が移動する向きとして定義されます。一般的な平行平板コンデンサは、距離 d で離れた面積 S の2枚の金属板で構成されています。

平行板コンデンサの式は次のように表されます。

  • ε0 は空間の誘電率(8.854 × 10 −12  F/m)
  • εr は誘電体の比誘電率
  • dはプレート間の距離
  • Sはプレートの面積

平行平板コンデンサの機能

コンデンサの両端に DC 電圧源を接続すると、一方のプレートが正極 (プレート I) に接続され、もう一方のプレートが負極 (プレート II) に接続されます。バッテリーの電位がコンデンサの両端に適用されると、プレート I はプレート II に対して正になります。定常状態では、電流はコンデンサの正極プレートから負極プレートへ流れようとします。しかし、プレートが絶縁材で分離されているため、電流は流れません。

コンデンサ全体に電界が発生します。正極プレート (プレート I) はバッテリーからの正電荷を蓄積し、負極プレート (プレート II) はバッテリーからの負電荷を蓄積します。ある時点以降、コンデンサはこの電圧に対する静電容量に応じて最大量の電荷を保持します。この時間間隔はコンデンサの充電時間と呼ばれます。

バッテリーをコンデンサから取り外すと、2 つのプレートは一定時間、負電荷と正電荷を保持します。これにより、コンデンサは電気エネルギー源として機能します。

これらのプレートが負荷に接続されている場合、両方のプレートからすべての電荷が放散されるまで、電流はプレート I からプレート II へと負荷に流れます。この時間間隔は、コンデンサの放電時間として知られています。

まとめ

平行平板コンデンサは、2枚の金属板と誘電体で構成され、電気を蓄えることができる電子部品です。誘電体の種類や、金属板間の距離などによって、蓄えられる電気の量が変化します。コンデンサは、私たちの身の回りの電子機器に広く利用されており、例えば、カメラのフラッシュやパソコンの電源などに使われています。

【参考】

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
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