真空技術は、私たちの生活を豊かにする上で欠かせないものです。ロータリー真空ポンプはその中でも最も身近な真空ポンプの一つと言えるでしょう。
ロータリー真空ポンプは、シンプルな構造でありながら、高い性能を発揮する真空ポンプです。食品加工から科学実験まで、幅広い分野で利用されており、私たちの生活を支える重要な役割を担っています。
しかし、油の交換が必要であったり、真空度の限界があるなど、注意すべき点もあります。この記事では、ロータリー真空ポンプの仕組みや種類、そしてメリット・デメリットについて解説しました。真空技術に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。この記事を通じて、真空ポンプの働きや重要性について少しでも理解を深めていただけたら幸いです。
目次
ロータリー真空ポンプの特徴
油回転真空ポンプは、ロータリーポンプとも呼ばれ、真空装置の定番として長年親しまれてきたポンプです。大気圧から中真空程度の真空状態を簡単に作り出すことができ、構造がシンプルで扱いやすいことが特徴です。
ロータリーポンプは、食品加工、化学実験、真空蒸着など、幅広い分野で利用されています。特に、大気圧からの排気や大量の気体の処理に適しています。近年では、電動機直結の高速回転型のロータリーポンプが主流となっています。小型化・軽量化が進み、性能も向上していますが、薬品蒸気などを扱う場合は、ベルト掛けの低速回転型の方が故障しにくいため、用途に応じて使い分けられています。
ロータリー真空ポンプのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
価格が安い | 排気限界がある (0.1Pa程度) |
構造がシンプル | 油の交換が必要 |
扱いやすい | 油蒸気の発生 |
小型軽量 | 水分に弱い |
用途が広い |
ロータリー真空ポンプの原理
ロータリーポンプは、内部の羽根(ローター)が回転することで空気を吸い込み、圧縮し、排出することで真空状態を作ります。回転翼型、揺動ピストン型、カム型の3つの主要な種類があります。
- 回転翼型:ローターと2枚の摺動翼が組み合わさっており、摺動翼がローターの回転に合わせてケースに密着し、気密性を保ちながら空気を排出します。
- 揺動ピストン型:偏芯したローターの外周にシリンダーが設けられ、このシリンダーがローターの回転に従って往復運動することで空気を圧縮し排出します。
- カム型:ローターと摺動板が組み合わさっており、ローターのカムによって摺動板が上下動し、空気を吸入・圧縮・排出します。
参考動画:
ロータリー真空ポンプの種類と用途
ロータリーポンプは、真空ポンプの中でも特に一般的な種類で、その構造や用途によって大きく3つのタイプに分けられます。
1. 回転翼型油回転真空ポンプ
構造がシンプルで、小型軽量なものから大容量のものまで幅広く製造されています。
シリンダー内に設置された羽根(ベーン)がローターの回転とともに移動し、シリンダー内を密閉された空間と排気口に分離します。このとき、密閉された空間の空気が圧縮され、排気口から排出されることで真空状態が作られます。
【用途】電子部品の製造、食品の乾燥、真空成形など、幅広い分野で初期排気や粗引きに使用されます。
2. カム型油回転真空ポンプ
高い真空度を得ることができ、特に大気圧に近い状態から高真空まで幅広い圧力範囲に対応できます。
偏心したローターがステーターとの間で発生させる空間を変化させることで、空気を吸い込み、圧縮し、排出します。
【用途】高真空が必要な科学実験装置、真空蒸着装置など、精密な真空処理が必要な分野で使用されます。
3. 揺動ピストン型油回転真空ポンプ
大流量で排気することができ、大気圧に近い状態からの排気に適しています。
偏心ローターの回転によってピストンが上下動し、シリンダー内の容積を変化させることで空気を吸い込み、排出します。
【用途】大量の空気を迅速に排気する必要がある場合、例えば、トンネル内の換気や産業用真空掃除機などに使われます。
まとめ
ロータリー真空ポンプは、真空技術の基礎を支える重要な装置です。この記事では、ロータリー真空ポンプの仕組みや特徴について解説しました。真空技術に興味のある方は、ぜひ他の真空ポンプの種類や、真空技術がどのように私たちの生活に役立っているのか、さらに調べてみてください。
【参考】
ASAHI 株式会社 旭精機『ロータリー真空ポンプの特徴とメリットについて』
ASAHI 株式会社 旭精機『ロータリーポンプの用途とその種類』