中型、大型船の操縦ってどうやっている?シリーズ第三回目。
今回は、船のハンドルはどうなっているの?をわかりやすく解説します。
船のハンドルは3種類
船にあるハンドルは、大きく分けて3種類あります。
①船の方角を決めるハンドル
②エンジンの回転数を決めるテレグラフ
③エンジンを操作するハンドル
①船の方角を決めるハンドル
船の方角を決めるハンドルは、船橋にあります。
ハンドルは、舵輪(だりん)と呼ばれます。
プロペラの後ろに舵があり、舵輪に合わせて動きます。
舵輪を右に動かすと舵は右に動き、船も右方向に動きます。
よくテレビなどで主舵(おもかじ)、取舵(とりかじ)とよく聞きますが、
主舵(おもかじ)は右方向に
取舵(とりかじ)は左方向に舵を切ることです。
もちろんこれは日本独特の呼び方なんです。
理由は、方角を干支の十二支に当てはめて使い
卯(う)の方向へ舵を切ること「卯の舵」が徐々に転じて「主舵(おもかじ)」と呼ばれるようになり、
酉(とり)の方向へ舵を切ること「酉の舵」が「取舵(とりかじ)」と呼ばれるようになりました。
「主舵いっぱい!」とは右方向に舵輪を限界まで回せということです。
海外の呼び方だと「starboard(スターボード)」主舵方向、
「Port(ポート)」取舵になります。
②エンジンの回転数を決めるテレグラフハンドル
テレグラフハンドルは、船橋、機関制御室、機関室についています。
エンジンを何回転にして欲しいのか、船橋、機関制御室、機関室間で通信します。
テレグラフの主な指示は以下の通りです。
AHEAD・・・前進
ASTERN・・・後進
STOP・・・停止
DEAD SLOW・・・極微速
SLOW・・・微速
HALF・・・半速(全速の半分)
FULL・・・全速
STANDBY・・・エンジンがいつでも始動できる状態で待機
FINISH WITH ENGINE・・・エンジンを始動できない状態にして待機
この通信機器は、目視による通信機器です。
例えば船橋で「DEAD SLOW」へ操作すると機関制御室、機関室にあるテレグラフで船橋と同じ位置「DEAD SLOW」の位置になります。
このテレグラフは今日非常に重要な通信機器となっています。テレグラフができる以前は、以前は(電話の様な物)使って指示を出さなければいけませんでした。
テレグラフを使うことで、船が「全速」、「半速」、「微速」なのかを、どの場所にいてもわかるようになりました。
③エンジンを操作するハンドル
エンジンを操作するハンドルは、基本的に機関制御室、機関室にあります。
テレグラフを見た機関士は、テレグラフの指示通りエンジンを操作するハンドルを操作して、エンジンの回転数を上げたり下げたりします。
船によっては船橋にあるものもあります。
エンジンを動かすハンドルは3タイプあります。
ダイヤル式ハンドル
食べ物を温める電子レンジのつまみタイプ。つまみを回すことでエンジンの回転数を操作します。
マニュバリング式
レバーを引いたり押したりすることでエンジンの回転数を操作します。
テレグラフ式
画像出典:日本海事新聞写真部
テレグラフハンドルにエンジンの回転数を上げるための機能を持たせたハンドル。
ダイヤル式、マニュバリング式は機関制御室、機関室に搭載されています。
船橋からテレグラフで回転数の要望があったときに機関士がこのハンドルを操作します。
細かくエンジンの回転数を操作することができますが、常に機関制御室に機関士が常駐しないといけません。
テレグラフ式は、コンピューターで制御されていて船橋で「STOP、DEAD SLOW、SLOW、HALF、FULL」操作するとコンピューターが回転を制御してくれます。
ダイヤル式、マニュバリング式と違い、細かな回転数を操作はできませんが、機関制御室に常に機関士が常駐しなくていいのが利点です。
M0(エムゼロ)船と呼ばれ、導入費、定期メンテナンスに非常にコストがかかるため、大量の貨物を運搬できる船に使用されることが多いです。
3回にわけて「中型、大型船の操縦ってどうやっている?」をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
映画などで「主舵いっぱーい!」等を聞いた時は、ぜひこの記事を思い出してみてくださいね!
3回でお伝えした内容
菅製作所では、船舶用機器も多数製作しております。