真空蒸着の原理をスナック菓子を例に解説

真空蒸着の原理をスナック菓子を例に解説

菅製作所では、真空原理を利用した薄膜装置を製作しています。

真空の原理を身近に感じていただけるよう、今回はお菓子の袋を例に「真空蒸着」について説明します。

真空蒸着とスナック菓子の関係

スナック菓子の袋の裏側をみたことはあるでしょうか?

大抵袋の裏側は、銀色の膜になっていますよね。この銀色の膜は金属の膜で「アルミニウム」からできています。

この膜を生成するために「真空蒸着法」が使われています。

スナック菓子の袋はプラスチックフィルムで、通常水蒸気や酸素、窒素、二酸化炭素を通過させます。

しかし、中に入れるのがポテトチップスだとしたら、油であげたお菓子でもあるので、品質を保持するため油の酸化を防がなければなりません。

これを効果的に防ぐのが、アルミニウムの蒸着が施された袋。

どのように袋の裏側にアルミニウムを成膜しているのか、次で紹介しましょう。

スナック菓子にアルミニウムを成膜する「真空蒸着法」

スナック菓子の袋の裏側にアルミニウムを施すには「真空蒸着」を用います。

まずは、真空蒸着法の原理を簡単に解説します。

スナック菓子にアルミニウムを成膜する「真空蒸着法」
  1. 真空容器の中に蒸発源を備えます。
  2. 蒸発材料を加熱すると、その物質は蒸発がはじまります。(鍋から湯気がでてくるイメージ)
  3. 蒸発した材料は容器内に置いた基板に付着して膜になります。

このように、蒸着と真空を用いて成膜することを「真空蒸着法」といいます。

真空蒸着法には種類があり、スナック菓子の裏側に成膜を施すには「巻き取り式真空蒸着」が使われます。

「巻き取り式真空蒸着」

数メートルもの巻き付けた「巻き出しフィルム」とそれを巻き取るロールを用意します。

その下に数個の蒸発源ルツボを置き蒸発材料であるアルミニウムを入れておきます。

ルツボはカーボンでできており、外側に高周波のコイルを巻き付けてあります。IHのような原理でカーボンルツボを加熱します。

すると中に入っていたアルミニウムが溶け出し、蒸発し、主ロールに接するフィルムに膜が形成されていきます。

全てのフィルムが蒸着できたら完成。

アルミの膜の厚さは、50ナノメートル(0.00005ミリメートル)くらいになり、その後、蒸着膜の上に印刷してスナック菓子袋に加工されます。

まとめ

今回は、真空蒸着について、スナック菓子を例に解説しました。菅製作所では、真空を利用した成膜装置を製作・販売しています。

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株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
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