船のウィンチ(巻き上げ機)とは?働きから実用的な場面、使い方を製造メーカーが解説

船の中にはウィンチと呼ばれる巻き上げ機が搭載されているものがあります。しかし、一般的には何に使われているのかわからないことがほとんど。

そこで今回は、ウィンチの製造も行っている菅製作所が、ウィンチの働きから実用的な場面、使い方について解説します。

文中でクレーンとの違いについても解説しておりますので、船舶に関心をお持ちの方はぜひご覧ください。

船の荷役装置ウィンチ(巻き上げ機)とは

船のウィンチとは、巻き上げ機のことです。一方向(上下、前後)のみ移動ができるもので、左右に振ることはできません。

また、ウィンチは建築現場などで使用されることもあり、船専用の装備ではないことも特徴。強みとしては、人力では持ち上げられない荷物も持ち上げられること。

ウィンチを搭載した船は、主に以下の用途で使用されます。

あくまでウィンチは上下の動きしかできず、左右の動きが必要な際はクレーンを使用する必要があります。少しだけクレーンについても解説しましょう。

クレーンの働き

クレーンを搭載した船は、主に以下の用途で使用されます。

クレーンはウィンチの上下の動きに加え、左右の動きもできるためより柔軟性の高い運搬ができます。そのため、大きなタンカー船などではクレーンが装備されていることも。

ただし、日本にあるクレーン船の多くはプロペラがついておらず、自分で移動できないものがほとんど。移動の際は他の船に引っ張ってもらいます。

船のウィンチの使い方

船に搭載されているウィンチは大きく2種類あります。

  1. ヨットなどの小型船舶で使うハンドウィンチ(手動式)
  2. 大型の船舶で使う油圧単調ウィンチ

それぞれ見ていきましょう。

ハンドウィンチの使い方

ハンドウィンチは、ロープを巻きつけ引っ張ることで作動します。人力で引っ張れなくなったら、引っ張りながらクランクを使い本体を回すことで人力以上の力で引っ張ることも可能な装置です。

中には電動で動くものもありますが、非常に小型なためヨットなどで使用できるのが特徴。主にアンカー(いかり)の回収に使用されます。

油圧単調ウィンチの使い方

油圧単調ウィンチは、その名の通り油圧を使用して作動させるウィンチです。大型のものはクラッチとペダルブレーキを使用する大がかりなものになりますが、小型のものは手元のレバーのみでの操作になるなど、搭載するものにより様々な操作方法になります。

コンテナなどの荷物を持ち上げる時から、漁の網引きなど多種多様な分野で使用されることが特徴で、貿易や漁など多くの場面で私たちの生活を支えてくれています。

菅製作所が扱うウィンチ

菅製作所もウィンチを製作しています。ウィンチの中では比較的小型なもので、主にナマコやホタテを海底から引き上げる時の網猟に使用するウィンチです。

油圧を使用しているため、十分な力があり漁の効率化を図れます。また、主要部分にステンレスを使用し海上でも錆びにくい加工を施すなど実用性に力を入れています。

細部スペックについては以下のページで紹介しておりますので、漁の効率化でお悩みの方はぜひ一度ご覧ください。

まとめ

今回は船で使われるウィンチについて解説しました。ウィンチは主に荷物の運搬や係留設備、漁などで使用されます。クレーンと異なり左右の動きができないため、使う用途により選択することが重要です。

菅製作所では、この他にも船舶に関する情報を多く掲載しています。「船のブレーキはどうなっているのか?」「船はなぜ浮かぶのか?」など、疑問にお答えする記事となっていますので船舶に興味をお持ちの方はぜひご覧ください。


参考文献:
池田 良穂,トコトンやさしい船舶工学の本,日刊工業新聞社,2017

参考サイト:

クレーン船(起重機船)の仕組み、ヒミツを徹底解明

土木作業船用ウインチ・船舶用ウインチ|大同重機製作所 | ウインチメーカー|大同重機製作所|電動ウインチ・油圧ウインチの設計製作

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品やサービスに関するお問い合せはこちら

お問い合せフォーム

この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

お問い合わせはこちら