「アルゴン」と聞いても、水素やヘリウムに比べてパッと思い浮かばないですよね。性質も中々覚えづらい…
ですが、社会で何に使われているか、なぜアルゴンが使われているかを知っておくと、性質を覚えることができます。
一般家庭や医療分野にも広く使用されており、意外と身近な元素ですので一緒に見ていきましょう!
アルゴンの性質と特徴
化学反応を起こさず、安定しているという性質があります。空気中に1%存在し、他の不活性ガスに比べて安価に手に入れることが可能。
主に大学などの研究室で多く使用される元素です。
アルゴンの社会での活用方法
アルゴンは「医療用レーザー」、「スパッタ装置」、「蛍光灯の中身」などの成分として使用されています。それぞれ見ていきましょう。
医療用レーザー(網膜治療)
眼科で使用されることが多いレーザーで、網膜疾患の進行を抑えるための手術として行います。医療用レーザーでは様々な元素が使用されますが、網膜の治療で使われるのはアルゴンイオンを用いた「アルゴンレーザー」です。
アルゴンレーザーには水に吸収されにくく、赤色(血液)に吸収されやすいという性質があることから、目にかかる負担が少なく、回復も早いため多くの眼科で使用されています。
スパッタ装置
成膜を行うためのスパッタ装置にもアルゴンが使用されます。これは、アルゴンが化学反応を起こさず安定している、という性質を利用しています。安定なアルゴンを使うからこそ銅は銅のまま、鉄は鉄のまま成膜することができることができます。(アルゴンに少し酸素や窒素を混ぜてスパッタ成膜する反応性スパッタという手法もあります。)
参考までにですが、スパッタ装置には例えばこんなものがあります。
スパッタ装置一覧蛍光灯の中身
蛍光灯の中には水銀ガス、アルゴンガスの2種類が封入されています。アルゴンガスは主に放電を一定に保つことを目的として入れられているんです。
ちなみに、蛍光灯がなぜ光るのかについてもお話ししましょう。電気が流れる事で電子と水銀原子に衝突して紫外線を発します。この紫外線が蛍光灯の表面に塗布された蛍光体にあたることで明るく照らされるというわけです。
アルゴンの歴史
- 元素記号:Ar
- 英語名:Argon
アルゴンの語源は、ギリシャ語で「働かないもの」を意味する「aergon」です。発見については、1984年にラムゼーとレイリーが空気中から発見しました。
まとめ
今回は「アルゴン」について解説させていただきました。この記事のポイントは以下の通り。
- アルゴンは化学反応を起こさず、安定している性質を持つ
- 「医療用レーザー」、「スパッタ装置」、「蛍光灯の中身」などに使用される
- アルゴンの語源は「働かないもの」
高校で勉強する他の元素については、以下の記事にてまとめております。併せてご覧いただけると、更に理解が深まるのでぜひご覧ください!
参考サイト
ガスの名前由来 ガス豆知識 – 巴商会
アルゴン – イラスト周期表
アルゴン Argon 空気中の体積1%を占め、医療用レーザーにも使われる
網膜光凝固(アルゴンレーザー)|板橋区小竹向原の眼科|しらやま眼科クリニック
アルゴンレーザー治療 | 南里眼科 | 大阪市住吉区 地下鉄「あびこ」駅徒