SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)は、SPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種です。
SPMについて気になる方は以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
この記事ではSECMの仕組みの一例から使用場面について解説させていただきます。
普段から原子に関わる仕事をしている「菅製作所」だからお伝えできる情報をお届けしますので、参考にしていただけると幸いです。
それでは、早速見ていきましょう。
目次
SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)とは近接場光を利用した顕微鏡
SNOMは近接場光という特殊な光を利用した走査型顕微鏡です。
近接場光には、空間を伝わらず途中で消えるという性質があり、目に見えない光です。そのため、細いプローブ(探針)を使用し、試料を走査することで観察を行います。
走査型プローブ顕微鏡の一種かつ、光学顕微鏡の一種であるため大気中かつ非破壊で測定できることが一つのメリットです。しかし、走査型トンネル顕微鏡と比べ分解能が劣るなどのデメリットもあります。
SNOMはDNA上の遺伝子位置の検出や、染色体表面構造を計測する際などに使用されます。
SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)の仕組み
SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)は、先端に小さな穴の空いた光ファイバープローブ(探針)を装着したチューニングフォーク(水晶振動子)を振動させ、プローブ先端が資料に接触した際の振幅変化を検出することで構造を画像化します。
イメージとしては、原子間力やトンネル電流の代わりに光を使用して検知する走査型プローブ顕微鏡、というイメージです。
SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)の実像サンプル
「OXFORD INSTRUMENTS」さんの「alpha300S」による実像は、人染色体のメタフェーズのSNOM像を映し出しました。
染色体はナノスケールのものですが、ズームしてもくっきりと形が見えるほどの顕微鏡です。
人染色体のメタフェーズのSNOM像です。ナノスケールですが、くっきりと形が見えます。
ナノスケールの金属グリッドで励起された表面プラズモン反応のSNOM像も確認できるなど、ナノ分野で活躍するSNOMならではの実像サンプルが見られます。
実像サンプルについては以下のページで公開されているので、ご覧ください。
プラズモンについては以下の記事で解説しているので、興味をお持ちの方はご覧ください。
SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)の歴史
SNOMは一人の開発者から生まれたのではなく、複数の研究の結果生まれた顕微鏡です。
1985年、当時NFOと呼ばれたSNOMの最初のイメージング報告がされました。この報告は全く別で、ドイツのフィッシャーがSNOMを開発。さらに、アメリカのベル研究所のコーネルらのグループが独自のSNOMを開発しています。
以上のような経緯があり、1991年、ベツィグらにより実用性の高いSNOMが実現され、今日の研究に活用されています。
まとめ
今回はSNOM(走査型近接場光学顕微鏡)についてお話しさせていただきました。最後にポイントを振り返りましょう。
- SNOM(走査型近接場光学顕微鏡)とは近接場光を利用した顕微鏡
- SNOMは光ファイバープローブを使用しチューニングフォークを振動させることで試料とプローブ間の距離を制御し、画像化する
- SNOMは多くの研究者により考案された
SNOMはSPM(走査型プローブ顕微鏡)の一種であると冒頭にお話ししました。SPMについて詳しくは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
参考サイト
走査型近接場光学顕微鏡(SNOM:Scanning Near-field Optical Microscope) : 日立ハイテク
近接場光学顕微鏡(SNOM) – WITec Raman Imaging
SNOM – 走査型近接場光学顕微鏡
9-1 走査型近接場光学顕微鏡 (SNOM) – 原子間力顕微鏡 (AFM) の仕組み | How AFM Works
走査型近接場顕微鏡の表面化学への応用
走査型近接場光学顕微鏡 | オプティペディア – Produced by 光響
近接場光学顕微鏡/走査型 トンネル 顕微鏡複合装置の開発
近接場
SNOM/AFMの 生物試料への応用
【走査型近接場光顕微鏡】 | デジタルマイクロスコープなら朝日光学
alpha300 S – SNOM 走査型近接場光学顕微鏡 – WITec Raman Imaging
近接場磁気光学顕微鏡の現状と課題
【走査型近接場光顕微鏡から生まれた顕微鏡】