船はどれくらいの期間で完成するか知っていますか?
一口に船と言っても、積む物の種類や、行先、航路などによって必要な大きさ、機能は異なります。
さまざまな役割に対応するため一つずつ個別に作られることが多いんです。
そこで今回は、どれくらいの期間で船が造られるのか、どのような流れで船が完成するのかをご紹介します。
目次
船が完成する期間は1〜3年
一般的に、1つの船を造る期間は、1~3年ほどかかる事が多いです。
船を作るには、実は2つの段階があります。
1つは、計画をする段階。
これは話し合いをして、どんな船を造っていくかを考える段階です。
長ければ数年単位でかかる事もあります。
2つ目は、実際に船を造り始める段階。
これは船の大きさによって変わり、大型の船であれば8ヶ月~1年程度、小型の船で3~4ヶ月程度かかります。
この2つを合計して、一般的には1~3年で出来上がると言われているわけですね。
船が完成するまでの11のステップ
なんと、船が完成するまでには11個のステップがあります!
では、どのような流れで船が作られていくのでしょうか?一つ一つ見ていきましょう。
1.船主基本要求事項(せんしゅきほんようきゅうじこう)の決定
これは、船主(船造りを頼んだ人)の「こんな船を造りたい!」という意見をまとめたものです。
例えば、「燃料を乗せて、外国まで行ける丈夫な船を造りたい」だとか、「レースで使うからなるべく速い船を作りたい」など。
2.引き合い
船主基本要求事項を元にして、造ってくれる会社を探します。
この会社の事を「造船所(ぞうせんじょ)」と呼びます。
3.概略設計・見積もり(がいりゃくせっけい・みつもり)
造船所は、船主基本要求事項を元に見積もりを立て、船主に教えます。
見積もりとは、簡単に言うと「この船を造るには、これくらいのお金がかかる」といった内容です。
4.船主と協議・基本設計(せんしゅときょうぎ・きほんせっけい)
いくつかの造船所から、見積もりが来ると、船主は「この造船所に頼みたい!」とお願いする先を選びます。
基本設計では、用途や大きさ、使いたい港や航路など、船主の要望に合うように計画を立てていきます。
5.造船契約の締結(じょうせんけいやくのていけつ)
お互い条件に納得がいけば、いよいよ契約します。
6.詳細設計(しょうさいせっけい)
契約を結んだ後に、更に細かい部分を決めていく事になります。
ここでは船造りに必要な部品の大きさや、強度、寿命などを考えながら設計していく段階です。
7.起工(きこう)
この段階で、ようやく船が造り始められるんです。
水の上を進む船ですが、まずは地面の上で造ります。
8.進水(しんすい)
地面の上で完成すると、いよいよ水の上に浮かべるテストをします。
この段階ではまだ完成ではありませんが、「船の誕生を祝い、安全に海の上を進む事が出来るお祈り」を込めた、「進水式」というイベントが行われる事が多いです。
9.海上試運転
水に浮かべた後は、海の上を進むかテストします。
ここで大切なのは、法律を守れているか、船主が満足出来る性能になっているかを確認する事です。
10.竣工・引渡し(しゅんこう・ひきわたし)
全ての工事が終了し、船主が満足のいく出来上がりになれば、造船所を離れ船主へ船が渡されます。
11.就航(しゅうこう)
船が完成した後は、「フェリー」であればお客さんを乗せ、「モーターボート」であればレースをし、「護衛艦(ごえいかん)」であれば国の安全を守るなど、それぞれの役割を果たしに働き始めます。
まとめ
今回は船を造る期間、そして具体的なステップについて解説させていただきました。
船を造る期間は、一般的には1~3年と言われており、そのステップは11個もあります。
また、造る船の大きさや内容によって、必要な期間が変わるのもポイントです。
菅製作所では、船舶用機器も多数製作しております。
参考文献:
1. 川崎 豊彦,図解入門よくわかる最新船舶の基本と仕組み[第4版],株式会社秀和システム,2020年 第1版
2. 池田 良穂,今日からモノ知りシリーズトコトンやさしい船舶工学の本,日刊工業新聞社,2017年 初版
参考サイト:
しまなみ造船株式会社(進水式について)
第2回:造船業における事業の特色、会計処理及び内部統制(引き合い〜起工までの根拠)
funedeki.pdf(詳細設計に関する根拠)