大きく、材料や鉄や鋼でできており、とても重たいはずの船。しかし、船は海に浮いています。
では、なぜ船は海に浮いているのでしょうか?この記事では、船が浮かぶ理由をわかりやすく解説していきます。
船が海に浮かぶのは「浮力」のおかげ
浮力とは、「物が浮かぶ為に必要な力」。
船が海の上で浮いていられるのは、下から水の力で船を押し上げてくれているからなんですね。
では、その水の力はどれくらいなのでしょうか?
簡単に言うと、一人で満杯のお風呂に入ったとき、お湯があふれますよね。
そのあふれたお湯の量と同じ力が、体を支えてくれます。
では、体の大きいお父さんと一緒にお風呂に入った時はどうでしょうか?
より多くのお湯が溢れますよね。
船も同じで、大きい程、「浮力」が強いという事になります。
ちなみに、この浮力を発見した人は「アルキメデス」という名前で、彼から名前を取って「アルキメデスの原理」と呼ばれています。
余談ですが、「アルキメデス」がこの「浮力」について知った時が、まさに「お風呂に入っている時」だそうですよ。
アルキメデスは紀元前3世紀、しかもイタリアの人なのですがこのエピソードを聞くと親近感が湧きますよね。
鉄や鋼を使用する船が浮く仕組み
先ほどは大きさが大きいほど、浮力も大きくなることついてのお話をしました。
では、重さはどうでしょうか?
鉄や鋼を多く使用している船は当然重たいはずですが、海に浮いています。
実はこれには「密度と体積」が関わっています。
例えば、100kgの鉄の球(野球ボールサイズ)と、100kgの大きい鉄の鍋。
どちらも重さは同じですが、実は鉄の球の方が沈みます。
簡単に言うと、同じ重さでも小さくてまとまっている物は沈みやすく、大きくて広がっている物は浮かびやすいという事。
これにも「アルキメデスの原理」が当てはめられ、より多く、お風呂の水を外に出せる大きな物は、大きな浮力を得られます。
その為、船は鉄で出来てはいるけれど、横に大きいから浮くことができるんですね。
とはいっても、重すぎれば当然沈みます。
大きさと重さのバランスが取れていて、「浮力」が助けてくれるから船は浮いていられるんです。
船はどのくらいの大きさまで浮けるのか
ではどれくらいの大きさまで船は浮かぶ事ができるのでしょうか?
答えは、「無限大」です。
もちろん、現実では海の大きさや法律、造ったり整備したりする場所を考えると、大きさに限界はあります。
しかし、「アルキメデスの原理」の考え方では、どんな大きさの船でも、重さとのバランスが取れていれば浮かぶ事ができるんです。
ちなみに、2017年現在で世界最大の船は韓国で造られた「プレリュード」で、その大きさはなんと「488m」、東京タワーやエッフェル塔を超える大きさなんです。
オーストラリアで、液化天然ガスを運ぶ仕事をしている船だそうですよ。
まとめ
今回は、「船が浮かぶ理由」について3つ解説させていただきました。
- 船が浮かぶ理由は、「浮力」があるからであり、その浮力について説明したものが「アルキメデスの原理」
- 物は「密度と体積」が広く大きいほど、浮きやすくなる
- 計算上では、浮力と重さのバランスさえ取れていれば、どんな大きさの船でも浮かぶ。
菅製作所では、船舶用機器も多数製作しております。
参考文献:
1. 川崎 豊彦,図解入門よくわかる最新船舶の基本と仕組み[第4版],株式会社秀和システム,2020年 第1版
2. 池田 良穂,今日からモノ知りシリーズトコトンやさしい船舶工学の本,日刊工業新聞社,2017年 初版
参考サイト:
NGKサイエンスサイト「水の中では体の大きい方が軽い!?」
建築学生が学ぶ構造力学「アルキメデスの原理とは?1分でわかる意味、証明、浮力との関係、公式」
大和ミュージアム
フナフナ「世界最大の船!?」
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