酸化チタン(チタニア)とは?製法から身近な使用例まで解説

酸化チタン(チタニア)とは?製法から身近な使用例まで解説

「酸化チタンってどんな化合物なの?」
「何に使われているのかいまいちわからない」

上記のような疑問をよく耳にします。確かに、酸化チタンは他の化合物に比べ意識しないと目につかない化合物なため、詳しく知らない方が多いのが現状です。

そこで今回はチタニアとも呼ばれる酸化チタンについて解説します。精製法から、身近で使われているものまで紹介しますので、酸化チタンに興味をお持ちの方はぜひご覧ください。

酸化チタン(チタニア)とは

酸化チタン(チタニア)とは

化学式:TiO2

酸化チタンは、チタン鉱石から生産される化合物です。不溶性であり、無機化合物、色は白色で高い発色性、均一に分布する性質を持ちます。

人体への影響が比較的小さいと考えられており、食品から医薬品、化粧品まで主に着色料として幅広く利用されている化合物です。

チタニアとは呼び名の一種で、一般的に二酸化チタンのことを指します。近年では合成されたルチル型の原子配列をもった白色粉末を指すことも多くなってきています。

酸化チタンの製法は主に2種類ある

酸化チタンの製法は主に2種類ある

酸化チタンを製造するには「硫酸法」もしくは「塩素法」という方法を使用します。

硫酸法

硫酸法は、原料となる「イルメナイト鉱石」を濃硫酸に溶かし、不純物である鉄分を硫酸鉄にします。

この時、チタン分として得られた硫酸チタニルを加水分解することで、白色の含水酸化チタンを得られ、最後に焼成することで酸化チタンを作り出す方法です。

塩素法

塩素法では、天然ルチルなど品位の高い鉱石を使用します。まず、コークス・塩素と反応させ、精製して四塩化チタンを得ます。

次に、四塩化チタンを加熱し気体にすることで酸素と反応させ、塩素と酸素を置き換えることで酸化チタンを作り出す方法です。

酸化チタンを作り出す工程で生まれた塩素は、再び反応させる際に使えるため環境負荷の少ない方法になります。

酸化チタン(チタニア)が使われている身近なもの

酸化チタン(チタニア)が使われている身近なもの

ここでは、酸化チタンが使われている身近なものを見ていきましょう。

酸化チタンが役立つ「白色顔料」(塗料や日焼け止めなど)

塗料や日焼け止めなどの白色顔料として酸化チタンは使用されます。

高い発色性を持ち、均一に分布するといった性質から特に塗料との相性が良い化合物です。塗料に使用される時はチタン白、チタニウムホワイトと呼ばれることもあります。

酸化チタンが役立つ「光触媒」(外壁塗装など)

酸化チタンは光触媒の原料として応用されることもあります。光触媒は紫外線による酸化還元反応で有害物質を分解、汚れを防止することから外壁に使用されることが多い触媒です。

また、抗菌作用も持つため抗菌タイルや空気清浄機のフィルターなどにも使用されるなど、意外と身近に使われているのが光触媒です。

光触媒について詳しくは以下の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

酸化チタンが役立つ「電子セラミックスの原料」

高純度酸化チタンを使用すると、電子セラミックスの原料になります。電子セラミックスはパソコンやスマートフォンなどに使用されているため、現代では必要不可欠なものです。

酸化チタン(チタニア)はALD(原子層堆積法)で成膜可能

ALD成膜とは、原子層堆積法とも呼ばれる方法でナノスケールの薄膜を形成する方法です。

具体的には、TDMATテトラキス(ジメチルアミノ)チタンとH2Oで、チタニアTiO2のALD成膜が可能で、新しい電池や、光触媒等の分野での応用が期待されています。

まとめ

今回は酸化チタンについて解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。

  • 酸化チタンはチタン鉱石から生産される化合物で白色、高い発色性を持ち均一に分布する
  • 酸化チタンの製法は主に「硫酸法」と「塩素法」
  • 酸化チタンは「白色顔料」「光触媒」「電子セラミックスの原料」などに使用される
  • ALDでも酸化チタンの成膜が可能

菅製作所では、この他にも化合物についてや元素について、各種電池についてなど専門的な内容をわかりやすく紹介する記事を多く公開しています。「興味はあるけれど専門書は難解過ぎてわからない」「ネット上に情報が少なくて困っている」などお困りのことがありましたらぜひ一度ご覧ください。

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参考サイト

https://www.sankatitan.org/titanium_dioxide/index.html
https://www.iskweb.co.jp/biz/titanium-oxide.html
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/sochi29_3_siryou1-1.pdf
https://gaiheki-info.jp/words/%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%83%81%E3%82%BF%E3%83%B3/
https://kotobank.jp/word/%E3%83%81%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%82%A2-96213

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
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