成膜装置の基本と代表的な種類!独自の成膜装置も紹介

「成膜装置ってどんなプロセスで成膜しているの?」

「種類があると聞いて、それぞれの違いが具体的に知りたい」

成膜装置は専門性の高い装置で、不明な点も多いかと思います。

そこで今回は成膜装置を製作する菅製作所が、成膜装置の基本的な解説や種類、具体的な装置をわかりやすくお伝えします。

特に説明部分については専門用語を極力使わず、図説と共にお伝えしますので、より具体的に理解したい人もぜひご覧ください。

成膜装置とは、薄膜を作る装置のこと

成膜装置は、シリコンウエハーなどの基板を対象に、薄膜を作るための装置です。

薄膜を作る素材を変えることで、対象に様々な特徴を付与できます。例えば、シリコンウエハーに酸化膜を作ればリーク電流を遮断でき、アルゴンの膜を作れば望まない反応を防げます。

薄膜を作るのは原子レベルでの作業になるため、専用の機械が必要です。成膜方法によっては「真空である」「対象となる素材が高音状態である」など特殊な条件も必要になります。

そのため、成膜するために特化した「成膜装置」が必要になります。では、次の項目で成膜装置の種類を見てみましょう。

成膜装置の種類

成膜装置には大きく3つの種類があります。

  1. スパッタ装置
  2. ALD装置
  3. 蒸着装置

種類が分かれている理由は、成膜方法が異なるためです。それぞれ見ていきましょう。

1.スパッタ装置

スパッタ装置はスパッタリング成膜と呼ばれる方法で薄膜を作る装置です。

スパッタリング成膜とはターゲット材料にプラズマ化したアルゴンイオンを高エネルギーで衝突させ、弾き飛ばされたターゲット材料の微粒子が離れた位置に置かれた対象物に付着し薄膜を形成する方法です。

付着力が強く、平面であれば大きな面積でも均一に膜を作れるなどメリットがあります。反面、凹凸がある製品や短時間で終わらせたい場合には向かない装置でもあります。

2.ALD装置

ALD装置は、ALD(原子層堆積)法と呼ばれる方法で薄膜を作る装置です。

ALD法は原子層を一層ずつ積み重ねて膜を作っていく方法です。2種類の前駆体ガスを用いて、化学反応を利用して膜を何層にも積み重ねていきます。

特に凹凸に対しての成膜力に優れているため、小さく深い穴があるような製品にも成膜可能です。原子1個分の厚みまで調整できるほど高い精度を持ち、密着力が優れていることから近年特に注目を集めている技術です。

3.蒸着装置

蒸着装置は、真空蒸着法と呼ばれる方法を用いて薄膜を作る装置です。

真空蒸着法は、薄膜にしたい材料を真空中で加熱・蒸発させ、蒸気になった材料基板上で再度固体とし、薄膜として堆積する技術です。

金属から有機物まで、幅広い対象に成膜可能で、成膜速度が速い特徴を持ちます。反面、付着力はやや弱いため長く使い続ける製品に成膜する場合は工夫が必要です。

菅製作所の成膜装置

ここでは弊社「菅製作所」の成膜装置について紹介します。

スパッタ装置:SSP1000

SSP1000は卓上型RFスパッタのエントリーモデルです。成膜方向を変更可能なため、成膜する製品ごとに効率の良い成膜を可能にしています。

異常放電が起きやすい絶縁材料に対しては、パルス発振機能付き高周波RF電源の採用により安定した成膜をできるようにしました。

操作についても簡単さを追求し、真空引きについては開始・停止ともにボタン1つで操作が可能です。複雑なプロセスの多くを自動化することで、機械操作に慣れていない方でもご使用いただけます。

詳細なスペックなどは以下のページで公開しておりますので、ぜひご覧ください。

SSP1000の詳細を見てみる

ALD装置:SAL1000

こちらは卓上型のALD装置であり、エントリーモデルです。本体重量50kgで、取手をつけているため大人2人であれば簡単に移動できる点もポイント。

使いやすさを特に重視して作成しており、シンプルかつ簡単な操作で成膜可能です。基板のセットは本体上部のハッチを開けて、基板ホルダーの上にウエハーなどを置き、ハッチを閉めるだけでセットが終了です。

基本操作はボタンを押すだけで運用可能であり、タッチパネル部分では成膜時の状態を確認できるよう設計しております。

また、オプションでの追加にはなりますが基板回転機構を取り付けることもでき、基礎から応用まで様々な実験にご利用いただけます。

詳細なスペックなどは以下のページで公開しておりますので、ぜひご覧ください。

SAL1000の詳細を見てみる

蒸着装置:SEV2000Plus

タッチパネルによる操作で、排気操作を自動で行えることが特徴です。また、水晶振動子による膜厚計で、膜厚管理が可能な研究開発に適したモデルの蒸着装置になります。

また、本機は真空蒸着装置であるものの、「STR2000トランスファーユニット」を接続することで、ALD装置、スパッタ装置、アニール装置と複合して運用できます。大気に曝さず連続処理できることから、基板への影響を最小限に成膜可能です。

詳細なスペックなどは以下のページで公開しておりますので、ぜひご覧ください。

SEV2000Plusの詳細を見てみる

テスト成膜で導入前に確認することも可能

菅製作所では、成膜装置の導入を検討されている方向けに「テスト成膜サービス」を実施しています。現在、二つの方法が選択可能です。

一つは、お客様にご来社いただき、装置本体の説明を含んだシリコンウエハーへのテスト成膜を行う方法。

もう一つは、お客様からサンプルをお預かりし、弊社で成膜した上でお返しするテスト成膜方法です。

成膜材料の効果や均一性など、実際の研究に活用できるかを確認した上で導入できますので、ぜひ一度テスト成膜サービスをご利用ください。

菅製作所のテスト成膜サービスを利用してみる

まとめ

成膜装置は薄膜を作成するための装置であり、代表的なものに「スパッタ装置」「ALD装置」「蒸着装置」などがあります。

それぞれ薄膜を作る方法が異なり、蒸着力や凹凸への適応性など、薄膜を作りたい対象や素材により適したものを選択する必要があります。

菅製作所の成膜装置に関しては、シンプルかつ簡単操作で高い精度を得られるものが多く、使いやすさを求める方におすすめです。

以下の記事では実際に導入されたお客様にインタビューを実施し、お答えいただいた内容を記事にしたものです。導入前の参考としてご覧ください。

参考サイト

https://metoree.com/categories/3254/

成膜装置の技術や有力企業が提供する製品について

https://semiconductor.samsung.com/jp/support/tools-resources/fabrication-process/eight-essential-semiconductor-fabrication-processes-part-2-oxidation-to-protect-the-wafer/

https://www.screen.co.jp/spe/technical/guide/deposition

https://www.oike-kogyo.co.jp/research/column/vacuum_dep/

原子層堆積法とは

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この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

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