真空計の目盛りの読み方を徹底解説。マイナス表示やPa単位の意味も紹介

真空装置を扱ううえで欠かせない「真空計」ですが、目盛りの読み方に迷う人も少なくありません。

しかし、数値の小ささやマイナス表示、Pa(パスカル)などの単位の意味を正しく理解していないと、誤った判断に繋がる恐れもあります。

本記事では、真空計の目盛りの読み方を基礎からわかりやすく解説。

さらに、正確に読むためのポイントや注意点も紹介します。

これを読めば、真空計の表示に戸惑うことがなくなり、実務でも自信を持って計測結果を判断できるようになるでしょう。

高精度な薄膜成膜を実現するALD装置・スパッタ装置なら、菅製作所にお任せください

長年の経験と独自の技術で、大学や研究機関での導入実績も多数。

研究目的に応じたカスタマイズや、導入前のテスト成膜も可能です。

装置のご検討やその他ご相談は、ぜひ当社までお問い合わせください。

お問合せはこちら

真空計目盛りの基本的な読み方

真空計を正しく扱うためには、まず目盛りの基本的な読み方を理解することが大切です。

数値の意味やマイナス表示の理由を知らないと、正しい真空度を判断できない場合もあります。

ここでは、真空計の目盛りが示す「数値の関係」や「表示の仕組み」、そして「アナログ式とデジタル式の違い」について、わかりやすく解説します。

数値が小さいほど真空度が高くなる

真空の世界では、圧力が低いほど空気分子が少なく、高い真空状態を意味します。

たとえば「1×10⁻³Pa」は「1Pa」よりも真空度が高いということです。

つまり、目盛りの数値が小さいほど真空度が高いという関係になります。

この法則を覚え、装置の状態を正しく判断しましょう。

マイナス表示の意味:大気圧との差を示すゲージ圧

真空計でよく見かける「-(マイナス)」の表示は、装置の異常ではなく大気圧との差を示すゲージ圧を意味します。

通常、大気中の圧力を「0」として基準にするため、それより低い圧力(=真空側)はマイナスで表示される仕組みです。

たとえば「−0.09MPa」とあれば、大気圧より0.09MPa低い状態ということです。

ただし、真空計には「ゲージ圧(大気圧基準)」と「絶対圧(真空基準)」の2種類があり、絶対圧表示のタイプではマイナスは出ません。

したがって、「マイナス表示=より真空に近い」とは限らず、あくまで“大気圧より低い”ことを示す指標として理解しておくとよいでしょう。

アナログ式とデジタル式の違い

真空計には「アナログ式」と「デジタル式」があり、表示方法や用途が異なります。

アナログ式は針の動きで圧力変化を示すタイプで、変化の傾向を視覚的にとらえやすいのが特徴です。高精度タイプも多く、現場で圧力の増減を感覚的に確認するのに適しています。す。

一方、デジタル式は数値で表示されるため、読み取り精度に優れているのがメリット。

ただし、モデルによっては表示の応答速度や分解能に限界がある場合もあります。

研究や品質管理など、精度を求める場面ではデジタル式が主流ですが、現場での感覚的な確認にはアナログ式も便利です。

真空計を正確に読むためのポイント

ゼロ点の確認と校正

真空計を使う前に必ず確認したいのが「ゼロ点」と「校正」です。

ゼロ点とは、真空計を大気中など基準状態に置いたときに示す値を指します。

ここがズレていると、すべての測定値に誤差が生じてしまいます。

定期的にゼロ点を確認し、必要に応じて校正(正しい基準に合わせる調整)を行うことで、常に正確な圧力を測定できる状態を保つことができます。

正確なデータを得るための、基本的かつ重要な作業です。

真空計の目盛りが安定しないときの対処法

真空計の目盛りが安定しない場合、装置や周囲の状態に原因があることが多いです。

まず確認したいのは、真空ポンプや配管の漏れ、接続部の緩みです。

わずかな漏れでも圧力が変動してしまうため、数値が安定しない原因に繋がりかねません。

さらに、ガス放出や温度変化も影響します。

装置を十分に排気して安定させ、周囲の温度を一定に保つことがポイントです。

それでも改善しない場合は、センサーの汚れや劣化を疑い、点検や交換を検討しましょう。

まとめ|Pa単位と目盛りの関係を理解しよう

真空計の目盛りを正しく読むためには、Pa(パスカル)単位と表示の仕組みを理解しておくことが大切です。マイナス表示は異常を示すものではなく、大気圧との差を示す「ゲージ圧」を意味します。

正しい読み方の基本を押さえておくことで、装置の状態を正しく把握し、安定した測定につなげることができるでしょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品やサービスに関するお問い合せはこちら

お問い合せフォーム

この記事を書いた人

株式会社菅製作所

北海道北斗市で、スパッタ装置やALD装置等の成膜装置や光放出電子顕微鏡などの真空装置、放電プラズマ焼結(SPS)による材料合成装置、漁船向け船舶用機器を製造・販売しています。
また、汎用マイコン・汎用メモリへの書込みサービスも行っています。

お問い合わせはこちら