スパッタ装置は、Arイオンをプラズマ放電下でターゲットに衝突させ、衝突により叩き出されたターゲット材料が対向する基板に付着するスパッタリング現象を利用した成膜装置です。
しかし、スパッタ装置と一言に言ってもいくつかの方式があります。
今回は代表的な5つの方式をご紹介します。
目次
無電極誘導放電も可能なRF(高周波)スパッタ法の原理、スパッタ装置の紹介
RF(高周波)スパッタ法は、絶縁物をターゲットとし、高周波でスパッタリングすることが可能です。
高周波電源から電極にパワーが供給されます。陽イオンとマイナスイオンはプラズマが生成されると高周波に振られてターゲット側に流れます。結果としてターゲット側がマイナスにバイアスされ、陽イオンが衝突し絶縁物がスパッタされます。
SSP1000(キュービックスパッタ装置)
菅製作所の卓上型RFスパッタのエントリーモデル。
- 卓上型でもΦ100mm膜厚分布±5%以下
- 1台3役、目的に応じて成膜方向が選べる
- 装置のセットアップがユーザー様で可能
スパッタ速度が上がるマグネトロンスパッタ法の原理、スパッタ装置の紹介
DCスパッタでのプラズマの影響を低減させる方法で、スパッタリングの速度も上がります。
真空中でプラズマを生成しますが、プラズマは、プラスとマイナスそれぞれの電子が自由に飛び回り、不安定になっている状態です。そしてイオンは高密度に捉えられたターゲットに次々と衝突していきます。
磁力によって、少ない電力でプラズマを生成するので、効率よくスパッタリングが可能な方法です。
SSP3000(スパッタ装置)
高性能かつ多彩なオプションを選択できるスパッタ装置の上位モデル。φ2インチマグネトロンカソード3基(シャッター付)を搭載してます。
- 3元カソードの高性能モデル
- φ100mm以内の膜厚分布±3%以下
- 外観寸法は変わらずL/L室を設置可能
成膜技術の原型の二極スパッタ法の原理、スパッタ装置の紹介
二極スパッタ法は成膜技術の原型と言われています。ターゲットと試料に電圧を加え、ターゲットに衝突させてでた粒子を試料に堆積させ成膜します。
装置の構造は単純ですが、負イオンがプラス電極に流れ込むため、高温になり、試料のダメージが大きい問題があります。
三極または四極直流スパッタリングは、熱フィラメントから放出する熱電子をガス照射して放電の維持を容易にし、放電電圧を2kV以下にすることで二極スパッタよりも膜質の向上が図られました。
試料表面の衝突を抑制する対向ターゲット法の原理、スパッタ装置の紹介
2つのターゲットを対向するように配置し、その脇に試料を設置することでマグネトロンスパッタ法の欠点である高エネルギー粒子の試料表面との衝突を抑制します。
また、2つの対向するターゲットの背面に設置した永久磁石によりターゲット周囲を磁束で囲む磁場構造ができます。 この永久磁石によって、磁束とマイナス電圧の電子は対向するターゲット間を往復運動するのです。
この行動をすることでガスと衝突し、高密度のプラズマを形成します。そして対向ターゲット間に形成される磁場によりこの対向ターゲット間に拘束されるため、基板表面へのプラズマの影響を抑制することで、低温成膜を実現しました。
緻密な膜形成が可能なイオンビームの原理、スパッタ装置の紹介
イオンビームスパッタ装置は、高真空で緻密な膜形成が可能です。メタル、磁性体酸化物など適応できるターゲットは多岐に亘ります。
ターゲットの適用範囲が多い分、用途も様々です。磁性体と非磁性体の積層膜、誘電体の積層などに使用できます。
関連してデュアルイオンビーム成膜装置もあります。
X線ミラーや勾配形状用コーティングなどに最適で、研究開発から量産向けまで活用可能な装置です。
まとめ
今回は、スパッタ装置の代表的な方式・原理を解説してきました。
真空装置を製造している菅製作所では、真空装置として成膜後の膜質改善用途に、アニール装置を使用していたり、真空装置・真空設備の構成に必要な真空・配管部品を提供しております。
テストサービスや修理・改造などのサポートもおこなっておりますのでご希望の方はお問い合わせください。
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菅製作所のスパッタ装置についてはこちらの記事をご覧ください