前回の記事で車のエンジンと船のエンジンを紹介しました。
今回は、エンジンを動かすための燃料について解説していきます!!
船のエンジンの燃料と車のエンジンの燃料は同じ燃料?
船のエンジンの燃料と車のエンジンの燃料は、原料は一緒でも種類が違います!
原料は、皆さんご存じの石油です。
では、なにが違うのか・・・・。
車のエンジンは、ガソリン。
船のエンジンは、重油です。
重油とは?
石油は、ガソリン・灯油などの成分がまじりあっています。その成分を取り出すために蒸留します。様々な成分を取り出した残りカスが重油、アスファルトになります。
重油は、A重油、B重油、C重油と3つに分類されます。
A重油は、90%軽油に重油を混ぜた物。
B重油は、50%軽油・50%重油。
C重油は、90%が重油。
船の燃料には主にC重油を使います。
なぜ船はC重油使っているの?
ずばり、値段です!
巨大な船舶を動かすためには1日数十トンの燃料を大量消費するため、コストが安いC重油を使用してエンジンを動かします。
また、A重油は船をメンテナンスなどで長期間停泊する必要がある場合に、エンジンへ送られる配管にA重油を満たし燃料の固着を防ぎます。
C重油は、アスファルトと同じ素材のため常に高温で温めておかなくてはいけません。船を長期に停めると燃料タンクからエンジンまでの配管が冷えて中でC重油が固まってしまい配管が詰まります。
A重油は、90%軽油なのでC重油と違って固まらないのです。
安いC重油は安全?
C重油は、価格が安いですがC重油が燃焼した時に排気ガスが大量に発生します。
2020年1月 IMO(国際海事機関)が大気汚染の防止として排気量を規制しました。煙突から黒煙が出ている船は、国によっては入国できないなどの強い規制です。
規制されてからは、燃料を排気が少ないものに変える、煙突に排出ガス洗浄装置(スクラバーシステム)を搭載したりして環境改善に取り組んでいます。
ガソリンとC重油の違いはなに?
それは、引火点、着火点が違う!ということです。
引火点・・・火によって引火温度
着火点・・・周囲の温度によって自然着火
ガソリンの引火点は、-40℃。着火点は、300度。
C重油の引火点は、40℃。着火点は、250度。
着火点、引火点が違うためエンジンの構造がかわります。
ガソリンエンジンは、点火プラグから火花を出して燃料に着火。ディーゼルエンジン(軽油、重油を使うエンジン)は、空気圧で発生する熱で燃料に着火。
燃料の使い方によってエンジンの構造が違ってくるのです。
燃料は人類にとっては非常に重要な資源ですが、同時に環境に影響を及ぼしてきました。そして、資源は無限ではなく有限です。
ぜひ、自分の生活にかかわりのある石油資源に対して意識してみてください。
菅製作所では、船舶用機器も多数製作しております。
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