スパッタリングは絵画でも薄膜技術の分野でも用いられる言葉です。保育園でも取り入れられる身近な技法。
スパッタリングを応用して作られたものが半導体の製造過程でも使われる成膜を作るスパッタ装置。
具体的にどのような原理なのかをわかりやすく解説します。
目次
スパッタリングは日常で応用されていた
スパッタリングとは、個体が物質に衝突して起こる現象の一つとして2種類の意味があります。
- 絵画で使われる手法
- 真空蒸着に類する薄膜製造の代表的な方法
絵画で使われるスパッタリング
絵の具を目の細かい網に塗り、それをブラシでこすることで、絵の具を小さな粒にして画用紙に飛ばす絵画技法のこと。
スパッタリング技法は、保育園の絵具遊びでも取り入れられることがあります。言葉としては聞き慣れないと思いますが、身近でも意外と取り入れられているのです。

薄膜製造の代表的な方法スパッタリング
スパッタリングとは、薄膜を形成したい材料にイオンとなった原子や分子をぶつけて薄膜材料を跳ね飛ばします。跳ね飛ばされた材料を基盤に当てて薄膜を形成する手法。
このようなスパッタリング現象を利用し薄膜を作るにはスパッタ装置が必要です。
スパッタ装置を使うことで、高融点金属や合金といった、真空蒸着法ではコーティングが困難な材料でも成膜を実現することが可能。
スパッタの代表的な種類は下表のようにいくつかに分類できます。
スパッタ方式 | 特徴 |
---|---|
二極スパッタ | 広い基盤に欣一な膜をつけるときに使います。 |
三極or四極スパッタ | 低電力、低電圧放電、電流とターゲットを衝撃するイオンエネルギーを独立に制御できる。 |
マグネトロンスパッタ | 電場と磁場の直交するマグネトロン放電を利用。 Cuで1.8μm/minの高速、0.1〜0.01Paで用いられることが多い。 |
ECRスパッタ | ECRプラズマを用い高真空において各種のスパッタができる。ダメージも小さくできる。 |
高周波スパッタ | 絶縁物薄膜の形成。例えば、石英、ガラス、アルミなどを目的として生まれた。 金属のスパッタにも使われる。 |
リアクティブスパッタ | 陰極物質の化合物薄膜の作成。窒化タルタン、窒化ケイ素 |
バイアススパッタ | 基板中に不純ガスを含まないように基板を軽く荷電粒子で叩きながら膜を作る。 |
スパッタ装置の中で起きていることをわかりやすく解説
スパッタ装置の中では実際にどのような現象が起きているのかイラストで解説します。

スパッタ装置の成膜方法として、真空中に不活性ガス(主に、Ar)を導入します。
ターゲット(プレート状の成膜材料)にマイナスの電圧を印加してグロー放電を発生させます。
高電圧により生じたプラズマにおいてAr+は高速でターゲットに衝突し、弾き飛ばされたターゲット粒子が基材に付着することで、成膜に至ります。
菅製作所のスパッタ装置の紹介
菅製作所で制作しているスパッタ装置を5つ紹介します。
①SSP1000
卓上型RFスパッタのエントリーモデル。納入後でも成膜方向をアレンジ可能です。
主な用途
金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの研究開発用途に活躍します。
②SSP2000Plus
2元カソードのスリムタワー。ALDやアニール装置との複合化ができます。
主な用途
金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの研究開発用途に活躍します。
③SSP2500G
サンプルを大気に曝さず出し入れできる、お客様の声から生まれたスパッタ装置。
主な用途
金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの研究開発用途に活躍します。
④SSP3000
高性能かつ多彩なオプションを選択できるスパッタ装置の上位モデルです。
主な用途
金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、合金、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの分野に対し、研究開発から少量生産まで幅広い局面で活躍します。
⑤SSP3000Plus
納入後でもALDやアニール装置に連結拡張が容易にできる高性能モデルです。
主な用途
金属膜、絶縁膜、電導膜、絶縁膜、保護膜、反射膜、合金、触媒、コーティング、回路、電池、MEMS、新素材開発などの分野に対し、研究開発から少量生産まで幅広い局面で活躍します。
まとめ
スパッタリングは絵画で使われる技法として、薄膜形成する方法として活用されています。 菅製作所では、5つのスパッタ装置を取り扱っております。 社内のSSP1000キュービックスパッタ装置で粉体に成膜することも可能です。テスト成膜サービスをご希望の方はお気軽にお問い合わせください。